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2009/03/15(日)に投稿された記事
ある魔法使いの一人遊び その1
投稿日時:01:34:54|コメント:5件|》本文を開閉
ディレクトリ:(未完成)東方 - *ある魔法使いの一人遊び
そんなわけでお久しぶりでございます・・・
いやー、最近さー・・・ぶっちゃけ書けなくてはさー
そんなわけで、前回のエントリーの話しからすると「あ、早苗かハルヒかな?」と思わせておいて、実はアリスです。
アリスをこちょこちょー
?×アリス
あ、俺の説ではアリスは・・・うわなにを
本文章は「上海アリス幻樂団様」により制作されたシューティングゲーム「東方Project」の二次創作物です。
先ほどまではカーテンの裏側に薄く浮かんでいた宵闇は身を潜めて、窓辺には月の明かりが影をそっと落としていた。
ろうそくの明かりが浅く広がった部屋の中、私の周囲を取り囲むのは人形たちが所狭しとひしめき合う棚と、テーブルの上には裁縫道具が納められた竹編みのバスケット。
川から汲み上げてきた水を沸かして、十分に蒸らした茶葉から抽出したばかりの紅茶は薫り高く、ゆらゆらと揺れる褐色の中にオレンジ色のろうそくを僅かに映し出している。
誰かさんはここにミルクや砂糖をたっぷりと入れるけれど、私はストレートが好き。
チョコレートムースや、ストロベリーのタルトクッキーを籠の中へいっぱいに詰め込んで、青空の下で人形たちと催す小さなお茶会が好き。
でも、そういう時に決まって箒(ほうき)に乗ってやって来る誰かさんが、私の小さくて静かなお茶会をあっという間に賑やかにしてしまう。
……そんなお茶会が、嫌というわけではないのだけれど。
椅子に腰掛けて水色の布地にちくちくと針を通していた私は、夜も少しだけ深まった事に気がついて手作りのピンクッションからまち針を抜き取った。
縫い途中の布へそれを挿し入れ、そっとテーブルの上に置いてから純白のティーカップに指を伸ばす。
小さな洋服作りは、また明日のお楽しみ。
紅茶を口に含んで、そっと喉へ送り込む。
随分と長い間裁縫を続けていたからだろうか、乾いた喉に染みるようにして温かな紅茶の香りが広がっていった。
「はぁ……」
小さなため息を漏らして、カーテンの向こう側から差し込む月明かりを見る。
魔法の森は深い木々に囲まれた魔性の森。
数多くの妖怪たちが闊歩して、昼間であっても人間はあまり立ち入ることはない。
夜ともなれば聞こえて来るのは、近くの小川がサラサラと流れる音と、ホウホウと嘆くような声で鳴くフクロウの声ぐらいなもの。
月はまだ満月には遠く、先日ようやく十五夜を過ぎたばかり。
月の力は薄く妖怪たちも落ち着いて、騒がしさの微塵も感じさせない闇の帳が森を覆い尽くしている。
静寂のベールは森に広がる魔性の霧を薄らがせるように深々と広がり、それと同時に私がこれから始めようとしている『遊び』を、そっと隠してくれるのだろう。
縫いかけた水色の布地と一緒に裁縫道具をバスケットの中にしまい込むと、いよいよ夜は更け始める。
ろうそくの明かりだけでは心細く感じるほどの漆黒の闇に囲まれて、薄暗い室内を静寂が支配していく。
テーブルの上には空になったティーカップが一つ、いつの間にかフクロウの声も聞こえなくなっている。
時の歩みの中でたった一人取り残されてしまったような錯覚に陥りそうなほどの静けさの中、私はこの静けさの中だから出来る『遊び』の準備を進めていた。
もし里の人間たちが私の姿を見たら、きっと魔性の者が興じる何かの儀式とでも思うのだろうか。
あるいは、狂気の魔女が行う生け贄の儀にでも身を投じたのだと見られるのだろうか。
羽織っていた洋服は先ほどまで座っていた椅子の背もたれに被せて、私は人前では決して晒す事のない下着姿のまま、ぼんやりと部屋の中に立ち呆けている。
太ももの半分までを隠すように垂れた薄いピンク色のフリルが付いたキャミソール。
人前では決して晒す事のない素肌を晒して、ただ一人部屋の中に佇んでいる自分が、ひどく滑稽に思えた。
