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2010/12/03(金)に投稿された記事
くすぐりの塔R -第8話- 『王女フレイア』
キャンサーさんの作品「くすぐりの塔」第8話です。
そう言えば、最近の俺様は本を読んでいます。
「どーすれば地の文短くできんのかなー」って。
勢いだけで書いて、勢いだけで公開してしまう、そんなエロ小説があってもいいじゃない。
そんなことばっかやってたら、痔になりました、うーむ・・・
そう言えば、最近の俺様は本を読んでいます。
「どーすれば地の文短くできんのかなー」って。
勢いだけで書いて、勢いだけで公開してしまう、そんなエロ小説があってもいいじゃない。
そんなことばっかやってたら、痔になりました、うーむ・・・
メルフィメール国内最高位の兵士であったレイラと楓。
この二人が敗北して以降、状況はメルフィメールにとって一気に悪い方向へ
と傾き、そして膠着した。
塔内で魔王討伐を目論んだチームとの小競り合いが行われていた最中、単独
で城内に侵入した魔王が、遂に保管されていた秘宝を奪取してしまったのだ。
しかもその際、真偽のほどは定かではなかったが、魔王は魔獣復活の報も告
げており、度重なる凶報に、魔王討伐が不可能という気運が国内に広がった。
だが、国民が近いうちに訪れるだろうと想像した恐怖は、早々の実現には至
らなかった。
何故か魔王側は積極的攻勢を実施せず、これまでと変わらず塔内に籠もった
ままの状況を維持していたのである。
魔獣と秘宝を手に入れたのであれば、それを用いての攻撃は当たり前と考え
ていたメルフィメール側は、危惧していた最悪の事態が起きなかった事に安堵
する一方で、魔王の真意を測りかね困惑するのだった。
そして最強の戦士を失って士気が低下した彼女達は、もはや積極的な塔の攻
略を行う意思も失せ、塔の下層あるいは外周で、モンスターとの小規模な戦闘
を行うだけにとどまっていた。
その闘いは当然、殆どが雑魚モンスターの集団で、数のみが強みとも採れる
戦法で国内に攻め入っては撃退されるのが殆どで、時に1~2人の国民を拉致
しては撤退するという事が、無意味に思えるほど繰り返されていた。
稀に奇襲・暗殺目的で塔の深部に侵入したメルフィメール側のチームもいた
が、それらはほぼ例外なく、消息を絶っているという状況であり、こうした事
から、秘宝奪取後の魔王には、まだ何らかの理由で、時間が必要なのかもしれ
ないと言う見解が大半を占めるようになってはいたが、もはやその猶予を有効
に使えるだけの選択肢を、彼女等は持ってはいなかった。
憶測と不安ばかりが交錯するメルフィメールの水面下で、事態は静かにそし
て着実に、彼女等にとっての不幸に向けて推移していた。
「・・・・・・・!!!」
深夜、王女フレイアは唐突に身を小刻みに震わせていたかと思うと、跳ねる
ようにベットから身を起こした。
窓から差し込む月の光が僅かに室内を照らす中、そこが自分のよく知る寝室
である事を確認すると、彼女は大きく溜息をつく。
彼女の全身は寝汗でびっしょりになり、頬も赤く呼吸も僅かに乱れていた。
「・・・・・・」
フレイアは、身体が火照っているのを自覚すると、無言のまま就寝用の着衣
を乱暴に脱ぎ捨て、灯りもつけないまま寝室に常備されている浴場へと向かっ
た。
彼女は闇の中、下着の下一枚と言う姿を、この場の唯一の傍観者である月に
覗かせながら、浴槽に水が満たされているのを確認すると、最後の一枚も早々
に脱ぎ捨て、王女とは思えぬ乱暴さで水に身を投じた。
いきなりの水風呂に、身体が一瞬身震いするが、構わず身を沈めると、身の
火照りを一刻も早く治めようと努力する。
不覚にも沸き上がった甘美な感覚が冷やされ、徐々に薄らいでいくのを実感
すると、フレイアは浴槽にもたれかかって、窓から見える月を眺めた。
あの日以降、王女の身は事ある毎に淫らな感覚に襲われ、欲望の誘惑を受け
ていた。それを受け入れる事が魔王への屈服を意味すると判っているために、
彼女はその誘惑に必死に抵抗していたのである。
今夜もまた、誘惑が夢の形で現れ、あの忌まわしき出来事を思い出させてい
たのである。。
忘れようとしても忘れられない、あの甘美な悪夢を・・・
「衛兵!!」
「王女、お下がりを!」
忠誠心高き二人の側近が、主を護るべく魔王へと斬りかかった。もとより勝
てるなどとは思ってはいない。城内の応援の到着と王女の逃げる時間を僅かで
も稼ぐための攻撃であった。
しかしそうした彼女等の努力は実ることはなかった。
魔王が、腕を軽く振るうという動作を行っただけで、見えない力の奔流が彼
女等を襲い、予期せぬ方向へと突き飛ばした。
もともと王女の個室警備という前線とは異なる部署の担当であった二人は、
充実していたとも言えない装備を粉砕され、一人は扉を破壊する勢いで叩きつ
けられて、一人は叩きつけられた床を滑るようにして壁に衝突し気を失った。
「そう恐れるな。何も命を奪いに来たわけじゃない。魔獣復活に協力してくれ
た礼と、その実態を軽く披露するだけだ」
後ずさる王女を前に、魔王は邪悪な意志を含んだ笑みを浮かべ、この場の優
位さを誇示すると、部屋の隅で待機していた魔獣に視線を送る。
魔獣はそれだけで意図を理解したのか、身体に不釣り合いな細い節足を使い
床を這うようにして移動を開始した。
だが、魔獣の向かった先はフレイアの方ではなかった。最初にソレが狙いを
定めたのは、倒れ伏し、半ば気を失っている側近のアンであった。
「アン、起きなさい!」
あまり好ましい事態にはならないだろう事を予期して、フレイアは思わず叫
ぶが、その指示は彼女の耳には届かなかった。
「騒ぐな。殺しはしないと言ったはずだ。それは、あの女もしかりだ。欲して
いたのだろ?魔獣の情報を?だったら見ていろ。アレがいかに無害で、あんた
達には恐ろしい存在かをな・・・・」
威嚇されて初めて、彼女は自分の背後に魔王が来ている事に気づいて息を呑
んだ。
そうしている間にも魔獣はアンの手前にまで辿り着く。
魔獣は本体から突きだしている、頭と思わしき部分を傾けてアンの存在を再
確認、あるいは臭いを嗅ぐにも似た行動をとると、細い節足を床に突き立てる
ようにして身体を持ち上げ、その体勢を維持したまま、伏しているアンの真上
へと移動した。
『キュィィ』
魔獣が鳥にも似た鳴き声をあげたかと思うと、腹部の床に面する部分がその
凹みを生じさせ、その中から何本もの触手が植物の新芽の様に姿を現した。
「・・・・・・!」
蠢く触手の群を見てフレイアが嫌悪感を抱く。触手は10センチ程度の長さ
で落ち着き、しばらくは無秩序に動き回っていたが、次第にその表層に光沢が
生じ始めているのに気づいた。
触手・・・否、魔獣の底部全体から粘液が分泌され、全体を滑らせていたの
である。その量は次第に増え、限界を超えた粘液の滴がポタリと床に落ち始め
る。
それを頃合いとしたのか、不意に魔獣が節足の力を抜き、アンの上に覆い被
さった。
「!?」
見た目でもかなりの重量がありそうな魔獣のプレスを受けたアンの姿をフレ
イアは正視できず思わず顔を背けた。先の攻撃で、鎧の大半を破壊され、身を
守る物を失った彼女が、あの質量に耐えられるはずがなく、圧死してもおかし
くない状況であったのだ。
「はぁっ!!ああああぁぁぁぁぁぁっ!」
フレイアの予期した悲鳴が室内に響いた。まだ殺しはしないという明言こそ
破られてはいなかったが、紙一重である事態に、魔王に非難の声を浴びせよう
としたした彼女であったが、それは想定外の声によって遮られる事となる。
「ぁぁっ、ぁっあっぁあっっははっははははははははははあははははは!!」
「!?」
苦悶の入り交じった笑い声。
その場違いな現象に、フレイアは視線を魔獣とアンへと戻すと、そこでは彼
女の全く想定していなかった事態が展開されていた。
うつぶせ状態のまま魔獣の下敷きとなっていたアンが、激しく笑い、藻掻い
ていたのである。
「いやっっっはははははははは!あはははははははは!くすぐったいぃ~~~
~~はぁ~~~っっはははははは!」
アンは下敷きにされていなかった両腕を振り乱して笑い悶える。時には床
を、時には魔獣本体を叩くが、それでは到底、状況の打破には至らない。
「??」
フレイアは困惑した。過度の加重による苦痛の悲鳴ではなく、悶笑。痛みよ
り笑いという現象に思考が素早く事態を把握しきれなかったが、それは観察に
よって徐々に判明していった。
そもそもアンは、魔獣の質量の加重を殆ど受けていないこと。これは、接触
直前に魔獣の底部に生じた凹みによるもので、彼女はその隙間と床に収まる状
態になっていたのである。これによって彼女は、過度の加重を受ける事無く押
さえ込まれている訳だが、同時に生じていた無数の触手・・・・それが問題だ
った。
ぴったり密着した状態で、粘液の滑りを帯びた無数の触手が彼女の身体を遠
慮無しに撫で回していたのである。
ニュルニュルとした触手がアンの身体の背面と両側面のほぼ全域で踊り狂
い、それによって生じるくすぐったさに、彼女は耐えられず笑い悶える。
粘液はすぐに彼女の着衣に浸透して肌と布を密着させると同時に、触手の動
きを更に滑らかにして一層のくすぐったさを与えるのに一役をかっている。
「あはっ、あははははははははは!いやははははははははは!たすっ、助けて
ぇ!いやいやいやいやっっっあはははははははは!!」
活きのよいウナギのように激しくうねる触手が着衣の隙間から中に潜り込む
と、一層そのくすぐったさは増大し、アンを笑い狂わせる。自由な両腕による
