インラインRSSがどうも動作しなくなったみたいなので、RSSへのリンク追加しました
このサイトに掲載されている作品を、無断で掲載・転載する事を禁止します。
Copyright 2007- C Powered By FC2 BLOG
生きてるけど、今は家族のことを最優先中!
「くすぐりの塔」はキャンサーさんから作品が届き次第、ちゃんと更新していきます!
(今は公開させていただいた作品が手元に届いているすべてです)
ご連絡:キャンサーさん、何度かメール送っているから、ご返信くださ~い
2010/11/18(木)に投稿された記事
くすぐりの塔R -第3話- 『戦士クレア』
を教訓とし、再び『男』に支配されないように、かの国はその兵力の維持・向
上常に心がけ、年功行事のように、年に一度は、主要兵士達の遠征演習が行わ
れている。
その最中、本国での緊急事態を聞かされたメルフィメールの兵士達は、急
遽、出来うる限りの早さで帰国の途についた。
それは、魔法使い達の跳躍呪文も多用した強引な行為ではあったが、その甲
斐あって、帰国に要する日数を、数日単位の短縮に成功した。
かなりの強行軍で心身の疲労もあったが、事態が事態だけに隊長級の兵士達
は休む間もなく招集され、早々に王女を含めた会議が行われた。
事のあらましと、現時点で知り得る限りの情報が伝えられると、論議も省略
して結論がまず王女フレイアの口から述べられた。
『魔王討つべし!』
訪れた『男』は退去命令。それに従わなければ実力行使・・・・という、こ
の国の人間の思想から言えば、当然の結論と言える。
そして、この場に集う彼女等は、自分達ならそれが出来るという前提で話を
進めた上で、誰もが納得のいく、一組の討伐チームを編成した。
クレアは辺りに敵の気配がないことを確認すると、大きく息をついて床にへ
たり込んだ。
ここ、『魔王』が潜んでいるとされる塔内は、外から見ると、ほとんど窓が
見受けられなかったにもかかわらず、塔内各所に設置されている発光材質によ
って、意外にも明るく、ほとんどの箇所で明け方に近い照度を保っていた。
これにより闇にまぎれた敵の襲撃はあまり考慮に入れなくても良かったが、
事態はそれ以前に深刻なものとなっていた。
クレアは軽く辺りを見つめながら己の力のなさを呪った。
当初、彼女は自分を含めた四人でパーティを組み、この塔に挑む使命を与え
られた。
帰還した全軍が一気に投入されなかったのは、襲撃者が三名しかいないとさ
れていた事と、選出メンバー達の個々の実力が大きく評価されていたからであ
ると同時に、強敵とは言え、メルフィメール主力の全てを投入するのは、男三
名をそれ程に恐れたとする結果論を避けたかったからに他ならなかったが、こ
れがそもそもの過ちであった事を、後日彼女等は思い知らされる事となる。
その勅命を受けた戦士クレア、同僚の戦士リタ、僧侶ニーナ、魔法使いメイ
という構成は、メルフィメールでは屈強と称されるに遜色ないメンバーと自他
共に認める一団であった。
彼女等は当初、魔王の塔内というシチュエーションではお馴染みの雑魚モン
スターという、情報外ではあるものの、想定内存在を次々と仕留めながら侵攻
し、1階を快勝で飾った。
だが、2階も楽勝と意気込み、塔の階段を上りきった矢先、実に単純なトラ
ップにより、リタが痛烈な打撃を受けリタイヤしてしまったのだ。
パーティは、リタを塔外の安全な場所に連れ出した後、再び塔へと挑んだ。
主戦力の一人を失っての行動は危険であるという判断は、そこにいた全員の
共通認識であった。だが、1階の雑魚のみ掃討しても功績とは言えず、噂の幹
部クラスモンスターにも遭遇していないでは意味がないと判断し、塔に再び挑
んだのである。
先の過ちを教訓に、トラップの存在を考慮し慎重に進んで程なくして、彼女
等はエリアガーディアンと遭遇する。
三人は見事な連携で闘ったが、指定区画を防衛するためだけに創造されたガ
ーディアンは手強く、長期戦になった結果、体力の低い魔法使いのメイが力尽
き、途切れた連携の僅かな隙をつかれて、メイはエリアガーディアンにさらわ
れてしまった。
そうして崩れた足並みの連鎖反応で、ニーナがトラップに引っかかって姿を
消し、クレアは今こうして、一人で塔内に孤立していたのである。
彼女は必死に闘ったが、いつの間に塔内に集まったのか、あるいは以前から
住み着いていたのか、次から次へと現れるモンスターの数に押され、今や逃げ
る身となりはてていたのである。
「くそ、パーティが健在なら・・・・・・」
悔しそうに呟くクレアだったが、彼女自身も薄々感じてはいた。メンバーが
揃っていても、この2階のモンスター達とやり合うのが限界であろう。そして
装備や戦法を根本的に変えない限り、この塔の攻略は困難であろう事も・・・
・・・
ジャリ・・・・・
「!?」
突然の物音に反射的に身構えたクレアだったが、考えに浸っていた分、遅か
った。彼女はすぐ近くまで近づいていたモンスターの吐き出したガスをまとも
に吸い込み、敵の姿を確認する間もなく深い眠りに落ちていった。
どの位の時間が経過したのか?
