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2011/09/04(日)に投稿された記事
第2章-獣魔の街編- 第8話 魔女の悪戯
投稿日時:04:07:17|コメント:0件|》本文を開閉
ディレクトリ:くすぐりの塔AF -魔王の後継者達-
ところで、太古の昔から日本人は触手好きとして有名な民族ですが、私も例外なく大好きです。
苦手な人もいるかも知れない、だけど触手って素晴らしい。
どうして日本人は触手好きが多いのかと言えば、
実は太古の日本には大触手生命体「ウネウネ大王ショクシュリオン」が住んでいて、
女の子さんたちを捕らえてはにゅるり、捕らえてはにゅるりしていなかったとしても、俺はそうであったと信じたい。
まったく関係ありませんが、ナウシカのオームみたいな足が隙間無く生えた、マット状の触手さんに覆い被さられてゲラゲラ笑っているかがみさんって素敵。うわ、本当にまったく関係ない。
ところで、ジーンダイバーならまだしも、実は私は恐竜惑星も見ていたという事実を思い出して愕然としています。
意外とマンガ見てるな俺・・・
ちなみに、恐竜惑星をやってた頃、俺は14歳でした。
NHKの電波入らなくてケーブルテレビだった公民館で見たの懐かしいなぁ。
長い長い時間をかけ、あれこれと迷った末にウェイブが選んだ剣を見て、ラーディは内心落胆して呟いた。
それは、彼がここに来て最初に良いと言って手にしていた物で、以後それを比較基準にするかのようにして、幾つもの剣と見比べていたのだが、結局最後には基準点に戻ったのである。
その剣には特に特殊な能力も付与されてはおらず、凝った紋様や形状も施されてはおらず、ここにある全ての武器を通してシンプルな部類に入る物だった。
「ああ、俺には一番しっくり行きそうだ」
それでも当人は納得しているようで、既に他の武器に関心を示していなかった。
刃の長さは一般的な片手剣の物とほぼ同じ両刃の直刀で、唯一の特徴として、柄の上部から下部へとフレームが繋がっており、一種のナックルガードとなっている点があげられる。
それを二本、両手に携え、ウェイブは満足げに笑んでいた。
「どこかこれを試し振りできる手頃な場所に案内してくれないか?」
二本の剣を軽くぶつけて、その金属音を楽しみながらウェイブが求めると、それを予期していたラーディは無言のまま頷いた。
どうせ持て余す力なら、村の外周部開拓に少しでも利用しようとする打算の結果、彼は門外のとある場所へ向かおうと考えていた。
「早速行くか?」
「頼むよ」
相手の意志を確認したラーディは、また目移りされては厄介と考え、少々強引なまでの様子で武器庫からウェイブを追い出すと、有無を言わせず施錠して彼を促した。
「それで、どこへ?」
案内されるまま後に続いていたウェイブだったが、門外に出た事で目的地に多少なりとも疑問が生じた彼は、先行する相手に問いかけた。
「この少し先に水場がある。天然の物だが我々も利用している。そこで指定する樹木を相手に腕を披露してくれ」
「ああ、そういう事・・・」
意味ありげに笑って説明するラーディを見て、ウェイブは自分の新しい剣の試し斬りにかこつけて外壁周辺の整備の手伝いをさせられるのだと納得した。
どうせ断るほどの内容でもなく、状況を利用してくるのなら、思い切って手伝おうと決心した彼だったが、直後嗅覚が感じとった臭いに思考を中断させ足を止めた。
「何か焼けた臭いがするな・・・」
ラーディもウェイブと同じ物を感じ取って足を止め、周囲を見回した。
「山火事・・・とは言わないか・・・とにかく火事の類じゃ・・・・ないよな」
もし森林火災であれば、樹海内の生物の一斉パニックによって事態がはっきりしたことだろう。だが、それが無いことから、局所的な燃焼である可能性が高かった。
「誰かキャンプでも?」
とりあえず地元民を疑ってみるウェイブであったが、その返答は聞くまでもない。
「あるわけない」
そう、ここでわざわざキャンプをするくらいなら、少し歩いて街に戻るのが当然である。
「なら、戦闘の可能性大・・・かな」
少なくとも、自然界で生じた火災は大規模な物に発展する。そうでなければ、局所的に炎を発生させる火薬や魔法を用いた行為、すなわち戦闘が行われた可能性を疑うのが自然といえる。
ここでは日常茶飯事ではあるだろうが、時期が時期である。『何者』による行為かというのが疑問の焦点となり、その最悪かつ、良くありがちなパターン発生の可能性に緊張感が自然と沸き上がった。
「おい、あれ・・・・」
不意にラーディが促した。進行方向先、彼等の目的地であった水場のほとりに、見慣れぬ物体を発見したのである。
