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2010/07/25(日)に投稿された記事
萃香をこちょこちょ 前置き(2)
・・・いや、ね、酒って俺の趣味だしさー
趣味ってやっぱ、ゆったりやりたいモンじゃないですかー
どーでもいいけど、趣味を医者に止められる俺って・・・
お酒は適量!飲んでも一升まで!エロ小説です。でもエロくない!ごめん!
ブロッサムさんちの萃香さんー
パ(ry リスペクトです、なかなかエロくなんなくてゴメンにゃさいブロッサムさん
本文章は「上海アリス幻樂団様」により制作されたシューティングゲーム「東方Project」の二次創作物です。
その力は、人などはもちろん、他の妖怪を軽く凌ぎ、その霊力は大妖怪が怖れをなして逃げ出すほどであると言う。
かつて高度な社会性と技術力で妖怪の山を支配した者たちは、いつしか地下へと移り住んだ。
しかし、その一部は、今も幻想郷に現れ、しばしば決闘に明け暮れているのだと言う。
ここにも、かつて妖怪の山四天王と呼ばれ怖れられた剛力の鬼が、人に戦いを挑んでいる。
神社の居間では狭すぎて、長いこと使っていなかった蔵の中二階に用意した小部屋には、朱色の布団が敷かれている。
ふかふかとして、彼女がいつも使っている、くたびれ尽くした敷き布団とはまるで違う肌触り。
紫が言うところでは羽毛布団と呼ばれる、外の世界の代物らしい。
窓が流れ込むのは、涼しい夜の風。
白熱していた太陽が西の空へと沈むと、まだ虫の音には早すぎる森からは、木々の香りをふんだんに染み込ませた風が通って来る。
ちょうちんから放たれるのは、ろうそくや油とは異なる煌々とした強い明かり。
紫が言うには、これもまた外の世界の代物でLEDと言うのだそうだ。
さらに、この小部屋のかび臭さは、脱臭剤と呼ばれる代物を置いたら、嘘のように消え失せてしまった。
時折、幻想郷へ流れ着く、外の世界の代物などを見る度に彼女は思っていた。
果たして、幻想が満ち溢れているのは、どちらの世界なのだろうかと。
加えて、紫は霊夢に外界の夜着の一種『パジャマ』なる物も用意してくれた。
スカスカなのにフワフワとした手触りの不思議な生地。
袖が短かったのは彼女好みではあったが、ピンク色に可愛らしい布地に犬と猫のマークがプリントされた夜着を着るには、かなりの心の準備が必要だ。
さらに、下半身に身につける衣服は、何やら太もも中ほどまでの丈しか無い、殿方が穿く半ズボンのような代物。
こんな物を履いたら、ドロワがはみ出して、かなり恥ずかしいことになるだろう。
それを配慮してか、紫は『パンツ』と呼ばれる極めて薄い布地で作られた下半身用肌着も持って来てくれていたが、これだけは絶対に履けそうに無かった。
これを身に着けたとしたら、霊夢は恥ずかしさで茹で上がってしまうことだろう。
こんなの着れるわけないでしょ! と一喝した後の紫の寂しそうな顔を思い出す。
これだけ下準備をしてくれたのに、あの仕打ちは無かったかも知れない、と霊夢の心に反省の色が浮かんでいた。
今度、時間を見つけて、このパジャマなる代物を着込んだ姿でも見せてみようか。
などと思いつつも、やはり極めてファンシーな服を身に着けることに慣れていないせいもあって、少し照れが残ってしまう。
これを身に着けた時の自分自身が一体どのような印象になるのかも分からないのだから、最初は一人でこっそり試着してみるのが無難かも知れない。
ぎしっ ぎしっ ぎしっ
蔵の階段を上ってくる足音に、彼女はビクッと背中が浮き上がるほどに驚いてしまう。
今の顔を誰にも見られなくて良かった、妖怪の山の文屋には、特に。
頭の中を覗き見るのは地霊殿主の十八番であるが、仮にでも文屋にファンシーなパジャマを着た自分を想像していたことがバレたとあっては、目も当てられない。
可愛らしい絵が上手い紅魔館の魔女に描かせた想像図を飾られ、それが幻想郷全体に号外としてばら撒かれるのである。
もはや、その翌日からは博麗の威厳など失われ、ファンシー少女の虚像だけが一人歩きをしていくに違いない。