必死の抵抗も、魔獣本体をポムポムと力無く叩くだけで、苦しみから脱する僅
かな光明にもならなかった。
その自由であるはずの腕も、身体をガードすることは全く許されない状態で
あり、そんな無防備な脇の下で触手がうねると、彼女は気が狂ったかの様な奇
声を伴った笑い声を上げて、視認できない状況を知らしめる。
「ひぃぁぁっっははははははははは!!そ、そこはぁぁ!!ああああぁぁあっ
っははははははははは!!あ、あぁっ、あ~~~~~!!!」
例え全身が覆われ、完全に抜け出す見込みが無くなろうとも、アンは魔獣の
下に腕を潜り込ませ、狂いそうなほどのくすぐったさが生じる脇の下を隠した
いと願ったが、魔獣の身体は彼女の身体と床にピッタリとフィットしており、
そのささやかなな抵抗をも許さなかった。
ならば、這い出す事に望みをかけようとも試みても、絶妙の加重でアンを抑
えている魔獣から這い出る事も不可能に等しく、その上、少しでも抜けだそう
とする素振りを見せようものなら、触手の動きがより激しくなって、その企み
を戒めた。
「いひっ!いひゃぁっはははははははは!駄目だめダメだぁぁっはははははは
ははは!許してっ!許してっ!許してぇぇぇ~~~っっっ!!」
アンは込み上げるくすぐったさを抑える事も適わず、その感覚に翻弄され続
ける。
脇の下では複数の触手が争うようにして窪みでのたうち、脇腹・背中・尻・
太股周辺では抵抗されないのを良いことに、縦横無尽に触手が踊り続けてい
た。
そこから繰り出されるくすぐったさは、笑い疲れが生じ始めているはずのア
ンに、笑い声を止める事を許さい。
「どうだ、こいつの出来る事はこれだけだ。言ったとおり害は無いだろう?」
傍観するフレイアの背後で、魔王が言った。
「何を馬鹿な・・・このままではアンは笑い死にします!」
このまま行けば間違いなくそうなる。そう確信した彼女は、振り向いて敵意
のこもった視線を魔王に投げつけた。
「もちろんそれはアレも心得ているさ。あの女が危険な状態になれば、手加減
して死なないようにして、状況を持続させる・・・・命までは取らないが、そ
の無限地獄にも匹敵する責めが魔獣と呼ばれる所以だな。だが、女にとってそ
れも慣れれば、愉しく自ら求めるようになる」
「あ、あり得ません!」
愛玩動物とは到底言えないシルエットの魔獣に対し、愛着を抱くなどという
様な発言を、フレイアは力一杯に否定した。
「なら、試して見ろ」
余裕の表情を見せ、魔王が言った。
その視線が自分に向けられていない事を悟った彼女は、はっとなってその方
向、つまりは自分の背後に視線を向けたが、遅かった。
魔王との対話に気を取られているうちに、魔獣がその体躯をアンごと移動さ
せ、彼女の間近にまで迫っていたのである。
「!」
予期せぬ急接近に、思わず身じろいだフレイアであったが、既に魔獣の間合
いであった。
魔獣は、躯から無数の触手を伸ばして彼女を捕らえると、あっという間に引
き寄せ、アンとは逆に自分の躯の上にその肢体を拘束した。
それは見た目、乗馬の初心者が馬の急発進についていけず、馬の背に仰け反
った姿勢になってしまった現象に似ていた。
そうした体勢で左右の手首と足首が一緒に触手で拘束され、王女は魔獣の上
でエビ剃ったままの状態を強いられるという、屈辱的格好となっていた。
「ぶ、無礼な!」
身体を揺すり、脱出できないかを模索するフレイアであったが、締め付ける
触手の力を肌で感じた彼女は、それがすぐに不可能と内心理解する。
「さ、見学は終わりだ。これから、実践に入ってもらおう」
「な、何をばかな・・はぅっ!」
抗議の声もそこそこに、フレイアは小さな呻き声を上げた。
魔獣の躯の側面より、手足を拘束する触手と同種の触手が何本も生え、身動
きのままならない彼女の身体をソフトに撫でたのである。
不意を突かれたとは言え、思わず声をもらしてしまった自分に恥じたフレイ
アは、楽しそうに自分を見下ろす魔王を睨み、これ以上、思い通りになるまい
と、堅く口を閉ざした。
そんな彼女の唯一の抵抗を知ってか知らずか、触手の責めはじっくりとその
抵抗を削り取るかのように、ソフトに始まった。
首筋、胸回り、脇腹、腹回り、腰、下腹部、太股、まるでフレイアの身体を
チェックするように、丹念にじっくりと触手が這い回ると、そのおぞましさに
彼女は身震いした。
だがそうした嫌悪感に紛れて、むず痒い様な快感にも似た感覚も感じ、触手
の一うねり毎に、彼女の身体はピクピクと身震いする。
魔獣はそうした反応を触手越しに感じ、適度な反応を示したポイントに対し
ては確認するかのように往復した刺激を加えてみせる。
「うっ・・・・・くっ・・・っ」
フレイアは、触手の刺激が加わるたびに喉の奥から込み上げる声を抑えるの
に必死だった。油断すると自分でも知らなかったポイントから微妙な刺激が送
り込まれ、危うく淫靡な声を出しそうになっていた。
そうした無様な姿を、魔王に、それ以前に『男』に、見せてはなるまいと、
彼女は懸命に耐え続けていたが、そうした儚い抵抗を眺めるのも、男にとって
は一つの楽しみであり、魔獣の一挙一動で徐々にその抵抗が剥がされていく様
子は、ある種の人間にはたまらない興奮を誘う光景と言える。そうした思惑を
知らないフレイアは、懸命に耐えているつもりで魔王を悦ばせていた。
彼女にしてみれば、今行われている責めがアンと同レベルだと思っていた。
全身を触手が這うという内容では同じと言えたが、アンとフレイアでは、まだ
その力加減に大きな差があったのだ。
フレイアがその事実に気づいたのは、触手の動きが徐々に統制を持ち始めた
のを悟ってからであった。
魔獣は今までの反応から、彼女の『弱点』を把握し、その周辺を重点的に撫
で始める。
「うくっ・・・は・・くぁっ・・・」
的確にポイントを狙った責めに、フレイアの身体がビクリと跳ねる。寸前ま
で出かけた喘ぎ声をなんとか噛み殺し、彼女は続くだろうその刺激に備えた。
下唇を少し噛み、痛みによって感覚を紛らそうと備えたが、意外にも触手の
動きはそこで止まった。
視界にはいないがアンも同様らしく、周囲は久々に静けさを迎え、フレイア
はほっと息を吐いた。
辛うじて堪えていたとは言え、正直なところそれは紙一重の事であり、触手
の動きがある度に、歯を食いしばり、筋肉を硬直させていたのだ。
目に見える激しい運動こそなかったものの、拘束されていた状態での筋力公
使は、思った以上に疲労を生じさせていた。
そうして生まれた思わぬ開放感に、乱れた呼吸を整えようといていた矢先、
触手が再び活動を再開する。
そう、触手の停止は魔獣のフェイントであった。責めの中断によって精神的
防御を甘くさせ、その間隙を狙ったのである。
離れていた触手は、その先端を彼女の身体の各所弱点に正確に突き立てる
と、小刻みに震わせた。
「あっ!?あぁぁぁぁ~~~~~っ!!!!」
指先でくすぐったく感じるツボを突き揺らされたのに等しい感覚がフレイア
の体内各所で一斉に生じた。
人の責めと異なるのは、それが一箇所や二箇所ではないことである。
腹部、腰、足や胸の付け根、脇の下、あらゆる箇所の弱点で同時に責めが行
われ、彼女は思わず現状以上に身を仰け反らせた。
同時に耐え難いくすぐったさが全身を駆けめぐり、遂に彼女の防波堤を決壊
させるに至る。
「あぁぁぁぁっっはははははははははは!だめっいやっっはははははははは
は!」
フレイアは身を右に左に揺らして触手のポイント責めから逃れようと悶え
た。だが、僅かに身体をずらした程度では、触手はすぐにポイントを修正して
は的確な位置に刺激を加え続ける。
「あははははははは!あっはははははは!あ~っっはははははははは!!」
今まで堪えていた反動か、フレイアは激しい笑い声を上げながら、身悶え
る。本人としては無様に見えるだろう状況を何とかしたいと、笑いを堪えよう
とするのだが、一度解放されてしまった感覚は治まりを見せる事はなかった。
次から次へと流れ込んでくるくすぐったさに堪える精神力はもはや無く、触
手のうねりに合わせて笑い声をあげて悶えるしか無かった。
「や、やぁっはははははははは!やめっへぁっはっっははははははは!あ~~
っっははははははは!ひ、ひっ、ひぁっっははははははは!」
触手の先端責めに面白いように反応するフレイアに、魔獣も満足したのか、
得物が苦手とするその責めを主体にする一方で、力加減に不規則性を持たせて
ワンパターン化を避ける動きに入った。
それはいわゆる意地悪であり、下腹部のポイントを激しく責めていたかと思
うと、急に胸回りの数ポイントを強く刺激し、乳房の周りで触手が円を描き徐
々に乳首に近づいてきたかと思うと、今度は脇の下で触手が狂ったように震え
だす。
こうして予期できないパターンで全身を触手振動くすぐり責めにされている
フレイアは、込み上げる笑いを止める事もできずに悶え続ける。
「きぃあぁっははははははははは!あ~~~~~~~~~~~っっはははっは
っっはっっははははは!」
王女としての威厳・たしなみ・尊厳・・・・・無様に笑い続けるフレイア
に、その様なものは微塵も無かった。彼女にしても、それは今、どうでも良い
ことだった。ただ、少しでもこの地獄から逃れることさえ出来ればそれでよか
った。そうした思いを実証するかのように、仰け反った身体は解放を求めて身
を揺すり続けていた。
だが彼女の一人の力では、どう足掻こうとも脱出は望めない。それが判って
いて彼女ははかない抵抗を続ける。否、自然と身体が動いてしまうのである。
「いひひひひひゃははっはははははは!あああはははははははははは!ダメ!
