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2009/02/13(金)に投稿された記事
藍×紫 我が想いひのラブスイート日記
やっぱ管理はブログでやった方が楽かもね・・・
本文章は「上海アリス幻樂団様」により制作されたシューティングゲーム「東方Project」の二次創作物です。
ここのところ雨がないと言うのに、日盛りの陽を浴びた庭木は燦々と輝いていた。
木々は夏の合間を縫うように吹き抜ける優しげな風に揺られてセミの声の中にざわめきを混ぜ、相変わらずの青空は色濃く空色に澄み切って、遠方の山々のさらに彼方にはモクモクと入道雲が空高く立ちのぼっている。
湿り気のない夏の暑さに、縁側の日陰は幾分かの涼しさを与えてくれる。
片手で団扇を仰ぎながら、床には先日に紫様が持ち帰ったガラスの器。
その中には藍色に色づいた桑の実が盛られていた。
ここの所は異変もなく、外界からの訪問者も少なくなった。
一頃は時間がない事をあれほど嘆いていたと言うのに、今となっては一日の大半に暇を持てあましている。
桑の実に指先を伸ばして、それを指先で摘んで口へと運ぶ。
この木の実は食べると指先は汚れるし、口の中も紫色に染まってしまうが、この控えめの甘さが私は好きだった。
甘酸っぱく、それなのに爽やかな味わい。
口の中に頬張って一噛みもすれば溶けるようにして消えてしまう食感。
この実を漬け込んだ酒を寝酒に小さなグラスに一口飲むのが、私の密かな楽しみでもある。
そう言えば、と私は思う。
これほど澄み切った空ならば、今宵は良い月が出る事だろう。
紫様と一緒に、久しぶりに山桜の実を漬け込んだ柱焼酎で月見酒を一献嗜むのも悪くないかも知れない。
再び桑の実に指先を伸ばした私は、それを摘み、そっと口へ。
今晩はお酒を嗜むのなら夕ご飯は何にしようか。
昨晩は油揚げの味噌汁を作ったから、今日は紫様が好きなカブの煮付けにでもしようか。
酒の肴にする時は、今冬に漬け込んだ白菜の塩漬けを水出ししたものと、片栗を混ぜた炒め物をかけてみようか。
ほんの少しだけ我が儘を言って、厚揚げも用意してしまおうか。
「藍……」
今晩の食材と、肴に思いを馳せていた私の耳に届く小さな声。
顔を上げると日差しが眩しくて目を細める。
声の主が誰なのかを考えるべくもなく、その姿を探そうと体を捻ろうとした私は。
「ねぇ、藍……」
再び私の名を呼ぶ声を聞きながら、私は動揺していた。
床に後ろ手に着いた両手に重ねられた指先。
それは、絡みつくように私の指と指の間へ入り込み、振り向きかけた顔の間近に寄せられた唇から感じる熱い吐息。
驚いて顔を正面に向けた途端。
「んっ…!んー!むんー!」
柔らかなものが私の口を塞ぐ。
少しだけ冷たく感じる何かが、私の唇を塞いで生暖かいものが唇を分け入るようにして入り込んでくる。
「んっ!むぅぅぅぅっ!むぅぅー!」
慌てて両腕で私の眼前の人影を押しのけようとしたが、両手には指先が絡められている。
長い金色の髪の毛、金色と紫色を混ぜたような不思議な色合いの瞳。
(紫様……なんで……)
紫様が私の体にのし掛かるようにして、私の両手に自らの指先を強く重ねて。
そして、私の唇を自分の唇で覆っている。
「んっ…!んむーっ!んんっ……むぅぅっ……」
紫様の舌が、私の口の中を愛撫するように撫で回す。
口を閉じようにも閉じる事ができず、紫様を引き離そうにも両腕を持ち上げる事もできない。
されるがまま、ただ紫様の唇を重ねられた私の口の中に激しく愛撫が続くのを感じる事しかできない。
「んっ……むぅぅ……むふぅ……むぅ……」
必死になって鼻から息を吸い込みながら、紫様の舌先を口の中の粘膜で感じながら。
呼吸の苦しさもあったが、紫様の舌が口の中を撫で回す度に、私の体から確実に力が奪われていく。
抵抗する事もできないほどの言いようのない甘い感覚、逆らう事すら思いつかせないような不思議な感覚が全身を覆い尽くしていく。
口の中を散々舐め回し、私の体から力を存分に吸い取った事に満足したように紫様の唇の感覚が引く。
絡み合った唾液が私と紫様の唇の間を細く糸のように伝い、いつの間にか目を閉じていた私は、ゆっくりと瞳を開く。
紫様の顔があった。
その大きな瞳を潤ませて、頬は今まで見た事もないほど紅潮させて。
「藍……かわいい藍……」
金色の髪の毛を額に乱して、再び紫様が私に顔を近づけて来る。
「……ゆ、紫さま……私…もう……」
体に力が入らない。
頭の中がぼーっとして、手足がカタカタと震えている。
それなのに、紫様がまた唇を私に重ねる。
紫様……紫さま……
私も愛しています、紫様……