「よっ、霊夢、もう来てたのか……って、またすごい彩色の布団だなソレ」
蔵の中二階の天井は低く、その出入り口はしゃがみ込まないとくぐることは出来ない。
そこから、その大きな帽子をモソモソと揺らすようにしながら、箒と大きな布袋を担ぎ顔を出したのは、魔法の森の、普通の魔法使い。
彼女は帽子を頭から下ろすと、彼女は朱色の『羽毛布団』の上に腰を落とした。
「お、フカフカだぜ、この布団」
ボフボフと跳ねるような仕草をする彼女に「紫が用意してくれたのよ」と放り投げるような言葉を放ちながら、霊夢は思った。
男勝りな口調と行動、危なっかしくて見ていられないことなど度々。
そんな中に、時折、垣間見せる小さな仕草が、可愛らしくて仕方が無いことがある。
「……あんま飛び跳ねないでよ、もうボロなんだから、この蔵」
霊夢が博麗の巫女となって随分となるが、この蔵は先代のそのまた先代……と、代々受け継がれている建物なのだと聞いた。
当然、その年月は土蔵の壁を風化させ、その木組みはぐらついている。
そうした問題を抱えながらも、この土蔵は某局所地震にも耐え抜き、数々の異変を物ともせず建ち続けているのだから侮りがたい。
「あぁ、悪い悪い、って……そんなオンボロで、萃香の馬鹿力に耐えられるのか?」
「あー、まぁ大丈夫なんじゃない?」
魔理沙が跳ねただけでも天井からは土がボロボロ崩れ落ちてくる有様を見た限り、剛力の鬼が持つ圧倒的腕力を前にすれば、いとも容易くパンケーキ崩壊を起こしそうである。
なぜ、そんな状況にあって霊夢は暢気でいられるのかと言えば、紫が言った決闘ルールの内容にあった。
人間と妖怪とでは、その特殊な能力以外にも握力や腕力、その他の様々な身体的違いがある。
そうした能力の違いがあっては、強大な大妖怪や鬼、獣人を前にして人間たちは縮こまってしまう。
『純粋な決闘ルールにあって、妖(あやかし)が持つ能力は危険になることもあるでしょう?』
そうした剛力や魔法が意図せず使用された場合、手加減が出来ない以上、そこには死の危険すら付きまとう。
安全で、かつ様々な危険に対して未来予測が可能な状態を保つために、妖怪の賢者は、この決闘にもう一つのルールを持ち込んでいた。
それはパジャマである。
パジャマ、それは外の世界ではただの夜着でしかないが、スキマ妖怪の手によって、それは特殊な意味を持つ衣服となっていた。
人を眠る際には身につける衣服は、人を眠りに誘うための衣服とも言い換えることが出来る。
眠りは、人々が持ついかなる能力をも鎮まらせ、そこには、本来の人そのものを作り出す。
パジャマ、それはすべての存在の能力を鎮まらせ、すべての存在を平等にする衣服となり、この決闘への参加者に配布される。
このパジャマの着用こそが妖怪や妖精に課せられた役割であり、その着用によって、人間は妖怪と平等の立場で決闘を行うことが出来るのだ。
「あのパジャマとか言うのがあれば、萃香だって大きくなったり、分裂したり、トガクシ山とか投げて来ないでしょ」
パジャマ、魔理沙は魔法使いとして西洋の魔術にも精通しているため、その言葉には聞き覚えがある。
紅魔館の地下に住む大魔法使いが着ている物の一種であり、人形使いがベッドに入る際に着ている物もパジャマであると聞いた。
しかし、魔理沙が紫から手渡されたのは、彼女が知るそれらの寝間着とは異なった物だった。
真っ黒な布地に黄色い星のマークがプリントされたワンピースタイプ。
丁寧なことに星のマークの下には黄色い文字で "LOVE" だの "CUTE" だのと、何やら恥ずかしい英単語が書かれている。
袖は肩の中ほどまでの長さしかなく、左胸のポケットには三日月のアップリケ。
スカートの裾には淡い水色のフリルが付けられていて、これを着るのかと思うと、居たたまれない気持ちになった。
「……なあ、霊夢」
「なによ」
「霊夢のパジャマって、その、どんな感じだった?」
ピクッと霊夢の右眉が反応する。
ピンク色にワンワンニャニャーとは、さすがに言い出せない。
「ま、まあ、その、ふ、普通のよ。 ふつーの」
もちろんウソである。
しかし、そう言い放ってから霊夢は『しまった』と思った。