そこはぁっぁ~~~っははははははははは!」
身体のどこかで触手が蠢く度に、耐え難い笑いの衝動と、それから逃れよう
とする反射反応が生じ、不自由でありながらもその身体を突き動かす。
そうした無理な体勢からの無秩序な動きが続くうちに、フレイアの着衣は派
手に乱れ、就寝時故にブラという覆いから解放されていた均整の取れた、見事
な胸を露出させ、裾もめくれ上がって太股ばかりか下着までをも披露するに至
るが、くすぐり責めに翻弄され続ける彼女が、それに気づくことはなかった。
まるで他者に自分の裸体を見てくれと言わんばかりに着衣を乱して身悶えす
る王女の姿をしばらく堪能した魔王は、軽く指を鳴らして合図を送り、魔獣の
動きを静止させた。
「かはっ・・・・はぁはぁはぁ・・・・」
触手が一斉に力を失って垂れ下がると、フレイアは無防備に喉をさらけ出す
姿勢で、大きく喘いだ。
これも先程のような罠の可能性ではないか?
そうした疑問が脳裏によぎったものの、今回はそうした奸計はなく、彼女は
呼吸がある程度落ち着くまで何事もなく過ごす事ができた。
しかしそれは慈悲によるものではない。呼吸が落ち着いたところでフレイア
は、自分がとんでもない格好になっている事に気づいて大いに慌てた。
どんなに寝相が悪くてもこうはならないだろうという程に乱れた着衣、そし
てその乱れから覗く自分の裸体。更に悪い条件を加えると、眼前に敵対者の首
領であり男でもある最悪の相手がそこにいて、その痴態を目撃し、堪能してい
るのである。
「うぅ・・・」
フレイアは言葉もなく顔を赤く染め、さらけだした状態となった裸体を隠し
たいと望んだが、四肢を捕らえる触手だけは健在で、身体を隠す自由を与えな
かった。
「どうだ、我を忘れる程に楽しめただろ?」
フレイアのあられもない姿を眺め、その羞恥心を煽るような笑みを浮かべて
魔王は問うた。
「くっ!」
彼女は屈辱に身を震わせた。不覚にも魔獣の触手の動きに翻弄された結果が
この姿である。普段から高慢な態度をとる人物にとって、こうした事態、そし
てそれを最も忌み嫌う相手に目撃されるのは、これ以上ない辱めと言えるだろ
う。
「こ、こんな事が楽しいわけ、あるものですかっ!」
今となっては迫力も欠けるものの、断固とした意志を持ってフレイアは言っ
た。
「ほぅ、流石に王女ともなると、あの程度では満足できないと・・・・いや、
これは失礼した。では早速続きを堪能してもらおうか」
魔王は、意図的に王女の言わんとしていることを取り違えると、再び指を鳴
らして魔獣に活動再開の合図を送る。
「!?」
その言葉の意味を十分に理解するフレイアは途端に顔色を変えたが、それ以
上の事は出来なかった。
「い、いや・・・ちょっ・・・・」
たちまち周囲に広がっていた触手が蛇の頭のように鎌首をもたげ、彼女の周
囲を取り囲み、じりじりと恐怖感を与えるようにその先端を近づける。
「ま、待って・・・ま・・・」
先程の強烈なくすぐったさを思い起こし、フレイアは自覚している弱点を両
腕で隠したい衝動にかられたが、四肢を捉える触手がそれを許さず、再び無防
備な身体に、彼女の苦手とする先端振動くすぐり責めが襲いかかった。
「あ~っっっっっいやははははははははははは!あはっあははははははははは
ははははは!」
今度は堪える間もなかった。既に弱点を把握していた魔獣は、容赦なくそこ
を責め、フレイアを再び笑い地獄へと招待した。
「あはははは!あぁっははははははは!!あああああぁぁぁっっ!」
呼吸はある程度回復していたものの、身体に生じていたムズムズとした余韻
は表層上しか治まっておらず、触手の再動で再びそれに火が灯され、一旦落ち
着いていたくすぐったさが一気に燃えさかり、フレイアを悶えさす。
触手はしばらく集中的な弱点責めを続けて彼女の状態を先程と同じ状態へと
導くと、新たな動きへと移行する。
「あひっ!?はぁっははははははは!きぃぁっっっはははっははは!あっあっ
はぁぁぁ~~っっっっっっ!!」
魔獣はフレイアに突き立てていた各触手の先端をゆっくりと移動させ始めた
のである。それは言わば、女体弱点触手巡りとも言うべき行為で、彼女の身体
の弱点と弱点を線で繋ぐように、なぞる動きで蠢きだしたのである。
「あっ・・・くぅん・・・・・ひぁっはははははあっっはははははは!」
指先による悪戯の様な動きにフレイアは面白いように身悶え、悪意の込めら
れた触手は、移動に際して着衣にわざと引っかかっては、その露出を更に広げ
ていく。
程なくして彼女は、袖と腰帯周辺のみに布を纏うだけという、ほぼ全てをさ
らけ出す格好となり、上品な下着の下も完全に露出させられてしまった。
「くぅぅぅぅっはっひひひひひぁっははははははは!」
本来なら、恥ずかしさと屈辱で顔から火が出るような思いに至るだろうフレ
イアであったが、絶え間ないくすぐったさに、そちらへ意識を向けることが出
来ずにいた。
当人にとっては十分な嬲りではあったが、魔獣は更なる責めへと行動を開始
する。
これまでの責め行為では、何の役割も果たさず無用の部位であった魔獣の
「馬の頭部」部分が、活発な動きを始め、その先端を、今も身悶えるフレイア
へと向けた。
そこに目となる部位は存在しなかったが、もしそこに眼球が存在すれば、女
体が仰向けで自分の方に向けて股間を向けるような格好をしているという絶景
が拝見できたに違いない。
だが魔獣は、多くの男性が羨むだろうポジションからの光景には目もくれ
ず、頭部部分を彼女の股間付近まで近づけると、その先端を開き、中から無数
の触手を出現させた。
それは躯の側面から生えている触手よりも細く・多く・束になった長いミミ
ズの群にも見える物だった。
「いひひひっっっいっいやぁっ!」
新たに現れた細い触手が群を成して股間に迫っているのを見たフレイアは身
悶えつつも悲鳴を上げ、更に加わる刺激を予想して必死に身を捩った。
しかしそうした足掻きも、いやらしく股間を小刻みに振り、誘っているかの
様な行為にしか至らず、そこへ容赦なく触手の群が襲いかかった。
「はぁっ!?はぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」
フレイアが予想し恐れていた類の、それでいて予想を上回る刺激が股間とそ
の周辺に生じ、爆発的に身体を駆けめぐった。
凶悪なほどの快感が電撃のように背筋を駆け抜け、彼女の脳を直撃する。
「あっ、あっ、あぁはぁぁぁぁぁ!んんぁああああっっ!!」
今まで必死に堪えていた喘ぎ声が遂に限界を超えて彼女の口から漏れだし
た。くすぐりの時同様、一度それを許すと、もうそれは抑えが効かなくなり、
彼女の理性は徐々に崩壊を始めていった。
細い触手は股間を覆う薄い布越しに止まらず、その隙間にも入り込んで無防
備な股間を下着の内外で撫で回した。
左右の足の付け根より侵入した触手は、最も敏感な部位とその周辺を絶妙な
力加減で撫で回す。特に刺激によって隆起し始めていた股間の『先端』部分に
対しては、左右から触れるか触れないかと言う微妙なタッチで掠めるように蠢
くばかりか、下着の布の上から舐め上げる様な動きが強弱つけて断続的に行わ
れた。
絶え間ないくすぐり責めによって肌が過敏となっていたフレイアにとって、
その刺激は通常時の数倍に増強されて襲いかかる。
「いやっいやっ・・・はぁぁぁっ・・・・」
許容してはいけないと理性が思っても、身体が自然と反応し、徐々に受け入
れてしまい、理性を押し包もうとする。
だが、フレイアがそうした快楽に押し流されそうになると、側面の触手の動
きが活発となってくすぐったい感覚を倍増させる。
「いやっはははははははははははははは・・・・・あっ・・あはぁぁぁぁん・
・あっあひゃっっはははははははは!ん!ん!んぁはぁぁぁぁ~~~」
巧みな快楽とくすぐったさの切り替わりに、彼女の心身は翻弄され続ける。
気絶あるいは絶頂に至ればこの苦しみからも解放されるであろうが、魔獣は
それすらも許さず、紙一重の領域を維持し続けた。
「どうだ王女?満喫しているか?」
見れば簡単に想像できる事をあえて魔王は問うた。