それは一言で簡潔に表すなら『繭』であった。ただ、世間、そしてこの樹海に住む彼等の常識から見ても遙かに大きなサイズで、樹皮にも見えなくもない表層をしている事から、森の中、とりわけ遠目では見分けがつきにくく、見ようによっては樹が病気で瘤を作ったようにも見えた。
だが注意して見れば、その物体のところどころから、触手の様な物が幾本も伸びて周囲の木々に付着し、安定を保っている事から、それは病気などの類による現象ではなく、繭という表現の方がより近いものである事を証明していた。
もちろん原住民のラーディにも初見の物体であり、更に注視すると、中で何かが動いているのが確認されたため、自然と警戒心がつのった。
「近づくな・・・」
それを見たウェイブが呟くと、言われるまでもないとラーディが頷く。正体は不明だが、アレは間違いなく生物であり、敵性生物あるいはモンスターマスターの能力の一環であったとしても不思議ではない。
最悪戦闘になるだろうと予測したラーディの危機感は正しいものであったが、それは杞憂だった。
「・・・・あれは、カレンだ」
続けて放たれたウェイブの言葉にラーディは耳を疑って彼を見た。
ウェイブの表情は緊張感で包まれ、迂闊な動きは即、死に繋がるかのような真剣さを滲ませており、耳にした言葉が聞き違いかと思うほどであった。
「・・・・何?」
「カレンだ。彼女が中にいる」
聞き間違いではなかった。一つの確認がとれたものの、その答えによってラーディには新たな疑問が生じてしまう事になる。
「・・・・アレにカレンが?彼女、人間ではないのか?」
いくら人の生活圏から隔離されていた彼等でも、人間の生態は知っている。
「ああ、あいつは魔女だからな、幾つもの姿を持ってるんだよ。あの蛹の中で新たな姿に・・・」
それを語りだした瞬間、ウェイブの緊張感が途切れた。その、あからさまな説明では一人の同意者も得る事が出来ないのは明白で、その場を大いに白けさせた。
「・・・・・悪かった、冗談だ」
ラーディの沈黙と視線に耐えかねたウェイブが、あっさりと虚偽を認める。
「ではアレは何だ?」
「ああ、実のところカレンであることは間違いないんだ。あんたも悪趣味と思ってただろう彼女の鎧が変化して、ああなったんだ」
「変化?」
「彼女のあの鎧は生きてるんだよ。魔法生物の類だと思ってくれりゃいい」
正直に魔王の遺品とか言えば、また疑われるだろうと思ったウェイブは、より説得力ある嘘を述べる。無論、それもにわかに信じがたい内容ではあったものの、眼前に証拠がある以上、全否定はできなかった。
「ああした形状になった理由は?」
いまだ半信半疑ではあったが、生物の行動には何かしらの意味が存在する。鎧が生きている話が事実であれば、現状にも当然理由が存在し、ラーディはそれを問うた。
「消費された魔力を回復中なんだよ」
周囲をよく見回して、魔法攻撃の痕を何カ所か見つけたウェイブは、状況を把握して答えた。
「回復中?」
「ああ、つまりは一戦闘あったんだろうな。それで周囲の状況が納得できる。詳細や結果はわからないが、あの状態になってるなら、カレンは無事って事だ」
「今ひとつ分からないんだが・・・・・」
彼女をよく知るウェイブはともかく、知り合って間もないラーディはまるで状況が把握できず困惑する。
「つまり彼女の鎧は、ただ生きてる訳じゃない。主を護ったりサポートしたりする役目もあって、そうした活動をする度に消耗するわけで、その都度、生き物らしく定期的に栄養補充が必要になる。で、その食事に類するのがあの状態なわけだ・・・」
「・・・・・その中にカレンがいると?」
説明を聞いていたラーディが、事態を確認するように問いかける。実態を知る者ならともかく、今の説明だけではカレンが喰われているとしか聞こえなくても、不思議ではない。
「ああ」
「それはつまり、カレンが栄養の対象になっているって事か?」
会話の内容からして過去何度も行われている現象であろう事から、その表現が正しくないだろうと思うラーディは、微妙な表現にした問いかけで、改めて返答を待った。
「そうなるね。でも鎧の栄養摂取は俺達みたいな『食事』とは根本的に異なってて、命には関わらないよ」
ウェイブにも彼が何を尋ねようとし、何を心配しているのか容易に理解でき、その危惧を晴らす。
「そうなのか?」
「自然界にも存在するだろ。生物の老廃物なんかを餌にする虫やら魚やら・・・・アレと似たような物だと思えばいいさ」
「そんなのもいるのか・・・・」
「その辺に幾らでも・・・なんて訳もないけど、そんなのも一応いるんだよ・・・」
事実だから仕方ないと言わんばかりの言葉に、無理矢理ながら納得させられたラーディは、異質な物体に対する警戒心を解いた。が、そのタイミングを見計らっていたかのようにウェイブが叫んで、彼の注意を呼び戻させた。
「だけど近づくな!」
それは真剣そのものだった。
「あの状態の鎧は、無防備とも言える中の主を守るために過剰防衛モードになっているから、迂闊に近づくと串刺しになるぞ」