クレアが眠りから覚めた時、彼女は自分が後ろ手に縛られ床に転がっている
事に気づいた。
もちろん鎧や剣は全て除装され、今、彼女の身を守っているのは、薄手のレ
オタードのようなインナーウェア一枚だけだった。
クレアは辺りを見回した。塔内のどこかの部屋の一つだろうそこは、通路よ
りも周囲の発光量が強くなっており、外とほとんど変わらない明るさになって
いた。
そして、自分とさして離れてない場所にニーナとメイが同様に装備を外され
床に転がっているのが確認できた。
「ニーナ!メイ!」
クレアは縛られたまま何とか身を起こし、二人の元に駆け寄った。
二人は意識こそあったが、瞳は涙で潤んでいた上に虚ろで、呼吸も荒く不規
則となっており、ただならぬ事が身に起きたことを示唆していた。
「二人ともどうしたの。しっかりして!」
「ク、クレア?た、助けてぇ・・・」
力無く助けを乞うメイを見て、クレアは唇を噛んだ。
何があったかは分からない。少なくとも優遇されたわけではないのは明白だ
った。だがそれよりも、捕らわれの身となり、彼女達を救う事のできない己の
状況に歯がみしたのだ。
「ようこそ、お嬢さん」
背後で知らない声がする。
はっとなり振り向いたクレアの視界に一匹・・・・いや一体・・・・もしく
は一人というべきか・・・・のモンスターがいた。
大きさは人間の子供程度で、カエルとカメレオンを融合させ、無理矢理二足
歩行形態にさせたような姿をしたモンスターだった。
無論、クレアが今まで見たこともなければ、魔王達に対する僅かな情報にあ
った配下のモンスターに該当する様相でもない。
爬虫類系故の不気味さはあるが、いま少し恐怖感のわかないモンスターがゆ
っくりと彼女達の方へと歩み寄ってきた。
「い、嫌、もう来ないで」
「や、止めて下さい」
モンスターの接近に反応したのはニーナとメイだった。
二人の異様な怯え方に、クレアはこの小柄なモンスターに何があるのか疑問
に思ったが、仲間をかばうべく、縛られたまま二人とモンスターの間に立ちは
だかった。
「何をするつもり?」
形だけは威嚇するように、クレアが言った。
「尋問だ」
実に簡潔にモンスターは答えた。
「さて、お二人さん。さっきの質問に答える気になってくれたかな?」
モンスターは目の前のクレアを無視して、背後の二人に問いかける。
「し、知りません・・・」
「ほ、本当に知らないんです・・・」
怯えきった二人が何かを懇願するように言った。
「まだ、強情を張るつもりかな?」
モンスターの右手が挙げられ、何かの合図を送ろうとすると、ニーナとメイ
の二人は小さな悲鳴を上げた。
「あ、ああ、やめてやめて!」
「も、もう、それだけは・・・・・・」
クレアはそんな二人の怯え方に動揺する以外の術を知らなかった。
「・・・知らないというのでは、仕方ないな・・・・・・」
そう言ってモンスターは右手を下げ、代わりに左手で違った合図を送った。
その途端、二人のいる床下に黒い空間が大きく口を開け、二人は小さな悲鳴
を残して闇の中に落ちていった。
「ニーナ、メイ!」
クレアが慌てて駆け寄ったが、空間はすぐに小さくなり、二人は視界から消
え去った。
「なっ!二人を何処へやったの?」
「地下の特別室だ、情報を持ってないでは、そこへ行ってもらうしか役にはた
たん。なに、下の主も手荒い奴ではないさ」
「一体あなた達は何が目的なの?」
「おや、お嬢さんは我々の主の要求を聞いていないのかな?」
「秘宝と魔獣!それをどうするかを聞いているのよ!」
「両方とも、我々の手中に入れば結果はおのずと分かる事だ。ただ、魔獣はこ
ちらで何とかなるんだが、もう一つの要求である秘宝・・・・・あれは我が主
も所在をまだ把握してないのでね、お嬢さん達に尋ねているわけだ。残念な事
に、あの二人は教えてはくれなかったがね」
「あ、当たり前でしょ。誰もが知っているような情報じゃないわ!」