「そん・・ぁん・・・そんぁはず、ないっ・・・んんぁぁ」
フレイアは喘ぎながらも否定する。
「そうかぁ?身体の方は今にも堕ちそうに見えるがな」
辛うじてではあるものの、彼女にまだ理性が残っているを見て、魔王は不敵
な笑みを浮かべると、露わになっている乳房の右先端を指先でそっと摘んだ。
「はっ、はぅっ・・・」
乳首に生じた甘美な刺激に、不覚にも声を漏らすフレイア。
魔王の不埒な行動に、悔しさが込み上げ涙目になって睨みつけるが、快楽を
求める身体は正直に反応し、彼女の乳首は更なる刺激を求めて固く隆起してい
た。
「限界が近いだろ?」
摘んだ乳首を指先で優しく不規則に擦り、フレイアをピクピクと反応させな
がら魔王は問うた。
「んくっ・・・・」
もちろんフレイアは、それには素直に答えはしない。だが、上気し小刻みに
震える身体に潤んだ表情を見れば、それは一目瞭然と言えた。
「だがな、こちらが指示しない限り、あんたには終着点はない。つまりはこの
ままの状態が延々と維持されるわけだ」
「!?」
現状持続・・・・それを聞かされたフレイアは、目の前が真っ暗になった気
がした。現在は会話のために手加減が成されていたが、快感とくすぐりによる
責めで生じたもどかしさは今も健在で、理性を除外して貪欲に快楽を求めよう
と燻っていたのだ。
「だが、俺にも情けはある。というより、もともと礼のつもりで訪問したん
だ。一つ条件を呑んで貰えれば、すぐに至福の時を与えてやるが、どうだ?」
「じょ・・条件?」
思わず問い返すフレイア。それは、内容次第では従うのもやむなしという彼
女の切実な現状を如実に現していたとも言える。
「俺の下僕となる事を明言しろ」
「!??」
それはフレイアの予測範囲を超えていた。というより、彼女にして見れば思
いもよらない条件であった。世襲によって生まれつき頂点の地位にいた彼女に
とって、人の下につくなどという選択肢はあり得なかったのである。しかもそ
れが「男」相手であれば尚更である。
「な、何を馬鹿な事を・・・」
彼女の意識に深く根付いていた慣習がその条件に反発し、僅かばかりの理性
を取り戻させた。
もちろん魔王もそうした返答が来るだろう事は承知しており、素直な返答が
来るとは期待してはいなかった。
「ほう?ならばもう少し愉しんでみるか?」
魔王は嬉しそうに、そして意地悪く言って魔獣の躯を軽く叩くと、緩慢にな
っていた魔獣の責めが再び活性化し始めた。
「いやぁぁぁっっっっっ・・・・・・・・・・・!」
再び刺激のボリュームが上げられ、フレイアが否応なしに絶叫する。
「っっ~~~~~~~~きぃぁっっはははははははは!!あ~~~~~~~~
っっははははははは!も、もう、もいぃいやっっははははははははは!!」
気が狂わんばかり身悶えするフレイア。その苦しげな様相を見れば、人間で
あれば少なからず手心を加えるであろうが、そうした感情を持たない魔獣は容
赦なく彼女を責め立て、快楽とくすぐったさを、よせては引く波のごとく、送
り込んでは手加減しての焦らしを続け、その性感を弄んだ。
そうして実際の時間に換算して十数分、当事者にとって地獄でしかないだろ
う間、気絶にも絶頂にも至らせない責めで彼女を嬲った後、魔王は『慈悲』と
称して別の条件を告げた。
それが「『秘宝』の所在を教える」事だった。
フレイアはもちろんそれも拒絶した。
その結果は、気が変わるまで待つという魔王の呑気な言葉。
結局、先の見えない焦らし責めに耐えきれず、フレイアは遂に秘宝の鍵が納
められてるという小さな宝箱の在処を白状してしまう。
肉体的な欲望に屈してしまった事実もあったが、彼女には僅かな希望がまだ
残っており、それが屈服の選択を選ばせたとも言えるかもしれない。
その僅かな希望とは、その宝箱に古来より施された「封印」であった。
メルフィメール建国以来、一度も破られたことのないとされている「封印」
の効果に、絶対の信頼をよせていた・・・・と言うより、最後の望みを託し、
すがったのだった。
魔王は絶対に中身を手に入れる事は出来ない。ならば、秘宝は守られている
事になる。そうした言い訳がましい打算があったからこそ、彼女は快楽に溺れ
る選択を選べたのである。
そうした事情はともあれ、フレイアは交換条件となるはずだった快楽を最終
的に得ることは出来なかった。
王女の寝室周辺の異変を知って駆けつけた城内の兵士達が有無を言わさず乱
入してきたため、魔王は戦闘能力が皆無の魔獣を守るために撤退を余儀なくさ
れたのである。
・・・・というのは実のところ、メルフィメール側の主観であった。実際に
は、駆けつけた兵士達を一掃することなど魔王には容易な事であったのだが、
今ここでこの国を滅ぼすつもりのなかった魔王は、これを頃合いとして退き、
『秘宝』の奪取を優先させたのである。
魔獣を異空間へと逃がし、自らは窓から飛び出して脱出した魔王は、その足
でフレイアから聞き出した隠し宝物庫へと向かい、難無く『秘宝』の鍵が納め
られているとされる宝箱を手に入れたという次第である。
結果だけを見れば、フレイアは自らも魔王の手に堕ちるという最悪の事態は
避ける事が出来た。
しかし魔獣によって火をつけられた彼女の身体は、その火照りをなかなか鎮
めることが出来ず、あの騒動の後、自らの指で人知れず慰めたのだが、欲望が
求めた域には達することは適わなかった。
そして、望む望まないに関わらず、あの出来事を思い起こす度に身体は疼
き、淫らな快感を求める衝動に襲われるようになっていた。
湧き起こる欲望が魔獣の力による物であろう事を彼女が悟るのに、そう時間
は要しなかった。
魔獣は今もフレイアを誘っているのである。淫靡な世界の入り口へと・・・
・
(今度は屈するわけにはいかない)
あの時よりも冷静になった理性が、彼女の欲望を強く戒める。
王女フレイアは人知れず魔獣と戦っているとも言えた。
だがそれは勝算の低いものである事を、彼女の本能は薄々感じ始めていた。
人はやはり欲望には弱いものなのである・・・・・・
この二人が敗北して以降、状況はメルフィメールにとって一気に悪い方向へ
と傾き、そして膠着した。
塔内で魔王討伐を目論んだチームとの小競り合いが行われていた最中、単独
で城内に侵入した魔王が、遂に保管されていた秘宝を奪取してしまったのだ。
しかもその際、真偽のほどは定かではなかったが、魔王は魔獣復活の報も告
げており、度重なる凶報に、魔王討伐が不可能という気運が国内に広がった。
だが、国民が近いうちに訪れるだろうと想像した恐怖は、早々の実現には至
らなかった。
何故か魔王側は積極的攻勢を実施せず、これまでと変わらず塔内に籠もった
ままの状況を維持していたのである。
魔獣と秘宝を手に入れたのであれば、それを用いての攻撃は当たり前と考え
ていたメルフィメール側は、危惧していた最悪の事態が起きなかった事に安堵
する一方で、魔王の真意を測りかね困惑するのだった。
そして最強の戦士を失って士気が低下した彼女達は、もはや積極的な塔の攻
略を行う意思も失せ、塔の下層あるいは外周で、モンスターとの小規模な戦闘
を行うだけにとどまっていた。
その闘いは当然、殆どが雑魚モンスターの集団で、数のみが強みとも採れる
戦法で国内に攻め入っては撃退されるのが殆どで、時に1~2人の国民を拉致
しては撤退するという事が、無意味に思えるほど繰り返されていた。
稀に奇襲・暗殺目的で塔の深部に侵入したメルフィメール側のチームもいた
が、それらはほぼ例外なく、消息を絶っているという状況であり、こうした事
から、秘宝奪取後の魔王には、まだ何らかの理由で、時間が必要なのかもしれ
ないと言う見解が大半を占めるようになってはいたが、もはやその猶予を有効
に使えるだけの選択肢を、彼女等は持ってはいなかった。
憶測と不安ばかりが交錯するメルフィメールの水面下で、事態は静かにそし
て着実に、彼女等にとっての不幸に向けて推移していた。
「・・・・・・・!!!」
深夜、王女フレイアは唐突に身を小刻みに震わせていたかと思うと、跳ねる
ようにベットから身を起こした。