一度言ってしまった手前、あのパジャマは普通に着こなさなくてはならない。
ピンクのワンニャーに全身を包まれて登場した時……魔理沙の反応は想像に難しくない。
おそらく腹を抱えて、こちらを指さしながら笑い転げるに決まっている。
「魔理沙のはどういうのよ。 可愛らしいパジャマなんじゃないの?」
ギクリとした顔をした魔理沙は、あの夜空に恥ずかしい言葉を投げかけたようなパジャマを思い出した。
フリフリのフリルが付いたスカートをなびかせて、胸にはお気に入りのキノコの形をしたクッション。
スリッパも、これまた彼女が気に入っているキツネを象ったフカフカスリッパ、もはやメルヘン世界の住人である。
「わ、わ、私のだって普通だぜ! もうぜーんぜん!」
頭の中で『あたし、まりさちゃんでぷー』とか言い出した自分自身をかき消すように魔理沙は言葉を放ち、それから『しまった』と思った。
あのパジャマは彼女が知っている幻想郷の中にあっては、間違いなく普通ではない、特にあの恥ずかしい英単語が。
あれを着て、寝る時には欠かせないキノコクッションを胸に抱えて霊夢の前に姿を見せたとしたら……間違いなく笑われる。
それも、パジャマもさることながら、キノコクッションについて何度も何度も指さされて笑われるに違いない。
コンコンキツネのスリッパなど身につけていようものなら、霊夢は魔理沙の姿を見る度に思い出し笑い。
何だ何だ、実は実はと宴会の席で語られたメルヘンレディ魔理沙ちゃんの話しは幻想郷中を駆け巡ることになるだろう。
……しばしの気まずい沈黙の後、魔理沙は未だに脳裏で謎の言葉を放ち続ける自分自身を無視するように口を開いた。
「……今日って、ホントに、そのアレやるのか?」
霊夢は一瞬小首を傾げ、何かを思い出したかのように「あぁ」と吐息を吐き出すような声を一つ。
「やるんじゃないの? 紫も言ってるし」
新たな決闘ルール、話しを聞いた限りでは弾幕を利用したものより安全性が高く、気軽な参加が可能と問題点は無さそうに見える。
しかし、霊夢と魔理沙が心配しているのは、そんなことではない。
弾幕に代わり容易された方法、それは、取りようによっては冗談とも聞こえるモノだった。
そればかりではない、初めて適用されるルールには問題点も付きものである。
そうした不具合を見つけ出すためには、実際にやってみるのが一番。
とは言え、その方法が方法なだけに、一体誰が物は試しと付き合ってくれると言うのだろうか。
とりあえず、素晴らしい提案だと賛同してしまった手前、霊夢は参加を断れない。
霊夢からの珍しい願い出に、魔理沙も断るに断れずに引き受けてしまった。
しかし、二人は特殊な能力を持っているとは言え人間である。
それでは紫かと矛先を向けたものの、賛同者集めやら、決闘システムの詳細やらで参加する暇は無いと言う返事。
ならばと断られることを承知で声を掛けてみたのが、博麗神社の居候、剛力の鬼『伊吹萃香』御仁(ごじん)であった。
『おおー、霊夢の頼みなら聞くぞー』
その返答はあっけない快諾。
聞けば彼女は今まで『その行為』をされたことがないのだと言う。
―――『その行為』、それはすなわち、くすぐりである。
かつて鬼が幻想郷にいた頃や、大昔に外の世界にいた頃の話しを聞けば、山の掟でくすぐりの刑罰があったと言うし、攫った人を三日三晩くすぐり続けたことなど度々のこと。
今でも、その名残が妖怪の山には残されていて、山への侵入を許した白狼天狗や、掟を守らなかった者には、しばしば行われていると聞く。
そんな中にあって、なぜ彼女は今までくすぐられたことが無かったのか。
妖怪の山の四天王にして鬼神の名を欲しいままにする、人ならぬ者の頂点に君臨した彼女。
その恐るべき怪力と妖術を前に、彼女に対して『くすぐり』を行おうとする者は皆無に等しかったのだろう。
同時に、彼女の快諾は自信の表れでもあった。
くすぐり回され笑い悶え、あらゆる懇願の言葉を口にする河童や天狗を見る度、この程度のことが耐えられないはずがないと思っていた。
人に至っては、1時間もくすぐり回せば白目を剥き失神してしまう。