クレアがそう吐き捨てた時、彼女を縛っていた縄が緩まり床に落ちた。
「!?」
彼女は会話の間に縄抜けを行っていたのである。
クレアは一瞬怯んだモンスターを突き飛ばすと、壁に飾ってあった観賞用の
長剣を取り、モンスターに斬りかかった。
だが、モンスターも素早い身のこなしで剣筋をかわすと、素早く回り込みク
レアに足払いをかけた。
「あうっ!?」
たまらず尻餅をつくクレア。
「くっ!」
すかさず立ち上がろうとしたクレアだったが、それより早くモンスターが粘
液状の物体を口から吐き出し、剣を持った右手ごと床に貼り付けその動きを封
じた。
「しまった!」
粘着物の引き剥がしにかかろうとするが、次に吐き出された粘液が今度は彼
女の左手を捉えていた。
これによって彼女は右手を真横に、左手を頭上に伸ばした状態で床に磔の形
となった。
「は、放して!」
クレアは両腕に力を込め、全身を振って両手を拘束する粘液を引き剥がそう
としたが、粘液は多少の弾性を示したものの、全く床から剥がれる様子を見せ
なかった、
「無駄無駄。人一人の力でどうなるほど、ヤワではない」
そう言うとモンスターはクレアの膝に向けてさらに粘液を吐き出し、両脚を
揃えた形で床に固定した。これで彼女はほぼ完璧に自由を奪われてしまった。
「ああっ」
絶望感にクレアは小さな悲鳴を上げた。
「さて改めて聞くが、秘宝はどこだ?正確な場所を知らなくとも、噂だけでも
話せばよし。言わなければ当然ながら拷問が待っているが・・・・」
「何されたって知らないものは知らないわ!」
その発言は事実であった。彼等が欲する物の一つ、魔獣に関しては王女すら
真実を知らない程である。秘宝に関して一兵士たる身の彼女が知るはずもなか
った。
「お嬢さんも同じ答えか・・・・」
モンスターは否定されたにも関わらず、どこか嬉しそうにつぶやくと、さっ
とどこかに合図を送った。
すると、部屋の数ヶ所にあった円柱状の石柱の影から小さな人影が四つ、そ
の姿を現した。目の前のモンスターをただ小さくしただけの様な小モンスター
で、サイズはおおよそ歩く幼児程度だった。
その小モンスターはキィキィ小さな声を上げながらクレアの左右に陣取っ
た。
「それでは、予告通り尋問させてもらおうかな・・・・」
モンスターの嬉しそうな言葉と同時に、四匹の小モンスターは一斉に自分の
両手の甲をクレアに見せつけるように差し出した。その小さな指先には刃物の
ような鋭い爪が突きだし不気味に光っていた。
「ひっ!」
あの鋭い爪に引き裂かれると恐怖したクレアは、小さな悲鳴を上げて息を飲
み、身を強張らせた。
だがそれは無用の心配だった。
小モンスター達は全ての爪を指の中に引っ込めると、にやりと笑みを浮か
べ、その小さな指先でクレアの体をインナーウェアの上から撫で回すようにく
すぐり始めたのだ。
「ひゃっ!・・あっ、あはっ、あはっ・・・・な、何?あははははははははは
はっ!」
予想していたものと全く違った刺激に襲われたクレアは、思いっきり吹き出
し全身をびくっびくっと震わせながら大笑いし始めた。
「いや~~~っははははははっ、だめっ・・・へへへへへへへへ、やめてやめ
て!きゃあっはははははっ!!!」
まだ自由であった首と腰を振り乱し、必死で小モンスターの指から逃れよう
とするが、体の無防備さには全く変化はなく、クレアは執拗にくすぐりを受け
続けた。
くすぐりを続ける小モンスターは全て同じ顔ではあったが、そのくすぐり方
には特徴があった。
指先で妖しく撫で回す者、起用に全ての指先の位置を変え突っつく者、あら
ゆる掴み方でもみもみする者、指先を体に押し込みぐりぐりと震わせ、蠢かす
者。
この、どれ一つをとってもたまらなくくすぐったい技が、一定時間を置いて
互いの居場所を入れ替え激しく彼女を責め、彼女に息をつかせる暇を与えなか
った。