窓から差し込む月の光が僅かに室内を照らす中、そこが自分のよく知る寝室
である事を確認すると、彼女は大きく溜息をつく。
彼女の全身は寝汗でびっしょりになり、頬も赤く呼吸も僅かに乱れていた。
「・・・・・・」
フレイアは、身体が火照っているのを自覚すると、無言のまま就寝用の着衣
を乱暴に脱ぎ捨て、灯りもつけないまま寝室に常備されている浴場へと向かっ
た。
彼女は闇の中、下着の下一枚と言う姿を、この場の唯一の傍観者である月に
覗かせながら、浴槽に水が満たされているのを確認すると、最後の一枚も早々
に脱ぎ捨て、王女とは思えぬ乱暴さで水に身を投じた。
いきなりの水風呂に、身体が一瞬身震いするが、構わず身を沈めると、身の
火照りを一刻も早く治めようと努力する。
不覚にも沸き上がった甘美な感覚が冷やされ、徐々に薄らいでいくのを実感
すると、フレイアは浴槽にもたれかかって、窓から見える月を眺めた。
あの日以降、王女の身は事ある毎に淫らな感覚に襲われ、欲望の誘惑を受け
ていた。それを受け入れる事が魔王への屈服を意味すると判っているために、
彼女はその誘惑に必死に抵抗していたのである。
今夜もまた、誘惑が夢の形で現れ、あの忌まわしき出来事を思い出させてい
たのである。。
忘れようとしても忘れられない、あの甘美な悪夢を・・・
「衛兵!!」
「王女、お下がりを!」
忠誠心高き二人の側近が、主を護るべく魔王へと斬りかかった。もとより勝
てるなどとは思ってはいない。城内の応援の到着と王女の逃げる時間を僅かで
も稼ぐための攻撃であった。
しかしそうした彼女等の努力は実ることはなかった。
魔王が、腕を軽く振るうという動作を行っただけで、見えない力の奔流が彼
女等を襲い、予期せぬ方向へと突き飛ばした。
もともと王女の個室警備という前線とは異なる部署の担当であった二人は、
充実していたとも言えない装備を粉砕され、一人は扉を破壊する勢いで叩きつ
けられて、一人は叩きつけられた床を滑るようにして壁に衝突し気を失った。
「そう恐れるな。何も命を奪いに来たわけじゃない。魔獣復活に協力してくれ
た礼と、その実態を軽く披露するだけだ」
後ずさる王女を前に、魔王は邪悪な意志を含んだ笑みを浮かべ、この場の優
位さを誇示すると、部屋の隅で待機していた魔獣に視線を送る。
魔獣はそれだけで意図を理解したのか、身体に不釣り合いな細い節足を使い
床を這うようにして移動を開始した。
だが、魔獣の向かった先はフレイアの方ではなかった。最初にソレが狙いを
定めたのは、倒れ伏し、半ば気を失っている側近のアンであった。
「アン、起きなさい!」
あまり好ましい事態にはならないだろう事を予期して、フレイアは思わず叫
ぶが、その指示は彼女の耳には届かなかった。
「騒ぐな。殺しはしないと言ったはずだ。それは、あの女もしかりだ。欲して
いたのだろ?魔獣の情報を?だったら見ていろ。アレがいかに無害で、あんた
達には恐ろしい存在かをな・・・・」
威嚇されて初めて、彼女は自分の背後に魔王が来ている事に気づいて息を呑
んだ。
そうしている間にも魔獣はアンの手前にまで辿り着く。
魔獣は本体から突きだしている、頭と思わしき部分を傾けてアンの存在を再
確認、あるいは臭いを嗅ぐにも似た行動をとると、細い節足を床に突き立てる
ようにして身体を持ち上げ、その体勢を維持したまま、伏しているアンの真上
へと移動した。
『キュィィ』
魔獣が鳥にも似た鳴き声をあげたかと思うと、腹部の床に面する部分がその
凹みを生じさせ、その中から何本もの触手が植物の新芽の様に姿を現した。
「・・・・・・!」
蠢く触手の群を見てフレイアが嫌悪感を抱く。触手は10センチ程度の長さ
で落ち着き、しばらくは無秩序に動き回っていたが、次第にその表層に光沢が
生じ始めているのに気づいた。
触手・・・否、魔獣の底部全体から粘液が分泌され、全体を滑らせていたの
である。その量は次第に増え、限界を超えた粘液の滴がポタリと床に落ち始め
る。
それを頃合いとしたのか、不意に魔獣が節足の力を抜き、アンの上に覆い被
さった。
「!?」
見た目でもかなりの重量がありそうな魔獣のプレスを受けたアンの姿をフレ
イアは正視できず思わず顔を背けた。先の攻撃で、鎧の大半を破壊され、身を
守る物を失った彼女が、あの質量に耐えられるはずがなく、圧死してもおかし
くない状況であったのだ。
「はぁっ!!ああああぁぁぁぁぁぁっ!」
フレイアの予期した悲鳴が室内に響いた。まだ殺しはしないという明言こそ
破られてはいなかったが、紙一重である事態に、魔王に非難の声を浴びせよう
としたした彼女であったが、それは想定外の声によって遮られる事となる。
「ぁぁっ、ぁっあっぁあっっははっははははははははははあははははは!!」
「!?」
苦悶の入り交じった笑い声。
その場違いな現象に、フレイアは視線を魔獣とアンへと戻すと、そこでは彼
女の全く想定していなかった事態が展開されていた。
うつぶせ状態のまま魔獣の下敷きとなっていたアンが、激しく笑い、藻掻い
ていたのである。
「いやっっっはははははははは!あはははははははは!くすぐったいぃ~~~
~~はぁ~~~っっはははははは!」
アンは下敷きにされていなかった両腕を振り乱して笑い悶える。時には床
を、時には魔獣本体を叩くが、それでは到底、状況の打破には至らない。
「??」
フレイアは困惑した。過度の加重による苦痛の悲鳴ではなく、悶笑。痛みよ
り笑いという現象に思考が素早く事態を把握しきれなかったが、それは観察に
よって徐々に判明していった。
そもそもアンは、魔獣の質量の加重を殆ど受けていないこと。これは、接触
直前に魔獣の底部に生じた凹みによるもので、彼女はその隙間と床に収まる状
態になっていたのである。これによって彼女は、過度の加重を受ける事無く押
さえ込まれている訳だが、同時に生じていた無数の触手・・・・それが問題だ
った。
ぴったり密着した状態で、粘液の滑りを帯びた無数の触手が彼女の身体を遠
慮無しに撫で回していたのである。
ニュルニュルとした触手がアンの身体の背面と両側面のほぼ全域で踊り狂
い、それによって生じるくすぐったさに、彼女は耐えられず笑い悶える。
粘液はすぐに彼女の着衣に浸透して肌と布を密着させると同時に、触手の動
きを更に滑らかにして一層のくすぐったさを与えるのに一役をかっている。
「あはっ、あははははははははは!いやははははははははは!たすっ、助けて
ぇ!いやいやいやいやっっっあはははははははは!!」
活きのよいウナギのように激しくうねる触手が着衣の隙間から中に潜り込む
と、一層そのくすぐったさは増大し、アンを笑い狂わせる。自由な両腕による
必死の抵抗も、魔獣本体をポムポムと力無く叩くだけで、苦しみから脱する僅
かな光明にもならなかった。
その自由であるはずの腕も、身体をガードすることは全く許されない状態で
あり、そんな無防備な脇の下で触手がうねると、彼女は気が狂ったかの様な奇
声を伴った笑い声を上げて、視認できない状況を知らしめる。
「ひぃぁぁっっははははははははは!!そ、そこはぁぁ!!ああああぁぁあっ
っははははははははは!!あ、あぁっ、あ~~~~~!!!」
例え全身が覆われ、完全に抜け出す見込みが無くなろうとも、アンは魔獣の
下に腕を潜り込ませ、狂いそうなほどのくすぐったさが生じる脇の下を隠した
いと願ったが、魔獣の身体は彼女の身体と床にピッタリとフィットしており、
そのささやかなな抵抗をも許さなかった。
ならば、這い出す事に望みをかけようとも試みても、絶妙の加重でアンを抑
えている魔獣から這い出る事も不可能に等しく、その上、少しでも抜けだそう
とする素振りを見せようものなら、触手の動きがより激しくなって、その企み
を戒めた。
「いひっ!いひゃぁっはははははははは!駄目だめダメだぁぁっはははははは
ははは!許してっ!許してっ!許してぇぇぇ~~~っっっ!!」
アンは込み上げるくすぐったさを抑える事も適わず、その感覚に翻弄され続
ける。
脇の下では複数の触手が争うようにして窪みでのたうち、脇腹・背中・尻・
太股周辺では抵抗されないのを良いことに、縦横無尽に触手が踊り続けてい