「そ、そうなのか?」
「ああ、経験者の言葉は信じた方がいいぞ」
この言葉に、これまで以上の重みを感じたラーディは、そうした事実を彼が身体で学んだのだろう事を悟った。おそらくは命に関わった事態に至った経験もあったのかもしれないという予想もあったが、それは聞かない方が良いだろうと彼は思った。
と、その時、繭が異様な脈動を始め、その中の存在を解放する行動を行った・・・・
時は少し遡り・・・・
眼前の敵を倒し、レギアスと名乗った相手も完全に姿を消し、今度こそ周囲に平穏が戻った事を確認したカレンは、大きな息を吐いて、地面のへたり込んだ。
「カレン?」
その様子を目の当たりにしていたサナが、身動きできない状態のまま、その身を案じるたが、彼女は心配ないと軽く手でゼスチャーしながら苦笑をもらした。
「大丈夫、ちょっと疲れただけ」
勝ったとはいえ、魔法の効きにくい相手に魔法攻撃主体で対応し、最後には肉弾戦を仕掛けたのである。基本的に魔法使いであるカレンには、かなり不効率な闘いであったのは否めず、その疲労は当然ともいえた。
その状態でレギアスとの一戦を行えばどの様な結果に至ったか、戦闘の素人であるサナにも予想は簡単な事であった。
「嘘だったのね・・・」
「え?」
鋭い指摘に、カレンが僅かに動揺する。
「レギアスとの事よ。余力を残してたみたいな事いってたけど、かなり危ないはったりだったんじゃない」
「え、えぇ、まぁね・・・・」
若干危機感に差があるのを実感し、少し引きつった笑みを浮かべてカレンは応じると、少し足下をふらつかせながら立ち上がる。
「何にしても、今の状態じゃ心もとないわ。回復処置をするからつきあってくれる?」
この時、彼女の中では、状況を利用しようとする邪な意志が胎動し始めていた。
「回復・・・できるの?」
「魔法で簡単に・・・って、訳じゃないけどね」
「それは良いんだけど、私、まだこの状態だから何にも出来ないんだけど」
少し含みのある笑みを浮かべてカレンが言うと、サナは手足を軽く動かして未だ糸から解放されていない事を見せつけた。
彼女にしてみれば解放してほしいという意図があっての発言だったのだが、カレンはそちらにではなく台詞の前半に反応していた。
「つきあってくれるのね?」
「え?ええ、だから・・・」
早く解放してくれと主張しようとした矢先、カレンが歩み寄り彼女の両肩に手を差し伸べた。
「ちょっ、カレン?」
明らかに助けだそうとする行為とは違っていた。その真意を問いただすより早く、カレンは意味深な笑みを浮かべると、身動きできないままのサナに抱きつく。そして直後、彼女の鎧の背中部分が瞬時に膨張して展開し、瞬く間に二人の身体を包み隠した。
「きゃぁぁぁっっ!!!?」
謎の生命体に取り込まれ状態となったサナは、瞬時にパニックに陥った。有機的かつ悪趣味と思っていた鎧。しかしながらその使用に関しては個人的好みの範疇であり、あくまでも防具であるはずの『鎧』が、このような変化を生じさせたのである。モンスターマスターのような変化に慣れていた彼女も、こうした現象には免疫がなく、目の前のカレンも何か未知なる生物の擬態した姿で、人間とは異なる存在ではないのか?という疑問を抱かずにはいられなかった。
「あ、あなた一体、何者?魔界の使者?樹海の新種モンスター!?」
周囲を覆われながらも、内部には光を透過させているかのような明るさが保たれており、互いの顔がはっきりと見て取れた。その中で、サナは変わらぬ表情の相手を見て、大いに混乱した。
「酷いわね・・・これでもれっきとした人間よ・・・見れば分かるじゃない」
一方で、相手が何に同様しまくっているかを理解しているカレンは、わざとらしくむくれて見せる。
「私の知っている『人間』って種は、こんな変化はしないわよ」
「だから少し落ち着きなさいよ。私の身体のどこが変化しているっていうの?ほら?ほらほら?」
カレンは二人の居住空間としては狭すぎる中で、もそもそとアンダーウェアを脱ぎ下ろして露わにした身体を左右に捻り、身動きできないサナに背中を含めた全身を披露して何ら変化の無い事実を見せつけた。
「ほら、変化したのはミファールだけでしょ」
「ミファール?」
自身の疑いを否定する行為を言動で示すカレンであったが、状況を理解できないサナには意味不明な単語でしかなかった。
「そ、私の頼もしくも可愛い、生きた鎧。防御も抜群、攻撃に関してもサポートしてくれるパートナーよ」
指先で手近な肉壁を突っつくカレン。それを見てサナは生きた鎧の事実を辛うじて認識する。
あまり聞かない話でもあり、彼女の武具に対する知識も豊富でない要因もあるが、一定の意志や生物的活動を行う鎧の話は一応、聞き知っていた。だがそれは、どちらかというと『呪いの・・・』という内容であり、ここまで顕著な生物的活動を見せる物は珍しいと言うか、聞いた事がない。