そうしたくすぐり拷問開始から丁度三分後。クレアにとっては地獄に等しい
時間の後、その責め苦は、傍観していた最初に現れたモンスターの合図によっ
て中断された。
「どうかな?話してくれる気になったかな?」
休み無く強制的に笑わせ続けられ、呼吸困難になりぜいぜいと息を吸い込ん
でいるクレアに、モンスターは遠慮なく問うた。
「い、いつか、倒してやるから!」
苦しさを憎悪にかえてクレアは言った。
「きっと、仲間が助けにくるわ!」
「来るだろうな」
クレアの精一杯の威嚇をモンスターはすんなり受け止めた。
「お嬢さん、何故に我々が最初から全員を捕まえなかったか、まだ判ってない
な?こちらにはそのチャンスは何度もあった。だが、簡単に全滅させてしまっ
ては、慎重になって次が無くなるかもしれんし、総攻撃の恐れもある。だが、
少しでも中を見た者が残っていれば、救助・再討伐の目的でまた何人かのグル
ープで来るだろう。2階で一人トラップで大ダメージを与えたのは、大部隊で
はトラップにかかった場合、被害が大きいと思わせるためと、僅かな情報のみ
を与える為だ。そして、やって来るパーティに、少しずつ先に進ませ情報を与
えてゆく・・・・ここを工夫すれば、こう対処すれば先に進めるだろうという
情報をな・・・・・・」
モンスターの語った真実にクレアは青ざめた。
「そして一人ずつ捕らえては、こうして尋問をする。まぁ、大部隊で攻めてこ
ようと負けはしないが、せっかくの獲物が怪我をして死んでしまうかもしれな
いので、こうして手間をかけてるわけだ」
ニヤリと笑みを浮かべてモンスターは再び合図を送った。
それに伴い、恐怖のくすぐりが再開される。
「ああっ、きゃあっはははははははは!だめ~~~や、やめっ、ははははっは
はは・・・」
「さっきの二人は二匹ずつだったが、お嬢さんは四匹・・いや、五匹にくすぐ
られる・・・・耐えきれるかな?」
そう言うと、モンスター自身も拷問に参加しだした。
小モンスターより大きな指がクレアの足の裏をゆっくりと撫で回し始めた。
「ひあっ!・・・あひっあひっ・・・・・・ひゃっはははははははは~!」
新たに加わった感覚にクレアは更に笑い悶えた。必死にもがいても、膝でし
っかり固定され、足首しか動かない状況では、自らくすぐられる位置を変える
結果にしかならなかった。
「あはっあはっ・・・・・もう・・もう・・きゃあはははは・・・やめてぇ・
・・あ~ははははは・・・私も・・何も・・ひゃははははは・・知らない・・
はははぁ・・のよ~」
それを聞いたモンスターは、わざとらしく残念そうな顔をした。
「お嬢さんも口が堅いな。まぁ、仕方ない。もうしばらくこの拷問を続けてみ
ようか・・・そうすれば話す気になるか、何か思いだしてくれるかもしれない
からな」
「そ、そんなぁ~~あ~はははははっ!」
クレアにとっては絶望的な言葉だった。許しを請おうとしても、激しいくす
ぐったさがそれを許さず、自分の笑い声でかき消されてしまう。仮に許しを請
うたとしても、彼女をくすぐり責めにする事に喜びを見いだしているモンスタ
ーが、それを受け入れるはずも無いだろう。
「はひっ、あひっ、あはははははははは!あっ、あっ」
しばらくするとモンスターの足の裏責めは終わり、再び傍観者となったが、
小モンスター達による小さな指の全身くすぐり責めは全く衰えを見せず、むし
ろそのくすぐったさを増大させていった。
「あうふふふふふふふふぅ~~~ほ、本当にぃ、いきゃはははははは・・・
し、しっ、知らないんだってばぁ~あ~~っははははは、死ぬ!死ぬってぇば
ぁ~~~っふふふふふぁはっっっはははははははは!!!!!」
クレアの笑いと悲鳴が一層高くなった時、慈悲なのか、不意に全てのくすぐ
りの手が止まった。
「!?」
クレアはその異変を疑問に思ったものの、ようやくとも思える開放感に、息
をきらせつつも、大きく深呼吸を繰り返し、身体の求める酸素を補給する。