た。
そこから繰り出されるくすぐったさは、笑い疲れが生じ始めているはずのア
ンに、笑い声を止める事を許さい。
「どうだ、こいつの出来る事はこれだけだ。言ったとおり害は無いだろう?」
傍観するフレイアの背後で、魔王が言った。
「何を馬鹿な・・・このままではアンは笑い死にします!」
このまま行けば間違いなくそうなる。そう確信した彼女は、振り向いて敵意
のこもった視線を魔王に投げつけた。
「もちろんそれはアレも心得ているさ。あの女が危険な状態になれば、手加減
して死なないようにして、状況を持続させる・・・・命までは取らないが、そ
の無限地獄にも匹敵する責めが魔獣と呼ばれる所以だな。だが、女にとってそ
れも慣れれば、愉しく自ら求めるようになる」
「あ、あり得ません!」
愛玩動物とは到底言えないシルエットの魔獣に対し、愛着を抱くなどという
様な発言を、フレイアは力一杯に否定した。
「なら、試して見ろ」
余裕の表情を見せ、魔王が言った。
その視線が自分に向けられていない事を悟った彼女は、はっとなってその方
向、つまりは自分の背後に視線を向けたが、遅かった。
魔王との対話に気を取られているうちに、魔獣がその体躯をアンごと移動さ
せ、彼女の間近にまで迫っていたのである。
「!」
予期せぬ急接近に、思わず身じろいだフレイアであったが、既に魔獣の間合
いであった。
魔獣は、躯から無数の触手を伸ばして彼女を捕らえると、あっという間に引
き寄せ、アンとは逆に自分の躯の上にその肢体を拘束した。
それは見た目、乗馬の初心者が馬の急発進についていけず、馬の背に仰け反
った姿勢になってしまった現象に似ていた。
そうした体勢で左右の手首と足首が一緒に触手で拘束され、王女は魔獣の上
でエビ剃ったままの状態を強いられるという、屈辱的格好となっていた。
「ぶ、無礼な!」
身体を揺すり、脱出できないかを模索するフレイアであったが、締め付ける
触手の力を肌で感じた彼女は、それがすぐに不可能と内心理解する。
「さ、見学は終わりだ。これから、実践に入ってもらおう」
「な、何をばかな・・はぅっ!」
抗議の声もそこそこに、フレイアは小さな呻き声を上げた。
魔獣の躯の側面より、手足を拘束する触手と同種の触手が何本も生え、身動
きのままならない彼女の身体をソフトに撫でたのである。
不意を突かれたとは言え、思わず声をもらしてしまった自分に恥じたフレイ
アは、楽しそうに自分を見下ろす魔王を睨み、これ以上、思い通りになるまい
と、堅く口を閉ざした。
そんな彼女の唯一の抵抗を知ってか知らずか、触手の責めはじっくりとその
抵抗を削り取るかのように、ソフトに始まった。
首筋、胸回り、脇腹、腹回り、腰、下腹部、太股、まるでフレイアの身体を
チェックするように、丹念にじっくりと触手が這い回ると、そのおぞましさに
彼女は身震いした。
だがそうした嫌悪感に紛れて、むず痒い様な快感にも似た感覚も感じ、触手
の一うねり毎に、彼女の身体はピクピクと身震いする。
魔獣はそうした反応を触手越しに感じ、適度な反応を示したポイントに対し
ては確認するかのように往復した刺激を加えてみせる。
「うっ・・・・・くっ・・・っ」
フレイアは、触手の刺激が加わるたびに喉の奥から込み上げる声を抑えるの
に必死だった。油断すると自分でも知らなかったポイントから微妙な刺激が送
り込まれ、危うく淫靡な声を出しそうになっていた。
そうした無様な姿を、魔王に、それ以前に『男』に、見せてはなるまいと、
彼女は懸命に耐え続けていたが、そうした儚い抵抗を眺めるのも、男にとって
は一つの楽しみであり、魔獣の一挙一動で徐々にその抵抗が剥がされていく様
子は、ある種の人間にはたまらない興奮を誘う光景と言える。そうした思惑を
知らないフレイアは、懸命に耐えているつもりで魔王を悦ばせていた。
彼女にしてみれば、今行われている責めがアンと同レベルだと思っていた。
全身を触手が這うという内容では同じと言えたが、アンとフレイアでは、まだ
その力加減に大きな差があったのだ。
フレイアがその事実に気づいたのは、触手の動きが徐々に統制を持ち始めた
のを悟ってからであった。
魔獣は今までの反応から、彼女の『弱点』を把握し、その周辺を重点的に撫
で始める。
「うくっ・・・は・・くぁっ・・・」
的確にポイントを狙った責めに、フレイアの身体がビクリと跳ねる。寸前ま
で出かけた喘ぎ声をなんとか噛み殺し、彼女は続くだろうその刺激に備えた。
下唇を少し噛み、痛みによって感覚を紛らそうと備えたが、意外にも触手の
動きはそこで止まった。
視界にはいないがアンも同様らしく、周囲は久々に静けさを迎え、フレイア
はほっと息を吐いた。
辛うじて堪えていたとは言え、正直なところそれは紙一重の事であり、触手
の動きがある度に、歯を食いしばり、筋肉を硬直させていたのだ。
目に見える激しい運動こそなかったものの、拘束されていた状態での筋力公
使は、思った以上に疲労を生じさせていた。
そうして生まれた思わぬ開放感に、乱れた呼吸を整えようといていた矢先、
触手が再び活動を再開する。
そう、触手の停止は魔獣のフェイントであった。責めの中断によって精神的
防御を甘くさせ、その間隙を狙ったのである。
離れていた触手は、その先端を彼女の身体の各所弱点に正確に突き立てる
と、小刻みに震わせた。
「あっ!?あぁぁぁぁ~~~~~っ!!!!」
指先でくすぐったく感じるツボを突き揺らされたのに等しい感覚がフレイア
の体内各所で一斉に生じた。
人の責めと異なるのは、それが一箇所や二箇所ではないことである。
腹部、腰、足や胸の付け根、脇の下、あらゆる箇所の弱点で同時に責めが行
われ、彼女は思わず現状以上に身を仰け反らせた。
同時に耐え難いくすぐったさが全身を駆けめぐり、遂に彼女の防波堤を決壊
させるに至る。
「あぁぁぁぁっっはははははははははは!だめっいやっっはははははははは
は!」
フレイアは身を右に左に揺らして触手のポイント責めから逃れようと悶え
た。だが、僅かに身体をずらした程度では、触手はすぐにポイントを修正して
は的確な位置に刺激を加え続ける。
「あははははははは!あっはははははは!あ~っっはははははははは!!」
今まで堪えていた反動か、フレイアは激しい笑い声を上げながら、身悶え
る。本人としては無様に見えるだろう状況を何とかしたいと、笑いを堪えよう
とするのだが、一度解放されてしまった感覚は治まりを見せる事はなかった。
次から次へと流れ込んでくるくすぐったさに堪える精神力はもはや無く、触
手のうねりに合わせて笑い声をあげて悶えるしか無かった。
「や、やぁっはははははははは!やめっへぁっはっっははははははは!あ~~
っっははははははは!ひ、ひっ、ひぁっっははははははは!」
触手の先端責めに面白いように反応するフレイアに、魔獣も満足したのか、
得物が苦手とするその責めを主体にする一方で、力加減に不規則性を持たせて
ワンパターン化を避ける動きに入った。
それはいわゆる意地悪であり、下腹部のポイントを激しく責めていたかと思
うと、急に胸回りの数ポイントを強く刺激し、乳房の周りで触手が円を描き徐
々に乳首に近づいてきたかと思うと、今度は脇の下で触手が狂ったように震え
だす。
こうして予期できないパターンで全身を触手振動くすぐり責めにされている
フレイアは、込み上げる笑いを止める事もできずに悶え続ける。
「きぃあぁっははははははははは!あ~~~~~~~~~~~っっはははっは
っっはっっははははは!」
王女としての威厳・たしなみ・尊厳・・・・・無様に笑い続けるフレイア
に、その様なものは微塵も無かった。彼女にしても、それは今、どうでも良い
ことだった。ただ、少しでもこの地獄から逃れることさえ出来ればそれでよか
った。そうした思いを実証するかのように、仰け反った身体は解放を求めて身
を揺すり続けていた。
だが彼女の一人の力では、どう足掻こうとも脱出は望めない。それが判って
いて彼女ははかない抵抗を続ける。否、自然と身体が動いてしまうのである。
「いひひひひひゃははっはははははは!あああはははははははははは!ダメ!