しかし笑い狂っている以上、それが面白いことなのだろうと自分をくすぐっても、笑いはまるで起こらない。
部下の鬼たちにくすぐってみろと命じても、萃香をくすぐろうなどと思う命知らずは一人としていなかった。
くすぐりという行為を一度として体験したことはないが、耐えられないはずがない。
鬼であるという絶対的な自信、人ならぬ者の中にあって、その実力は自他共に認めるところである。
そのため、萃香の足は軽かった。
とっ とっ とっ
体重の軽い彼女の足音は魔理沙のものと比べても明らかだ。
数百、千数百年という時を感じさせるのは、こめかみの少し上から突き出した2本の角の大きさだけ。
中二階の特設小部屋の入り口をくぐった萃香は、霊夢と魔理沙の姿を見つけると、ひょうたんから酒を一口。
「おおう! 待ったかー?」
その声に、ほんの少し待ちぼうけを食らっていた二人が振り返る。
軽口で文句でも言ってやろうとした霊夢、そんなに待っていないと挨拶を返そうとした魔理沙。
しかし、萃香の姿を見た瞬間、二人の動きが止まる。
ピンク色の薄手の布地は、霊夢のパジャマよりも色が薄い。
肩の上まで深く切り上げられた袖、その切れ目には小さく浅いフリル。
シャツを止めているのは5つの小さなボタンのみ。
下半身を隠しているのは一見したところ、彼女たちがいつも着用しているドロワだが、所々に可愛らしい赤い刺繍(ししゅう)が施されいる。
全体的に小さくまとめたデザインのパジャマは、普段の彼女とはまるで異なる可愛らしさを演出していた。
(わー、かわいー……)
(アリスに見せたら持って帰りそうだぜ……)
パジャマが持つ魔力について、ここで語らなければならない。
就寝時に身につけるパジャマ、これには『無防備さ』と『それでもオシャレに気を遣いたい乙女心』がミックスシャッフルされた、いわば就寝における正装と言っても過言ではない。
ひとたび、そのパジャマを身につけると人はオープンになり、普段のおしゃべりとは異なる自分をさらけ出してしまうのである。
さらに、パジャマは自分の部屋で着るもの、家族以外にはあまり見せることがない、いわばシークレットなスーツ。
そこには日常に隠された非日常を思わせ、これを外の世界の人々は『修学旅行効果』あるいは『パジャマパーティー効果』と呼んでいるとか何とか。
萃香に宿ったパジャマの魔力は、彼女に非日常性を与え、霊夢と魔理沙に『私たちは、これから何かイケナイことをしようとしているのだ』という錯覚を覚えさせる。
このミステリアスな感覚は、新たな決闘ルール『くすぐり対決』においても、『一.僅カニ“エロチカル”ナ決闘ニサイシテ胸ヲ“キュンキュン”サセナクテハナラナイ也』として定められている。
恐るべきルールである。
「どうした? おぉう、この敷き布団ふかふかだぞ」
そう言いながら、敷き布団にボフッと腰を下ろし、足を前に突き出してバタバタさせ始める姿に、霊夢と魔理沙は明らかに動揺した。
特に霊夢は、この『敷き布団の上にボフッ』がツボらしく、かなりの動揺の色を顔に浮かべている。
(ちょ……ちょ! 魔理沙! なにあれ! かわいすぎなのよ!)
(わ、私に言われても困るぞ! ほんとに萃香なのかあれ! ま、まるでお人形さんみたいだぜ……)
(…お、お人形さんて……)
よもや、魔理沙の口から聞くとは思わなかった単語に、霊夢の心がさらに揺さぶられる。
今まで感じたことがなかった感覚。
それは魔理沙の仕草に感じていた心の違和感とは、明確に異なる思い。
頭の中に甘い香りが満たされていくような感覚、それは、ふとするとひどく歪(いびつ)で禍々しいほどの香り。
目眩すら覚えるような状況の中、うつむいて気持ちを落ち着かせようとする霊夢と、それをキョトンとした顔で見つめている魔理沙。
そんな二人に、萃香は朱色の羽毛布団に大あぐらで言葉を投げかける。
「じゃあ始めるか! 私は何したらいいんだ?」
投稿日:2010/07/26(月) 00:46:17
この自信たっぷりの萃香が徹底的にくすぐられるのか……楽しみで仕方がないぜ(笑)
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