だがそれはフェイントだった。彼女がくすぐりから解放された安堵感で気を
抜いた瞬間を見計らい、またも小モンスター達がくすぐりを始めた。
「きゃふう?ひやぁぁぁぁぁっっはははははははははははははははは!」
何も情報が得られないため諦めた。と、判断されたのだろうと安心してしま
った彼女には見事な奇襲となった。
「あ~~~ははははははははははははっ・・・や、やめてぇ~!やめてってば
ぁぁぁぁっっっはっはっっははっははははははは!!」
予想もしなかった不意打ちに、クレアは呼吸を乱して息を詰まらせながらも
沸き上がる笑いを止める事が出来ず激しくのたうち回る。こらえようにも四匹
四種の責めパターンと不規則なローテーションは、その構えすら行う余裕を与
えなかった。
「いやぁっはははははっはははははは!く、くるしっ、苦しぃ~~ひひゃっっ
ははははははははは、あひゃはははははははははは!!」
そしてまた、彼女の呼吸がピークに達したと見るや、その責め手を止め、彼
女が気を抜く一瞬を突いては再びくすぐり始める。
クレアは狂ったように大笑いしながらも、モンスター達の手口を理解してい
たが、どうしてもくすぐりから解放された瞬間は気を緩めて呼吸を求めてしま
い、いいように、そのくすぐり波状攻撃に翻弄され続けてしまうのだった。
数十分後。
地獄以外の何物でもない責めが、またモンスターの合図によって中断された
時、クレアはもはや呼吸以外の事を考えられなかった。
小モンスター達は最初に姿を現した柱の影に姿を隠し、今、室内にはクレア
と最初のモンスターだけとなっていた。
「さて、何か思いだしてくれたかな?」
「ほ、本当に・・・知らない・・・」
げほげほと咳き込み、懇願するように答えるクレア。
「ほう、そうか・・・」
ゆっくりとモンスターの右手が挙がった。
それが何の合図か悟ったクレアの表情が恐怖で引きつった。今、彼女は先に
消えたニーナ・メイと同じ恐怖を味わってあり、彼女自身それを自覚してい
た。
「ほ、本当なのよ・・よ、よして・・・・」
当初の威勢が完全に失せたことを実感したモンスターは、表情を変えず左手
の合図を送った。
その途端、床に磔となっていたクレアの背に大きな穴が現れ、彼女はその穴
に飲み込まれて消えていく。
「ふふふふ、知らないのは当然と言えば当然。さて次も楽しめる獲物が来てく
れればいいがな・・・」
末端にあたるこのモンスターにとって、情報の獲得は実のところ最優先事項
ではなかった。恐らくは、この塔に攻め込んでくる面々の中に情報を持つ者は
いないと言うのが、彼等の主たる魔王の見解であり、その事を問題視すらして
いなかった。
ならばどうするのか?と言う、ささやかな疑問もあったが、それ以上考える
事をこのモンスターはしなかった。
知ったところで彼等の状況に変化が生じるはずもないのだ。彼はただ、与え
られた指示に従い、その範疇で許されている行為を楽しめれば、それで良いと
納得し、次の楽しみの到来を期待して小さく不気味に笑うのだった。
旧『塔』あるいは初代『塔』の第一話に該当する本エピソード。
当時のファイルを確認してみると、日付には1998-11-25の表記が・
・・
10年以上前の物だったんだぁ・・・と、思わずしんみり。
他のエピソードでも言える事ですが、それを読むと、当時自分が何に影響され
ていたかが思い起こされてしまいます。
当時読んだ18禁ファンタジー小説だったり、くりぃむ・・・の小説だった
り、○レイヤー○だったり・・・・
それでも、くすぐり描写の参考になる物は皆無だったため、どう書こうか悩ん
だ記憶もあります。
これは今でも言えることで、塔の世界観からすれば、かなり何でもアリなが
ら、どんな手法にするかで、ネタ・シチュエーションに煮詰まる事が多々あり
ます。
そろそろいい歳なので、ネタ枯渇に少々怯える昨今です。