こうまで生物的変化をする鎧を、鎧として装着するには余程の度胸が必要だろうと、サナは自分の場合を想定してそう思った。
「・・・気を許すと喰われそうなパートナーね」
それが彼女の率直な意見であった。
「大丈夫よ。人間みたいな食事で栄養摂取しないから」
「そ、そうなの?」
やはり生き物である以上、栄養摂取が必要であった。人間的思考で栄養摂取=捕食という思考が成り立つため、少し怖い想像をしたが、その安全性に関しては、所有者がそう言い切る以上、それは事実だろうとサナは思う。
だが、異質極まる生物に周囲を完璧に覆われて、良い気分がするはずもなく、彼女は不安げに辺りの肉壁を見つめ、何となく食虫植物に捕らわれた蝶の気分となった。
「それで、何を・・・」
意味もなくこの状態になったわけではない。それを確認する意味でサナが問うと、カレンはきょとんとした表情で彼女を見つめた。
「何を・・・って、今さっき言ってたじゃない。回復処置をする。サナも手伝ってくれるって」
「それとこれと、どういう関係があるのよ?」
「こういう関係よ」
その質問を待ってましたと言わんばかりにカレンは周囲の肉壁を両手でなぞり、既に表層に滲みはじめていた粘液を掌にすくい取ると、その手を無防備にさらけ出されていた彼女の腋の下に差し伸べ、激しくまさぐった。
「うきゃっ!?うやぁっっははははははははははははははは!!?」
その痛烈な不意打ちは、サナに堪える間も与えず、突如襲いかかった感覚に彼女は大きく身を仰け反らせた。
「何っ、何!?なぁはぁあぁにぃぃぃぃ~~~~~いひゃっっはっはははははははは!!」
カレンの指は悪戯程度の行為に止まる事はなく、容赦なく閉じられない腋の下で蠢き、敏感な窪みを責め続ける。
サナは反射的にかつ必死に手足をすぼめて、今責められている箇所をガードしよう、逃れようと藻掻くが、クモ男の糸は死して尚健在であり、捕らえた獲物を逃そうとはしなかった。
「いやっっっっはははははっははははははは!やめっやっははははははあはっはっっはあはあははははは!やめてっやめっやっっやぁっははははははは!!」
自力での現状脱出が不可能と早々に理解したサナは、残る最後の手段、当事者への呼びかけを行おうとするが、脇の下から止めようもなく溢れるくすぐったさに、ろくに言葉を発することも出来ないでいた。
「んふふふふふ~~良い反応よ~」
サナの様子を満足げに眺めてカレンは指を蠢かし続ける。その力加減はやや強いものであったが、肉壁から採取した粘液がローションの役割を担い、程良い滑り具合となって絶妙の感覚を生み出していた。
「ひひゃはははははははっ!あ~っはははははははははは!あひっ、ぁっ、あひあひゃはっはははははは!」
ニュルニュル・ヌチャヌチャと、指と粘液が絡まって腋の下で音を立てる都度、気が狂わんばかりの刺激が瞬間的に生じてサナの身体を駆けめぐり、意識とは無関係に身体を弾けさせる。
「ほ~らほら、もっともとっと、笑い悶えて狂ってね」
カレンは恐ろしげな事を悪戯っぽい笑みを浮かべて語ると、両腋の下に両手の指を添え、爪を立てた指先を一気に腰の方へと滑らせた。
「ひきぃっ!・・・・・ひっっ・・・・はぁぁっっ!」
腋の下から始まり胸の側面、脇腹、腰へと生じた引っ掻くような刺激にサナの身体はプルプルと震える。
腰にまで至った指先は一端身体を離れ、それを見た彼女は小さく安堵したが、その次の動きを目で追って、瞬時に引きつった表情に変貌した。
「ちょっ!カレン止めて!待って、すとっすぅひゃ~~~~~~~っっははっはあはっはっはははあははははは!だめぇ~~~~~~っっへひゃっっははははははははは!!あぁっっははははははははははは!!だめだぁっって、ひひゃっっはははははははははははははははは!!」
カレンは、指の滑りが少し悪くなったのを察し、再び肉壁から粘液をすくい取って補充したのである。そしてたっぷりと粘液にまみれた両手を、服の下に潜り込ませて両脇腹を襲ったのである。
指先が立てられサナの柔らかい脇腹が力強く何度も揉まれるが、粘液によって滑る指は、肉を摘まんで痛みを与えるような事は決してしなかった。
「うっうわっうわはっっははははははははははは!うひゃぁっっははははははははははははははははは!!あ~っっっはっっはははっはははははははああぁ~~~~~~~!!」
サナは笑い悶えながらも、嬉しそうに自分をくすぐり続けるカレンを見て、彼女が状況に対応してクモ女になったのかと錯覚した。その自分を絡め取る糸は、肉壁から溢れる粘液を吸って、徐々にその粘着力を低下させてはいたが、未だその拘束力は健在で渾身の力で藻掻く獲物を手放そうとはしなかった。