そこはぁっぁ~~~っははははははははは!」
身体のどこかで触手が蠢く度に、耐え難い笑いの衝動と、それから逃れよう
とする反射反応が生じ、不自由でありながらもその身体を突き動かす。
そうした無理な体勢からの無秩序な動きが続くうちに、フレイアの着衣は派
手に乱れ、就寝時故にブラという覆いから解放されていた均整の取れた、見事
な胸を露出させ、裾もめくれ上がって太股ばかりか下着までをも披露するに至
るが、くすぐり責めに翻弄され続ける彼女が、それに気づくことはなかった。
まるで他者に自分の裸体を見てくれと言わんばかりに着衣を乱して身悶えす
る王女の姿をしばらく堪能した魔王は、軽く指を鳴らして合図を送り、魔獣の
動きを静止させた。
「かはっ・・・・はぁはぁはぁ・・・・」
触手が一斉に力を失って垂れ下がると、フレイアは無防備に喉をさらけ出す
姿勢で、大きく喘いだ。
これも先程のような罠の可能性ではないか?
そうした疑問が脳裏によぎったものの、今回はそうした奸計はなく、彼女は
呼吸がある程度落ち着くまで何事もなく過ごす事ができた。
しかしそれは慈悲によるものではない。呼吸が落ち着いたところでフレイア
は、自分がとんでもない格好になっている事に気づいて大いに慌てた。
どんなに寝相が悪くてもこうはならないだろうという程に乱れた着衣、そし
てその乱れから覗く自分の裸体。更に悪い条件を加えると、眼前に敵対者の首
領であり男でもある最悪の相手がそこにいて、その痴態を目撃し、堪能してい
るのである。
「うぅ・・・」
フレイアは言葉もなく顔を赤く染め、さらけだした状態となった裸体を隠し
たいと望んだが、四肢を捕らえる触手だけは健在で、身体を隠す自由を与えな
かった。
「どうだ、我を忘れる程に楽しめただろ?」
フレイアのあられもない姿を眺め、その羞恥心を煽るような笑みを浮かべて
魔王は問うた。
「くっ!」
彼女は屈辱に身を震わせた。不覚にも魔獣の触手の動きに翻弄された結果が
この姿である。普段から高慢な態度をとる人物にとって、こうした事態、そし
てそれを最も忌み嫌う相手に目撃されるのは、これ以上ない辱めと言えるだろ
う。
「こ、こんな事が楽しいわけ、あるものですかっ!」
今となっては迫力も欠けるものの、断固とした意志を持ってフレイアは言っ
た。
「ほぅ、流石に王女ともなると、あの程度では満足できないと・・・・いや、
これは失礼した。では早速続きを堪能してもらおうか」
魔王は、意図的に王女の言わんとしていることを取り違えると、再び指を鳴
らして魔獣に活動再開の合図を送る。
「!?」
その言葉の意味を十分に理解するフレイアは途端に顔色を変えたが、それ以
上の事は出来なかった。
「い、いや・・・ちょっ・・・・」
たちまち周囲に広がっていた触手が蛇の頭のように鎌首をもたげ、彼女の周
囲を取り囲み、じりじりと恐怖感を与えるようにその先端を近づける。
「ま、待って・・・ま・・・」
先程の強烈なくすぐったさを思い起こし、フレイアは自覚している弱点を両
腕で隠したい衝動にかられたが、四肢を捉える触手がそれを許さず、再び無防
備な身体に、彼女の苦手とする先端振動くすぐり責めが襲いかかった。
「あ~っっっっっいやははははははははははは!あはっあははははははははは
ははははは!」
今度は堪える間もなかった。既に弱点を把握していた魔獣は、容赦なくそこ
を責め、フレイアを再び笑い地獄へと招待した。
「あはははは!あぁっははははははは!!あああああぁぁぁっっ!」
呼吸はある程度回復していたものの、身体に生じていたムズムズとした余韻
は表層上しか治まっておらず、触手の再動で再びそれに火が灯され、一旦落ち
着いていたくすぐったさが一気に燃えさかり、フレイアを悶えさす。
触手はしばらく集中的な弱点責めを続けて彼女の状態を先程と同じ状態へと
導くと、新たな動きへと移行する。
「あひっ!?はぁっははははははは!きぃぁっっっはははっははは!あっあっ
はぁぁぁ~~っっっっっっ!!」
魔獣はフレイアに突き立てていた各触手の先端をゆっくりと移動させ始めた
のである。それは言わば、女体弱点触手巡りとも言うべき行為で、彼女の身体
の弱点と弱点を線で繋ぐように、なぞる動きで蠢きだしたのである。
「あっ・・・くぅん・・・・・ひぁっはははははあっっはははははは!」
指先による悪戯の様な動きにフレイアは面白いように身悶え、悪意の込めら
れた触手は、移動に際して着衣にわざと引っかかっては、その露出を更に広げ
ていく。
程なくして彼女は、袖と腰帯周辺のみに布を纏うだけという、ほぼ全てをさ
らけ出す格好となり、上品な下着の下も完全に露出させられてしまった。
「くぅぅぅぅっはっひひひひひぁっははははははは!」
本来なら、恥ずかしさと屈辱で顔から火が出るような思いに至るだろうフレ
イアであったが、絶え間ないくすぐったさに、そちらへ意識を向けることが出
来ずにいた。
当人にとっては十分な嬲りではあったが、魔獣は更なる責めへと行動を開始
する。
これまでの責め行為では、何の役割も果たさず無用の部位であった魔獣の
「馬の頭部」部分が、活発な動きを始め、その先端を、今も身悶えるフレイア
へと向けた。
そこに目となる部位は存在しなかったが、もしそこに眼球が存在すれば、女
体が仰向けで自分の方に向けて股間を向けるような格好をしているという絶景
が拝見できたに違いない。
だが魔獣は、多くの男性が羨むだろうポジションからの光景には目もくれ
ず、頭部部分を彼女の股間付近まで近づけると、その先端を開き、中から無数
の触手を出現させた。
それは躯の側面から生えている触手よりも細く・多く・束になった長いミミ
ズの群にも見える物だった。
「いひひひっっっいっいやぁっ!」
新たに現れた細い触手が群を成して股間に迫っているのを見たフレイアは身
悶えつつも悲鳴を上げ、更に加わる刺激を予想して必死に身を捩った。
しかしそうした足掻きも、いやらしく股間を小刻みに振り、誘っているかの
様な行為にしか至らず、そこへ容赦なく触手の群が襲いかかった。
「はぁっ!?はぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」
フレイアが予想し恐れていた類の、それでいて予想を上回る刺激が股間とそ
の周辺に生じ、爆発的に身体を駆けめぐった。
凶悪なほどの快感が電撃のように背筋を駆け抜け、彼女の脳を直撃する。
「あっ、あっ、あぁはぁぁぁぁぁ!んんぁああああっっ!!」
今まで必死に堪えていた喘ぎ声が遂に限界を超えて彼女の口から漏れだし
た。くすぐりの時同様、一度それを許すと、もうそれは抑えが効かなくなり、
彼女の理性は徐々に崩壊を始めていった。
細い触手は股間を覆う薄い布越しに止まらず、その隙間にも入り込んで無防
備な股間を下着の内外で撫で回した。
左右の足の付け根より侵入した触手は、最も敏感な部位とその周辺を絶妙な
力加減で撫で回す。特に刺激によって隆起し始めていた股間の『先端』部分に
対しては、左右から触れるか触れないかと言う微妙なタッチで掠めるように蠢
くばかりか、下着の布の上から舐め上げる様な動きが強弱つけて断続的に行わ
れた。
絶え間ないくすぐり責めによって肌が過敏となっていたフレイアにとって、
その刺激は通常時の数倍に増強されて襲いかかる。
「いやっいやっ・・・はぁぁぁっ・・・・」
許容してはいけないと理性が思っても、身体が自然と反応し、徐々に受け入
れてしまい、理性を押し包もうとする。
だが、フレイアがそうした快楽に押し流されそうになると、側面の触手の動
きが活発となってくすぐったい感覚を倍増させる。
「いやっはははははははははははははは・・・・・あっ・・あはぁぁぁぁん・