静寂が素肌の近くで騒がしく感じて、思わず誰もいないのに周囲の目を来て気にしてしまう。
誰もいない部屋の中、私が作った人形たちの無数の目が、私の恥ずかしい姿を見つめているような気がしてじっとしている事ができない。
言いようのない恥ずかしさを感じて、一歩足を後ろに進ませる。
静寂は深みを増して耳の中にツンと高い音が聞こえ始めていた。
耳の奥に微かに聞こえ始める心音は、これから自らの手によって始まろうとしている狂宴への合図のように思えた。
幻想郷は広く、私以外にも数多くの魔法使いや妖怪、人間たちが暮らしているが、私と同じ趣味を持つ者など一人としていないのではないだろうか。
たった一人で深い森の中にいると、無性に寂しくて仕方が無くなる事がある。
誰かと関わっていたい、誰かと話しがしたい。
幻想郷という時の中にただ一人だけ取り残されたような不安、それを和らげたい。
そんな自分の心を解きほぐしてくれるのは、時々ここにやって来ては、賑やかに笑ったり怒ったりして話しをしてくれる誰かさんの笑顔。
きっと、私がこの行為に興味を持ったのも誰かさんのせい。
右の人差し指に見えない糸をたぐり寄せるような仕草をする。
これが私の魔法を使うときの合図。
私が作った人形たちには自我はない。
以前に紅魔館地下の大図書館に住む魔女が教えてもらった話しでは、若干の『意志』は持っているという話しだけれど。
その意志は、私の魔力に刃向かうほどの力などない。
しかし、私は念のためいつも人形たちに、こう命ずる。
『私の言うことを聞きなさい』
ただ、この『遊び』の時だけは、こう命ずる。
『私がどんなに嫌がっても、気が済むまでやりなさい』
戸棚に納められていた人形たちが一斉にざわめいたような気がして、私は思わず一歩後ずさってしまう。
一瞬で自分の中から魔力が奪われたのを感じた。
人形たちが私の『合図』を受け取った証拠である事は分かっているのに、全身に広がる軽い疲労感と相成って心の中で不安が広がっていく。
ざわざわ……
小さな話し声のような声が聞こえ始める。
人形たちがお互いの体を擦り合わせる音、戸棚に所狭しと並べられている人形たちがカタカタと震えるようにして動き出す。
この光景を見たとしたら、誰かさん……魔理沙ならきっと顔を真っ青にして逃げ出してしまうのではないだろうか。
あるいは、霊夢が見たら『異変』だのとかこつけられて、退治されてしまうのではないか。
様々な思いが脳裏を掠めるが、そんな時間は長くは続かない。
戸棚から数体の人形たちがフワリと浮かび上がったかと思うと一直線に私へ目がけて飛んでくる。
一際大きな体をした6体の人形は私の護衛係。
魔力はそれほど強くは縫い込んでいないけれど、並みの妖怪であれば一体の人形を相手にして勝つことは難しいだろう。
その6体は私の両手首と両足首、両肘をがっちりと抱え込むようにして、そのままフワリを浮かび上がる。
強烈な力、全身に流し込まれる魔力がピリピリと露出した肌を軽い電流のようにして流れているのが分かった。
……こんなに大きな魔力を、この6体に流し込んだだろうか?
そんな思いを巡らせるように早く、今度は第一陣の6体よりも一回りほど体の小さな人形たちが戸棚から飛び出してくる。
私の体は6体の人形たちに四肢を抱きかかえられたまま、ゆっくりと空中に浮かび上がり始めていた。
私は内心焦っていた。
人体を浮遊させる魔法は比較的高等な技術、人形程度の軽い物であれば容易く浮かべる事は出来ても、私のような――そんなに重くないけど、人形に比べれば思い体を浮かべるには、相当の魔力が必要なはず。
いくら私の魔力を受け取ったと言っても、この子たちに与えた魔力はそれほど強くない。
人体浮遊など出来るほどの魔力など持っていないはずなのに。
慌てて両手足を動かそうとするが、6体の人形は万力でねじ上げるような強い力で私の四肢を固定して離さない。
護衛とは言え、この小さな体の一体どこにこんな怪力が潜んでいると言うのだろう。
(い、いつもと違う……!)
