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2008/04/28(月)に投稿された記事
習作『燃料』その1
投稿日時:02:58:23|コメント:1件|トラックバック:0件|》本文を開閉
ディレクトリ:リスペクト小説
思いっきり設定をねじ曲げちゃってごめんね・・・RUIさん・・・
今回のテーマのは
・終わりない地獄
・閉じられない腋の下
・理不尽な責め苦
現在の世界が文明を繁栄させる遙か昔、現在の科学技術をも陵駕(りょうが)するほどのテクノロジーを持ち、この星全土を支配した旧世界の人類。
彼らは星1つを破壊するほどの武器や、空の彼方の星へも一瞬で移動する船を持ち、この星のみならず、空に浮かぶ月や太陽までをも利用して文明を栄えさせたと言う。
今となってはおとぎ話のたぐいと言われているが、確かに、あの遺跡群からは現代科学では解明できない数々の遺物が出土しているし、遺跡から放出されるエネルギーは、世界の電力の70%を担っているという話しだ。
エネルギー源は不明、遺跡に残された遺物の大半が、未だにその用途が分からずじまい。
研究者の中には、生命を造り出したり、遙か遠方の星々にも渡る事が出来る技術を有していたと主張する人々もいるが、その話もやぶさかではないのかも知れない。
夜の空に掛かるのはアーチ状のオービターリング。
何でも、あのリングも遺跡の1つなのだと言う。
地球を一周するリングをどうやって空に浮かべているのか。
まして、どういう方法で数千数万年という時間を経ても、あの形を保っていられるのか。
私たちの科学技術では、それすらも理解できないのだ。
超高度文明を誇った旧世界の人々が、どうして滅亡したのか。
その理由はどの書物にも記されていない。
そもそも、あの遺跡からは文字や書物という物が発見された事がないのだ。
透き通った虹色に光る円形の物体や、黒い石の様な物は大量に発見されるが、その用途は全くの不明。
その美しさから虹色に輝く物体は装飾品に。
黒い石のような物は、砕かれて研磨剤として使われている。
遺跡は現代の技術では建築不可能なほどに高層な建物を中心に成り、地下に巡らされた通路は迷路のような様相を呈していた。
遺跡への入り口は大量の瓦礫に覆い尽くされているが、ひとたび中へ足を踏み入れると、そこには確かに私たちより進んだ文明が太古に存在した事を思わせる光景が広がっている。
遺跡の探求を続けて数年が経ち、ここが7カ所目の遺跡となる。
徒歩による移動は時間がかかって仕方がない。せめて馬車でもあれば……と思うが、馬車を買うほど私は裕福ではなかった。
もし旧世界の話しが本当だったとして、徒歩で5日かかる道のりを数時間で移動できた乗り物が現存していたとしたら、私は多少無理をしてでも、その乗り物を買っていたかも知れないが。
夜も更けて、いよいよ空の星々が瞬き始めている。
オービターリングが僅かに銀色の輝きを放っているが、それももうじき漆黒の闇に飲み込まれるのだろう。
私は遺跡の前に張ったテントの前でたき火をしながら、長い髪をクシで解かしつつ圧倒的な存在感で鎮座する瓦礫の山を見上げて感嘆の息を漏らすばかりだった。
女の旅人と聞くと、みんなが眉をしかめて苦笑いする。
当然だ、旅路は決して安全とは言えないし、至る所でモンスターが身を潜めている。
猛獣ならば武器で攻撃でもすれば怯んでくれるかも知れないが、問題は旧世界の名残とも言われるメカニカルモンスターだ。
ナイフや猟銃程度ではビクともしないメカニカルモンスター。
出会ってしまったら逃げる以外に方法がない。
ただ、生身のモンスターと違って彼らは私たちを傷つけたり、とって食べようという様な事をしない。
……メカニカルモンスターは、私たちを捕らえて、その……ちょっとエッチな事をする……だけだ。
「……」
……もう寝よう。
夜も更けると、遺跡の周囲には明かり一つなく完全な漆黒の闇となる。
神々の聖域とも称される遺跡、それも、人があまり立ち入らないほどに深い場所で一人夜を過ごすのは決して心地よいものではない。
いつ何時、モンスターが現れるか分からない。
そう言えば、どこかの村に立ち寄った時に老人から『生きた遺跡の中にはモンスターは入ってこない』と聞かされた事がある。
この遺跡は、まさしく生きた遺跡であり、確かにこの地域に足を踏み入れてからはモンスターに一度も出会った事がない。
かと言って絶対にモンスターが現れないという保証もなく、用心するに超した事はない。
明かりを全て消して、テントの中で寝袋にくるまってウトウトとし始めた頃。
私は突然にまばゆいばかりの光りを感じて目を開いた。
「……ひ、光り…?」
驚いて体を起こそうとするが寝袋にくるまっていた事を忘れていた。
勢いよく飛び起きて、手足が動かせない事に気づいて慌てて寝袋から這い出すとテントの口から顔を覗かせる。
飛び出して光源を確認したい気持ちは山々だったが、得体の知れないモンスターでも居たとあっては由々しき事態だ。
そっと顔を覗かせて光源とおぼしきものを見つけようとするが、闇に慣れた瞳には光りが強すぎる。