・あっあひゃっっはははははははは!ん!ん!んぁはぁぁぁぁ~~~」
巧みな快楽とくすぐったさの切り替わりに、彼女の心身は翻弄され続ける。
気絶あるいは絶頂に至ればこの苦しみからも解放されるであろうが、魔獣は
それすらも許さず、紙一重の領域を維持し続けた。
「どうだ王女?満喫しているか?」
見れば簡単に想像できる事をあえて魔王は問うた。
「そん・・ぁん・・・そんぁはず、ないっ・・・んんぁぁ」
フレイアは喘ぎながらも否定する。
「そうかぁ?身体の方は今にも堕ちそうに見えるがな」
辛うじてではあるものの、彼女にまだ理性が残っているを見て、魔王は不敵
な笑みを浮かべると、露わになっている乳房の右先端を指先でそっと摘んだ。
「はっ、はぅっ・・・」
乳首に生じた甘美な刺激に、不覚にも声を漏らすフレイア。
魔王の不埒な行動に、悔しさが込み上げ涙目になって睨みつけるが、快楽を
求める身体は正直に反応し、彼女の乳首は更なる刺激を求めて固く隆起してい
た。
「限界が近いだろ?」
摘んだ乳首を指先で優しく不規則に擦り、フレイアをピクピクと反応させな
がら魔王は問うた。
「んくっ・・・・」
もちろんフレイアは、それには素直に答えはしない。だが、上気し小刻みに
震える身体に潤んだ表情を見れば、それは一目瞭然と言えた。
「だがな、こちらが指示しない限り、あんたには終着点はない。つまりはこの
ままの状態が延々と維持されるわけだ」
「!?」
現状持続・・・・それを聞かされたフレイアは、目の前が真っ暗になった気
がした。現在は会話のために手加減が成されていたが、快感とくすぐりによる
責めで生じたもどかしさは今も健在で、理性を除外して貪欲に快楽を求めよう
と燻っていたのだ。
「だが、俺にも情けはある。というより、もともと礼のつもりで訪問したん
だ。一つ条件を呑んで貰えれば、すぐに至福の時を与えてやるが、どうだ?」
「じょ・・条件?」
思わず問い返すフレイア。それは、内容次第では従うのもやむなしという彼
女の切実な現状を如実に現していたとも言える。
「俺の下僕となる事を明言しろ」
「!??」
それはフレイアの予測範囲を超えていた。というより、彼女にして見れば思
いもよらない条件であった。世襲によって生まれつき頂点の地位にいた彼女に
とって、人の下につくなどという選択肢はあり得なかったのである。しかもそ
れが「男」相手であれば尚更である。
「な、何を馬鹿な事を・・・」
彼女の意識に深く根付いていた慣習がその条件に反発し、僅かばかりの理性
を取り戻させた。
もちろん魔王もそうした返答が来るだろう事は承知しており、素直な返答が
来るとは期待してはいなかった。
「ほう?ならばもう少し愉しんでみるか?」
魔王は嬉しそうに、そして意地悪く言って魔獣の躯を軽く叩くと、緩慢にな
っていた魔獣の責めが再び活性化し始めた。
「いやぁぁぁっっっっっ・・・・・・・・・・・!」
再び刺激のボリュームが上げられ、フレイアが否応なしに絶叫する。
「っっ~~~~~~~~きぃぁっっはははははははは!!あ~~~~~~~~
っっははははははは!も、もう、もいぃいやっっははははははははは!!」
気が狂わんばかり身悶えするフレイア。その苦しげな様相を見れば、人間で
あれば少なからず手心を加えるであろうが、そうした感情を持たない魔獣は容
赦なく彼女を責め立て、快楽とくすぐったさを、よせては引く波のごとく、送
り込んでは手加減しての焦らしを続け、その性感を弄んだ。
そうして実際の時間に換算して十数分、当事者にとって地獄でしかないだろ
う間、気絶にも絶頂にも至らせない責めで彼女を嬲った後、魔王は『慈悲』と
称して別の条件を告げた。
それが「『秘宝』の所在を教える」事だった。
フレイアはもちろんそれも拒絶した。
その結果は、気が変わるまで待つという魔王の呑気な言葉。
結局、先の見えない焦らし責めに耐えきれず、フレイアは遂に秘宝の鍵が納
められてるという小さな宝箱の在処を白状してしまう。
肉体的な欲望に屈してしまった事実もあったが、彼女には僅かな希望がまだ
残っており、それが屈服の選択を選ばせたとも言えるかもしれない。
その僅かな希望とは、その宝箱に古来より施された「封印」であった。
メルフィメール建国以来、一度も破られたことのないとされている「封印」
の効果に、絶対の信頼をよせていた・・・・と言うより、最後の望みを託し、
すがったのだった。
魔王は絶対に中身を手に入れる事は出来ない。ならば、秘宝は守られている
事になる。そうした言い訳がましい打算があったからこそ、彼女は快楽に溺れ
る選択を選べたのである。
そうした事情はともあれ、フレイアは交換条件となるはずだった快楽を最終
的に得ることは出来なかった。
王女の寝室周辺の異変を知って駆けつけた城内の兵士達が有無を言わさず乱
入してきたため、魔王は戦闘能力が皆無の魔獣を守るために撤退を余儀なくさ
れたのである。
・・・・というのは実のところ、メルフィメール側の主観であった。実際に
は、駆けつけた兵士達を一掃することなど魔王には容易な事であったのだが、
今ここでこの国を滅ぼすつもりのなかった魔王は、これを頃合いとして退き、
『秘宝』の奪取を優先させたのである。
魔獣を異空間へと逃がし、自らは窓から飛び出して脱出した魔王は、その足
でフレイアから聞き出した隠し宝物庫へと向かい、難無く『秘宝』の鍵が納め
られているとされる宝箱を手に入れたという次第である。
結果だけを見れば、フレイアは自らも魔王の手に堕ちるという最悪の事態は
避ける事が出来た。
しかし魔獣によって火をつけられた彼女の身体は、その火照りをなかなか鎮
めることが出来ず、あの騒動の後、自らの指で人知れず慰めたのだが、欲望が
求めた域には達することは適わなかった。
そして、望む望まないに関わらず、あの出来事を思い起こす度に身体は疼
き、淫らな快感を求める衝動に襲われるようになっていた。
湧き起こる欲望が魔獣の力による物であろう事を彼女が悟るのに、そう時間
は要しなかった。
魔獣は今もフレイアを誘っているのである。淫靡な世界の入り口へと・・・
・
(今度は屈するわけにはいかない)
あの時よりも冷静になった理性が、彼女の欲望を強く戒める。
王女フレイアは人知れず魔獣と戦っているとも言えた。
だがそれは勝算の低いものである事を、彼女の本能は薄々感じ始めていた。
人はやはり欲望には弱いものなのである・・・・・・
あとがき
今回のエピソード「フレイア」編は、当時2部に分割されていた初代「塔」を
Rに統一させる為に加筆された2編のうちの一つです。
実はこのエピソードに関しては、感想メールを頂いておりまして、再掲載は何
時になるのか・・・と、期待を寄せられていました。
で、この度こうして再掲載に至り、例のごとく(?)ほんのちょっぴりです
が、掲載当時に抑制していた表現を復活したバージョンになっています。
今回のエピソード「フレイア」編は、当時2部に分割されていた初代「塔」を
Rに統一させる為に加筆された2編のうちの一つです。
実はこのエピソードに関しては、感想メールを頂いておりまして、再掲載は何
時になるのか・・・と、期待を寄せられていました。
で、この度こうして再掲載に至り、例のごとく(?)ほんのちょっぴりです
が、掲載当時に抑制していた表現を復活したバージョンになっています。
投稿日:2010/12/04(土) 16:02:19
復活感謝。
コメントあんまりしてないけど、過去のSSとかよく読ませていただいてます~。
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