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2008/03/12(水)に投稿された記事
題名未定 プロローグの続き
投稿日時:02:25:42|コメント:1件|トラックバック:0件|》本文を開閉
ディレクトリ:(未完成)その他 - *放課後の大天使様!
大通りを横切り、2リットルのビール缶の形をした建物に目を向ける。
そう言えば、ここは元々酒屋だったのだろうかと彼女は思う。
一時期は選挙の事務所に使われていた事もあったが、彼女が記憶している限りこの店が開店している時を見た事がない。
信号機が赤から青に切り替わると同時に、点々と歩く人並みに押されるようにして自転車のペダルを漕ぎ出した。
空には鉛色の雲に絡まるようにして白い雲が渦を巻くように漂っている。
そこからパラパラと舞い落ちる雪は、朝目が覚めた時よりも幾分かは収まっているように思えたが気温は低く、まだ降り積もるのだろう。
藍色のコートに茶色のマフラーに顔を埋めた彼女は、白い息を吐き吐き一際大きく見える山へ向けて一心に自転車を進めていく。
シンシンと降り続く物を顔に受けながら、彼女は昨日の帰り際に受け取ったチラシの事を思い出している。
(新体操同好会……)
昨日は自分がそんな活動に参加できたものなのかと肯定的なのか否定的なのか分からない感情を渦巻かせていた心も、一晩の時を経てみれば多少の冷静さをもって考える事ができる。
分厚い手袋で握るグリップにギュッと力がこもる。
同好会という事は、まだ部活動として認定されているわけではない。
確か校則では3名から同好会として設立できて、部活動として認められるためには7人のメンバーが必要だったはずだ。
共学の偏差値も普通な、ごく一般的な高校で『新体操』の需要がどれほどあるのかは分からないが、決して興味がないワケではない。
しかし、第一体育館はバスケ部が占拠しているし、第二体育館はバトミントン部と卓球部が日夜活動に精を出している。
新体操と言うとどうにも広い空間でクルクルと棒を回したり、ジャンプしたりしているイメージがあるのだが、活動は一体どこでやっているのだろう?
そんな事は、今日の夕方にでも2年2組に行って聞けばいい事だ。
うんうん、とコートからはみ出した長い黒髪をピョコピョコと動かしながら彼女は一人うなずいている。
一晩の睡眠は惰眠では終わらず彼女に決意させる時間を十分に与えてくれたらしい。
素っ気ない、おそらくインクジェットプリンタで印刷してであろう何かを決意させるには不十分な黄色い一枚のチラシ。
しかし、昨日の夕暮れ時に出会った上級生の、まさしく『美麗』という言葉一つで全人類が揃ってうなずきそうな雰囲気は、そのチラシに十分すぎるほどの魅力を持たせてくれていた。
それに加えて、彼女自身も新体操には興味がある。
球技や水泳、果ては陸上と体育はそつなくこなしてきた彼女ではあるが、新体操や体操というスポーツにはとんと縁がない。
空中をグルグル回りながら綺麗に着地するようなウルトラCを繰り出せる自信はまるでないが、同好会に入会するしないに関わらず話しぐらいは聞いてみたい。
そんな事を思いながら彼女はペダルを漕ぐ足を止めて自転車を降りた。
頭の中で何を考えていようと、すでに数ヶ月の月日は彼女の体に『この場所へ来たら自転車を降りる』事を叩き込んでいる。
見上げれば雪を頂いた山肌。
自転車の前輪にカギを掛けると、それをコートのポケットにしまい込みながら、すっかり踏み固められた新雪の上を歩いていく。
登校口を入り、すっかり雪をこびりつかせたブーツを脱ぎ捨てると、背伸びをして下駄箱の一番上の段から上履きを取った。
1年3組には既にクラスメイト達でひしめいている。
スチームから立ちのぼる冬の陽炎に茹でられたように白く曇った窓ガラスには、幾つかの水滴が流れた跡が残されていた。
入り口を入って5列並べられた机の真ん中の列、その一番前が彼女の席。
吸い込まれるようにして机に向かった彼女は、鞄を机の脇にかけながら曇ったガラス窓の内側からも見て取れる雪の影を目で追っていた。
降り止むかと思っていた雪は、その数を少しずつではあったが増し始めている。
ぼんやりと窓の向こう側を見やりながら、相変わらず思うのは『新体操同好会』の事ばかり。
さて、本当に放課後に2年2組へ向かおうかどうかと真剣に考えながら、優柔不断な自分に小さくため息をついた彼女の肩を、誰かがトンと叩いた。
投稿日:2008/03/12(水) 22:41:28
ふつうの!
ふつうのしょうせつだ!
実はそれなりの前提があった方が感情移入できる身としては
こういう方が好きなのです。
新体操…百合…リボンとクラブ……
そしてくすぐり。
妄想が、妄想がぁー
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