本気で焦り始めた私を取り囲む無数の人形たち。
戸棚からはカタカタと揺れる人形たちが次々と宙に浮かんでは、私を取り囲み始めている。
ひどく統制がとれた動き、まるで軍隊のような機敏な動作。
人形たちは普段は会話を交わすこともなければ、お互いの意志の疎通などあるはずがない……いや、できるはずがない。
それなのに、人形たちの中では確実に役割分担が出来ているように思えた。
私の四肢を掴む6体は、いつもであれば床に両手足を押しつけるだけの役回り。
私の周囲を取り囲む人形たちは……大きい物は二十センチ程度の背丈の物から、手の平に乗る程度の物まで様々だ。
それらの人形に、どこから持ってきたのだろうか小さな『何か』を配り分ける数体の人形たち。
驚きを通り越して、まさに驚愕の心持ちの私は、その配られた『何か』を見てさらに驚きを隠せなかった。
小さな人形の手に握られている無数の道具、それは……
ある人形の手にある物は絵筆。
ある人形の手にある物はカラスの物だろうか黒い羽根。
小さくて見えないが……耳かきとおぼしき物。
はたまた、豚の毛を木の枝に埋め込んだ、人の里で売られている歯ブラシ。
中には一体どこで見つけて来たのだろうか、人形の手に丁度良いサイズのヘアブラシを手にした人形もいる。
「ま、待って!そ……それどこから……」
私の問いかけに人形たちが答えてくれるはずもない。
私を取り囲む人形たちはザワザワと体を揺らしながら、一つ体を揺らす度に少しずつ、少しずつ私との間合いを狭めていく。
「まって!ほ、ホントに待って!き、緊急命令よ!やめなさい!」
無駄だと分かっていた。
最初に行った私の命令で、すでに私の中には魔力は僅かにしか残されていない。
その微々たる魔力で与えた命令で人形たちを操作できるはずもない。
ザワザワザワ……
人形たちはさらに近づいてくる。
表情のない顔、それぞれの人形が手にしている道具。
「……待ってって!待ってってば!め、命令!命令よ!?主人の命令が聞けないの!?」
必死になって叫び両手足をばたつかせようとするが、6体の人形の強靱な力はそれを許さない。
無理に手足を動かそうとして無駄に体に力が入り、自分の体から体力が奪われていくのをヒシヒシと感じながら、私はそれでも体を動かそうとする努力を止める事ができない。
「やめて!!ほ、ほんとにダメ!ねえ!命令よ!ねえ!?」
あらん限りの声で叫ぶが人形たちに命令が届く様子はなく、いよいよ人形と私の間は十数センチにまで狭まってしまう。
今までと異なる雰囲気が漂う室内、あるいは人形たちに対して自分以外の者による魔法がかけられているのではないかと探ってみても、そんな気配は一切感じられない。
慌てふためく事しかできない私は、先ほどからザワザワとざわめくような音の中に声のようなものを聞いた気がして、一瞬だけ耳を澄ませてみる。
『くすくす……』
「ひ……ひぃっ!」
思わず短い悲鳴が漏れ、慌てて辺りを見回してみる。
人形たち以外、自分の近くに何者かの気配を感じ取る事はできない。
『くすくす……アリスちゃん、わき腹がとっても弱いんだって』
誰かの声を確かに聞いた私は、慌てて顔を上げて辺りを再度見回しながら。
「だ、誰!?」
と尋ねてみるが、当然のように返答は返ってこない。
『くすくす……アリスちゃんはワキの下も弱いんだよね。私はワキをくすぐっちゃおうかな』
『……だったら私は足の裏にしようかしら』
『……首筋もすごくくすぐったがってたから、私は首筋をコチョコチョするの』
この『遊び』が、元々人形たちによって自分の体をくすぐらせる行為である事を理解しながら、私は恐怖していた。
誰かが私の体をくすぐる相談をしている……
『……アリスちゃんの気がおかしくなるまで、止めてあげないでおきましょう?』
『……あら、だめよ。気が狂うちょっと前で止めておかないと、私たちの魔力が途絶えてしまうもの』
『……ふふふ…でも、魔法使いって便利ね、そう簡単には気も狂わないし……気すら狂えない、と言った方がいいのかしら?』
ザワザワザワ……
私はそのざわめきの中に混ざる小さな声の正体を、半ば確信し始めていた。
これは……人形たちの声だ。
私を取り囲む人形たちが交わしている会話なのだ!
ようやく気づいた私は、ハッとして顔を上げようとした時。
人形たちの小さな手と、その手に握られた無数の道具が、一斉に襲いかかってきた。
投稿日:2009/03/16(月) 00:07:42
ありすのくすぐりがきた~つづきをたのしみにまってます~
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