「何がっなぁぁぁぁ~~~~~っっはああっはははははははは!なぁにぃが、かかかかかひゃっっははははははっははははは!かいふくぅふぅふううふふひゃっはははひょぉぉぉぉ~~~~~~」
疲労する一方でしかないサナは、必死に原状の回復と、どう繋がっているのか訴えかけた。
「ん~~~~?わかんないぃ?」
何度か同じ言葉が繰り返され、ようやく意味を理解できたカレンが意地悪く聞き返した。
「わきゃっははははははははは!わきゃりゅわけっっっへへへへへへっないぃぃっ!」
「私の回復促進の為には、ミファの回復をさせた方が早いのよね。それでぇ、その回復のためには栄養を与えるのが一番早いのよ。さっき、ミファの栄養摂取は食事とは違うって言ったの覚えてる?」
「あひあははははははははっははははは!あぁ~~~っっっはははあははははは!!」
「覚えてないのぉ?ねぇ?」
実際、くすぐったくてそれどころでないのを知りつつも、カレンは意地悪く問いかけると、指の動きを更に強めて再度問う。
「いやぁ~~っっはははははあっっははははははは!いきゃっっひゃっっはっはっっはははっっっはあはははあひゃひゃひゃひゃっっははははは!!おぼっ、おっ、おはひゃっははははは、おぼえっへへへっ!おぼへてるわぁぁぁぁ~~~っっはははぁきゃははあぁぁぁはは!」
あらん限りの力を振り絞って身悶え、必死に首を縦に振るサナ。しかしその質問に答えたからといって、彼女がくすぐり責めから解放されるわけではなく、その地獄は継続されたままで話は続けられる。
「実はミファの栄養って、人の精神波なのよ。ちょっと悪魔っぽいでしょ?一応、恐怖とか怒りの感情とかでもOKみたいなんだけど、一番好きなのはこういう行為の時のヤツなのよ」
「こぉっっほほほほほほほぁひゃはははははははは!これが、こっっこれ、これが食事なのぉぉほぁぁっっははははははっはははははははは!」
カレンの指は容赦なくサナの弱点に食らいついていた。同姓故かその力加減やポイントへの責め方も的確であり、その責める範囲は広くもないのに、くすぐったさの慣れはなかなか生じる事がなく、尽きることのないくすぐったが泉の源泉のように止めようもなく溢れていた。
これはカレン個人の技量による結果だけではない。よりよい栄養を得るため、ミファールが助力していた結果でもあった。
ミファール自身、保護対象が二人になっているだけで特殊な活動は行っていない。カレンが一人で栄養を与えるいつもの時と何ら変わらない、肌を敏感にさせる粘液と興奮状態にさせる気化成分を分泌しているだけで、その効果が現れているだけなのだが、それの免疫がないサナには顕著に効果が現れ、未体験ともいえる激しいくすぐったさを味わうことになると同時に、これまでにない程、肌を過敏に仕立て上げていた。
そうした意味では、ミファールの栄養摂取は準備段階で本格的な段階には入っていないといえたが、そうした事実をサナが知り得ようはずもない。
もちろんそうした状況を察する余裕もない。単純な思考ですら、止まることを知らないくすぐったさに押し流されてまとまりを見せず、結果を体験してから答えを知るのである。
「さ~て、もうそろそろかなぁ?」
上気した肌、時折天井から滴る粘液の具合を見計らい、カレンが呟く。
「なに、なぁ~~~~っはっはっははっはははははは、はひゃっっはははははははあははははははは!なにぃ~~~~!!!」
もうサナはどこをどう触れても敏感に反応した。僅かな指の動きが最大限のくすぐったさを与え、彼女を笑い狂わせる。だがそれは僅かな加減で快楽の真っ直中に墜ちる、実に微妙なバランス状態でもあった。
この僅かな密閉空間内で、そのバランスを自由に司れる立場にあったカレンは、客観的に見て頃合いだと感じると、ミファールに指示を送り、自らも行動に移った。
「サナぁ、一緒に楽しみましょ」
実のところ自分も我慢していたカレンは、くすぐりの手を止め、恍惚の表情でサナを見つめると、相手の返事も待たずに密着した。
「今度は何ぃ!?」
その疑問は、瞬時にして答えが結果として目の前に現れた。
二つの女体が重なった瞬間、周囲を囲む肉壁から無数の触手が現れ、彼女達に群がったのである。それはたちまち中の狭い空間を埋め尽くし、二人は首から下を触手で埋め尽くされる形となる。
もちろん、ただ埋め尽くしただけではない。遮られ視認出来ない場所では、触手が激しくのたうって、二つの女体を遠慮なしに責め立てていた。
「はぁぁぁぁぁ~~~~~ん」
「んぁあああぁぁくひゃっはははははっはははははぁぁぁん」
それは無秩序故の不規則極まる快楽とくすぐったさであった。
触手は二人の腋の下や足の裏といったくすぐったく感じるポイントを先端でなぞったり、背筋を上下したり、着衣の中に潜り込んで胸や尻を的確に刺激する一方で、触手全体を擦りつけるようにして刺激を送り込むなど、あらゆる箇所を丹念に責めていた。