少しずつ光りに目を慣らしながらキョロキョロと周囲を伺った私は、驚きに言葉を失ってしまった。
「フ、フレアバースト……」
フレアバースト、別名『遺跡の火』と呼ばれる謎の現象。
生きた遺跡から放たれる謎の光り。
そこからは激しいエネルギーが放出されており、私たち人類にとっては重要なエネルギー搾取のタイミングでもある。
発生する原因は不明、何のために、なぜ、どういう原理で発生するのか一切が謎の現象。
瓦礫の遺跡から話される紫色の光り、それは激しい閃光となって四方に飛散して闇夜を昼間のように強く照らし出している。
「……す、すごい光り……」
目を開けている事もままならないほどの輝き、遺跡から数百キロ離れた場所でも光りを見る事ができるという話しもうなずける。
猛烈な光りには圧力すら感じられるほどで、思わず数歩後ずさりしてしまった。
そんな猛烈な光りの嵐の中で、照らし出された遺跡はキラキラと輝いているようにすら見える。
……こんなに間近でフレアバーストに出くわしたのは、もしかしたら私が初めてなのではないだろうか。
冒険家と自称する私の心を好奇心がくすぐり、上着を肩に掛けてナイフをとりあえず掴むとソロソロと遺跡の中へと足を進めていく。
遺跡の中へ入ると、不思議な事に光りはそれほど強くは感じられず、どちらかと言うと薄暗いほどだった。
壁一面には、通称『鉄の壁画』と呼ばれる奇妙な模様が浮かんだ鋼鉄が張り巡らされており、その1つ1つの模様にキラキラと様々な色の光りが輝いている。
紫色の光りは、この通路を少し行った先から放たれているようで、屋根の落ちた遺跡から望む夜空には幾筋もの紫色の光りが縦横に放たれて空の闇の中へと消えていた。
心音がバクバクと耳を突き、ナイフを握る指先が僅かに震えている。
足下に広がるのは、ザラザラとした土の塊のような床。
壁と床とでは、その印象があまりに違いすぎて逆に驚かされる。
屋根もない状態で野ざらしにされても、数千数万の時を錆もせずに原形を止め続ける鋼鉄の壁。
その反面、すっかり朽ち果ててしまった床には一体どんな差があったのだろう。
そんな事に思いを巡らせつつ、慎重に足を進めた私は通路の曲がり角へ差し掛かる。
そこに辿り着いた私は、はっと息を呑んだ。
「……開いて…る…」
日中に入った時には、ただ巨大な鉄壁だったはずの壁。
そこに人間が一人通れるほどの通路が口を開けていたのだ。
鉄壁はどこに行ってしまったのだろうか?どうやって、あの重量の物体を移動させたのだろうか?
そんな疑問は、まさに無意味である事を私は思い知っていた。
……夢でも見ているのだろうかと、ほっぺたをつねってみると痛みが走る。
どうやら夢ではないようで、ほっとして良いものやら、どうにも判断に窮してしまう。
「……よ、よし!」
ギュッとナイフを握りしめて、通路に足を踏み入れる。
慎重に足を進め、通路から入った先に続く光景に私は目を見張ってしまった。
ザラザラとした床、砂ぼこりに汚れた鉄壁。
そんな、まさに瓦礫と呼ぶに相応しい遺跡の光景とは異なる、まさに『生きた遺跡』。
いや『当時のままの建物』と言うべきなのだろうか?
床は灰色のじゅうたんの様なものが敷かれて、壁には汚れ1つない鉄壁が立ち並ぶ。
天井には不思議な光りを放つ長方形の物体が取り付けられて、それが通路が続く遙か遠方まで伸びている。
なるほど、床が朽ち果てたのに壁が残された理由が分かった様な気がした。
私は意を決して、ソロソロと通路の奥へと足を進める。
ナイフを握る指先は相変わらずガタガタを震えているのが何とも情けないが、誰も踏み込んだ事がない未踏の地へ進んでいるのだから仕方がない、と自分に言い聞かせながら。
……それにしても、暖かい。
冬を間近に控えて息も白く色づく季節だと言うのに、上着を着込んでいるだけでも汗が滲むほどに気温が高い。
夏服でいて丁度良いほどの温度なのではないだろうか?
私は上着を脱ぐと、長袖を腕まくりして足を進ませていく。
しばらく足を進めると通路は突き当たった。
「……あれ?」
拍子抜けだった。
あるいは太古のモンスターの1匹でも現れるのではないかと警戒していたが、この通路にはそんな危険は何一つとして潜んでいない。
ナイフを握っていた手から力が抜け、ふぅと1つ息を付く。
上着を床に置くと、周囲をもう一度見回して見る。
「……?」
歩いてきた通路の、その途中。
僅かに壁から光りが漏れ出している場所がある。
鉄壁の僅かな隙間から褐色の光りが、本当に僅かに……
再びナイフを握りしめ、ゆっくりと光りが漏れ出している場所に近づいていく。
ゆっくりと……慎重に。
投稿日:2008/05/02(金) 15:05:22
こちらでははじめまして。
僕の絵にこんなすばらしい小説がつくとは!!
感激です(泣)
本当にありがとうございます。。
軽く2、3行のシチュエーションをつけていただければと思っていたので、逆に申し訳ないです・・・
この後、どのような展開になるのか絵を描いた自分自身、たいへん楽しみです((笑))
続きを気長にお待ちしております。
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