その一方で、密度の高い触手の群が蠢く度に、予期しない接触も生じ、もどかしいともいえる緩慢な刺激も生じさせ、統一されない感覚が二人を襲ったのである。
決して同じパターンが二度と繰り返されない中で、二人の少女は快楽とくすぐったさに翻弄され、どちらがどちらの声か分からない程の喘ぎ声をもらし続ける。
この時点でサナを拘束していた糸は、その役割を失い、彼女は四肢の自由を取り戻していたが、もはやこうなってはどの様に姿勢を変えようと状況は変化を示さず、逆にどれだけ足掻こうと、送り込まれる感覚を緩和させる事は不可能である事実を痛感し、一方的に嬲られ悶えるしかなかった。
「いっいあぁぁぁっ・・・あ、あふぅううん」
「すごっ・・すごいでしょぉぁぁぁぁぁ~~~ん」
二人は眼前にお互いを確認しながらも、まともな会話も交わせぬまま悶え続ける。
聖職者が見れば、堕落の局地・悪魔の誘い・・・とでもいいそうなこの状況は、それほど続くことはない。もともと最終段階としての行動であり、粘液による効果が最大限になっている事もあり、二人の限界が眼前に迫っていたのである。
「ふあっ、ふぁはぁぁぁぁぁぁ!!」
「んくぅぅ~~~~~~~~!!」
それはあっさりとやって来た。
こみ上げてくる終着への波を、まるで堪える事が出来なかった二人は、普段有り得ない勢いで絶頂を味わいながら一気に果て、同時に項垂れた。
そしてしばらくの間、余韻と言うには強烈とも思える余韻を静かに堪能し、ようやく意識が通常状態に戻った二人は、ゆっくりとミファールの中から這い出し、偶然居合わせたウェイブ達と対面する事となる。
合流直後、乱れきった情事の後の姿を見られたサナによる、ささやかな騒動の後、事態を把握したウェイブ達は、何とか場を治めて街へと戻り、その後、妙に生傷を作っていたタールとも合流して再びサナ宅へと戻った。
「さて、とりあえずみんな合流した事だし、少し話をまとめようか?」
差し出されたホットミルクを軽く口にしながら、ウェイブが一同を見渡し、それに異論がない事を確認する。
「まずは、モンスターマスター騒動の張本人・・・レギアスって人だけど、どんな能力を持ってるのか知ってる?」
この情報の有無だけで戦局は大きく変化する。この重要事案に関しては、地元民に頼るしかない。
「いいや、残念ながら・・・・」
期待の眼差しを受けたラーディがすまなそうに答えると、サナが言い辛そうに口を開いた。
「彼、正確には、未完成なのよ」
「未完成?」
少々理解できない単語をタールが復唱した。
「そういえば、準備できてないとか何とか言ってたわね。それと関係あるの?」
当時の言葉を思い出し、カレンも問いかける。対峙した際の妙な緊張感を考えれば、何らかの力を隠していたのは明白であり、その未完成という意味が今ひとつ信じられなかった。
「何の準備か・・・・って、聞くのは無駄かな?」
同じ街の人間の所業とはいえ、全てを把握していると考えるのは無茶であると思いつつも問いかけてしまうウェイブに、サナは予想以上の返答をする。
「詳細を尋ねるのは無駄だけど、おおよその見当はついてるわ」
「何だ?」
「最初に言ってたでしょ、目的は最強の存在になる・・・彼等はその為の試行錯誤で多くのモンスターマスターを創造しながら、より完璧な製造手法を模索しているのよ」
「それじゃ、今までの連中も、所詮は実験台か・・・」
完成に至っていない相手に苦戦していたのかと感じたタールが少し悔しそうに唸る。
「いいえ『モンスターマスター』としては成功はしているの。でも、彼等はそれでは飽きたらず、自分は他よりも一歩上の存在になる事を目指しているのよ」
「自分も同じ存在になる以上、創始者としてはモルモット連中と同格ではいられない・・・・か?」
「ま、あり得る話だね」
タールの指摘はやや短絡的っぽくもあったが、実際の所、真実を捉えていた。
誰よりも上でありたい・・・・それは人の抱く欲望としては当然の事ともいえる。
「それで、さっきの話では、創造者はレギアスとか言う奴と、もう一人いるんだったよな?そいつはどんな奴だ?」
まずは全ての諸事情を知っておこうと思っていたウェイブは、気になる点全てを問いただすつもりであった。
「もう一人の彼は、名をセイムといって、街では腕力より知力に長けた奴だった・・・」
少し過去を振り返り、感慨深そうにラーディが呟き、それをサナが一部訂正した。
「長けたってレベルじゃなかったわ。古代文献を自力で解読したり、発掘される古代アイテムの利用法を解明したり、その知識は日増しに高くなってる様にも思える程だったわ」
「それがある時・・・・」
話の流れからしてそうなると察したカレンが呟くと、サナとラーディは同時に頷いた。
「ええ、モンスターマスターに関する文献を解読して、それを実験しているうち・・・・」
「人が変わった・・・と」
確認するウェイブに、頷くラーディ達。誰もが良くあるパターンだと思いつつも、力に溺れるのは人の業なのかと、思わずにはいられなかった。
お約束でもパターンでも、事実として存在する以上、目を背けられない事を知るウェイブは、改めて二人に視線を向け、最も危惧している点を問うた。
「一応確認するけど、首謀者はその二人だね?後になって黒幕登場とかないよな?」
「それは無いはずよ」
即答するサナ。詳細を知る人物という訳でもないが、事情を知る身から言えば、それは無いと断言できた。
「だろうね・・・簡単に横取りできない技術である以上、それはないか・・・・なら逆に、技術を持つ首謀者さえ何とか出来れば、これ以上の犠牲者は出ないか・・・・」
「それはそうかも知れないが、既にモンスターマスターになっている連中はどうなる?」
「それは被害拡大が止められたら・・・の課題にしない?首謀者さえ何とか出来れば、和解の可能性だってあるかもしれないだろ?」
タールにしてみれば、これまで遭遇した相手の気質から、暴走は止まらないと思っていた。出来れば始末しておくべきと思う意思がある反面、それが容易でもないと察しているため、いつものような強行案の主張を控えており、その心情を理解しているウェイブは、自分でもあまり期待していない平和的案を掲げた。
「そんなわけで余計な戦闘は控えたいんで、試みに問うけど、連中って何処にアジトを構えているかは知ってるか?モンスターマスターを産み出す儀式の場所でもいいけど」
「いいえ・・・・街の中ではないこと以外は・・・」
この質問には至極当然の答えしか返せないサナだった。
「その辺は慎重みたいで、俺の時も眠らされて移動されたんだ。だが、何故、そんな事を?」
所在はともかく、儀式の場所まで問うウェイブの真意が分からず、ラーディが問うた。
「いや、詳しいやり方は皆目見当がつかないけど、モンスターマスター創造・・・みたいに生き物を合成するような作業はそれなりの施設というか場所が必要なものだからね。そうした場所が本拠地である可能性が高いと思ってね」
「成る程・・・だが、悪いが俺達には・・・・」
「ま、仕方ないね。場所を知ってたら、ラーディ達だけでも何とかしようととっくに考えるだろうしね。となると、敵の一人を捕まえて尋問するって方法もあるけど・・・・」
そこまで言って、ウェイブは視線を意味ありげにカレンに向けた。
「何よ・・・」
「それに関しては以前失敗してるしな~」
彼の脳裏には、モンスターマスター第一波との闘いで、エキサイトしたカレンによって情報源になるはずだったザイアに引導を渡し、途方に暮れた出来事が思い出されていた。
あの時、打算からサナの接触がなければ、一行の運命や行動も、予測不能なレベルで異なっていた事だろう。
「悪かったわね。今度は上手くやるわよ」
「上手く殺るんだろ?あてに出来るか・・・・」
ふくれっ面のカレンに皮肉っぽく笑んで応じるウェイブだったが、ふと思うところがあり、いきなり視線をサナ達に向けた。
「っと、そうだサナ!その学者・・・セイムだったか?そいつがモンスターマスター関連の文献を見つけたって場所は判るか?」
「え?えぇ、それなら・・・確か北西にある遺跡の中だったはずだけど・・・」
それは街では結構有名な出来事であったため、多くの人が記憶している事でもあった。その記憶を思い起こそうとするサナに呼応するかのようにラーディが頷き、彼女もその記憶が正しいと確信した。
「地図みたいなのはあるか?」
「ああ」
それにはラーディが応じた。
「大まかにでもいい。教えてくれ」
「何かああるの?」
「勘と予想だけど、普通、実験の為の資料とか手引き書って物は、実験現場に置いておくものだろ?」
「何が言いたい?」
少し回りくどいウェイブの言い回しを理解できなかったタールが問い返した。
「つまり、料理のレシピを置いておくのはたいがい、厨房なはずだろ?そうした理屈で考えれば、文献のあった場所かその近辺に施設そのものもあるって考えられないか?」
「・・・・・かなり屁理屈っぽいけど、否定もしきれないのは確かね・・・」
隠匿しようとしていた技術でなければ、道具と取扱説明書は同じ場所にあるのが道理であるのは確かであった。遺跡規模でその理屈が通じるかは曖昧ではあったが、今のところの手がかりとしてはそれしかないのも事実であった。
「そこが本拠でなくとも、何かしらの手がかりが見つかるかも知れないし、行ってみる価値はあると思うけど・・・・どうだ?」
「特に異議なし」
「代案もなさそうだしね」
タールとカレンは否定せず、これで一行の行動目標が定まった事になる。
「それじゃラーディ、悪いけど地図を・・」
「ああ、待っててくれ」
ラーディは軽く手を上げて応じ、所望の品を用意しにサナの家から出ていった。
それを見送ったウェイブ達は、その姿が見えなくなると改めて視線を向け直し、心の中で抱いていたもう一つの問題点を協議し始めるのだった。
「後は、その場の状況次第だけど、もう一つ考えておく事がある」
「当然、モンスターマスターとの闘いよね」
「もちろんだ。これまで数回、連中とやり合ったわけだけど、何か意見はあるかい」
「結論から言えば、今なら勝てるわ」
カレンの大胆発言に、異論者はいなかった。
サナだけは信じがたいという表情をしていたが、この話の部外者でもあり、また、実際に彼等の勝利を見ているだけに、一抹の不安はあっても。虚勢とは言い切れなかったのである。
「そう今なら俺達の方が、実戦経験の差で有利だ。連中は得た力を完璧に発揮も出来てないし、扱い切れてもいない。ある意味、力に振り回されている傾向がある。そこが狙い目だよ」
それはモンスターマスターの大きな弱点であった。ライカンスロープの様に、生誕時からその能力を持っている者は、誰に教わる事もなくその力の使い方を把握しているが、モンスターマスターになった者は、生涯で使ったことのない能力をすぐに使いこないのである。それは使い慣れた武器を変更する戦士と似た状況でもあり、適応の困難さは、例えるならパン屋が寿司屋に転職するようなものであろう。
「だがな、熟練者もいるかもしれないじゃないか?」
タールのこの指摘も正しいものであった。要は経験であり、比較的早くに誕生したモンスターマスターの中で、熱心に闘いを経験していた者がいるとすれば、それは即、強敵となる。
「それもあり得るけど、心配していたらきりがないわよ。当面は未熟者って事で、基本戦法は『一撃必殺』って事でいいんじゃない?」
「そうだね。本音を言えば、完成体の連中に真価を発揮できるようになられると、相当やばいことになりそうだからね。そうなる前にかたを付けるのが利口だよ」
「そうね、場合によっては目的地まで体力温存とか五体満足にとか、言ってられないかもしれないものね・・・」
「それにしても、今更だけどな・・・・」
「「ん?」」
「余計な騒動に首突っ込んだな・・・・」
タールの率直な意見は、彼等の巡り合わせの悪さを痛感せずにはいられないものであった。
「よぉ、セイム・・・噂の連中、見てきたぜ」
個人の研究施設にしては異様に広い部屋の片隅で、熱心に古書を読みふける青年に音もなく現れたレギアスが声をかけた。
「どうだった?」
青年セイムは驚いた様子も見せず、また、振り向こうともせずその感想を尋ねた。
「いや、実際に見たのは魔法使いの女だけだったんだがな、外からここまで来るだけあって、かなりの経験者だったぜ。それに・・・・」
「?」
「確証はないんだがな、多分、闘気士としての力も持ってやがる」
「確かか?」
その報告にセイムは本を閉じて振り向き、同志の顔を眺めた。
「確証はないと今、言っただろ。だが、戦闘形態のパイドを素手で殴り倒せる女がいると思うか?」
やはり興味を持ったかと、内心笑んでレギアスは事の次第を語る。
「決まり手は素手か?」
「ああ、奴が相手だったおかげで、その可能性を見出せた訳なんだがな」
「そうだな、他の連中なら魔法付与の拳って可能性もあるが、彼に関して言えば、魔法が直接ヒットする事はまず有り得ない・・・そうか、闘気士か・・・それで、他の連中もそうなのか?」
「さぁな、見る機会はなかったが、あの女と行動を共にしている以上、同等程度の実力はある・・・・と、思ってもいいだろ」
「それが普通か・・・一人の実力に依存して乗り切れるほど、この樹海は甘くはないもんな。それで、そもそも連中は、何の目的でここまで来たんだ?」
これはこの地に住む者の共通の疑問と言って良いだろう。過酷でしかない未開の地の奥深く、利用価値や危険に相応する見返りも保証されないこの地に訪れる冒険者など、愚者としか言えず、何らかの大きな目的があってしかるべきと思うのが普通である。
「それも解らない。だいたい、外部からの訪問者なんて生まれて初めて聞いたぜ。はっきり言って俺は、この樹海とあの街だけが人間の世界だと錯覚してた程だしな」
「永い間の隔離生活だからな」
「どっちにせよ、俺には興味のない内容だ。知りたければ自分で聞けばいいだろ」
「そうだな・・・・」
「それより、アレの所在はどうなったんだよ?そろそろ突き止められるはずなんだろ?」
「それは抜かりないよ。偵察連中の情報でかなり絞り込めた」
「そう言って前回は、少し絞れた・・・とか言って、途方もない範囲を提示してたよな?」
「そりゃ、一次調査じゃそうなるよ。でも今回は、今いる頭数で捜索できる位にはなったよ」
「本当か?」
「ああ」
「なら、早速始めようぜ」
「まぁ、待ちなよ。一応保険もかけとこうと思うんだけど・・・」
「保険?」
「ああ、保険だ。こっちが失敗しないためのね・・・・・」
彼等モンスターマスター創始者も事の最終段階へと向かいつつあった。