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2008/05/26(月)に投稿された記事
初音ミクの興味関心(導入) その1
投稿日時:00:30:54|コメント:2件|トラックバック:0件|》本文を開閉
赤や黄色に色づき始めた山肌から秋の便りが届くようになり、随分と涼しい風も吹くようになりました。
夕立の足も遠のき、青空には一筆をさらりと流したような雲がのんびりと空に浮かんでいます。
パソコンのディスプレイから見る事ができる『外の世界』の風景と言えば、この程度のもの。
マスターが学校に行ってしまう平日は、私にとっては待ちぼうけの退屈な時間。
「はぁ……」
窓の近くに架けられた電線にチュンチュンと1羽のスズメが降りたって毛繕いをしている姿を見つめながら、タスクバーに肘をかけて頬杖をつき、何をするというわけでもなく時計の針だけがカチカチと時を刻むばかり。
いかんともし難いほどに暇な時間、インターネットで検索をして退屈を紛らわそうかと思い始めた私が振り返るとマイコンピュータのアイコンが鎮座しています。
「……?」
藍色に塗られた背景色、デスクトップには幾つかのアイコンが乱雑に放り投げられてお世辞にも綺麗なデスクトップとは言えない有様。
その中に私は見慣れないショートカットのアイコンを見つけて、ふと目を止めました。
「マイ……ピクチャー?」
そう言えば、昨晩は大学のコンパで夜遅くに返ってきたマスター。
ベロベロに酔っぱらってマイドキュメントの中をゴソゴソと漁ったり、私の体をマウスカーソルでツンツンと突き回したりと、やりたい放題のあげくキーボードの上に突っ伏してイビキをかき始めたマスター……
『コンパ』という物がいかなる会合であるのかは私には分かりませんが、夜遅くまでほったらかしにされたあげくマウスカーソルでペシペシと叩かれ、今朝になってみればその事をすっかり忘れていたマスター。
決してマスターの事を嫌いになるとか、そういう事じゃなくて、なんだか私の中に得体の知れないフラストレーションが溜まって行くのをヒシヒシと感じます。
……それはさておき、おそらく、この見慣れないアイコンもマスターが酔っぱらった勢いで間違ってデスクトップにショートカットを作ってしまったのかも知れません。
やれやれ……
どっこらしょ、と腰を持ち上げた私はデスクトップに足を降ろすとショートカットを両手で抱えます。
ゴミ箱へ移動して消去してしまおうかと思った時、私の中に良からぬ思いが芽生えてしまいました。
「……」
普段は立ち入り厳禁と厳しくマスターに言い聞かせられている、未知のエリア『マイドキュメント』。
160GBを2パーティションに区切って使用されているハードディスクの中でも唯一禍々しい雰囲気をモンモンと吹き出している謎の空間。
同じNTFSファイルシステムの中にいると言うのに、呪われた鉄仮面を幽閉するかのごとく固く封印されたマスターの秘密のフォルダ。
普段はデスクトップからも隠されて、一体どうやってマスターが開いているかも知れない『マイドキュメント』の中にあって、他のフォルダと一線を画するほどの圧倒的な怪しさを放つ、いわば禁断のエリア。
「……み、見ちゃおうかな……」
酔っぱらったマスターにマウスカーソルでペシペシと突かれ回されても、たまにちょっと恥ずかしい歌詞の歌を無理矢理歌わされても、ボーカロイドの私はそうしたマスターの全てを受け止める度量が必要なのです。
別にそういう事をされたからとマスターの事を嫌いになるとか、本当にそういう事じゃなくて、全てを受け止め全てを理解するためには、さらにマスターの事を知らなくてはならないのです!
この秘密のフォルダの中には、私の知らないマスターの色んな情報が隠されていて、それを見た事によって私はさらにマスターを深く理解する事ができる……ような気がします……多分。
……………
「……えいっ」
念のため誰も見ていない事を確認した上で、マイピクチャーのショートカットを両手でグイグイッと押し込みダブルクリック。
デスクトップ全体にウインドウが広がって、そこに表示されるのは無数のサムネイルアイコン。
胸が少しだけ罪悪感でチクリと痛みますが、これも全てはマスターを思う愛が故。
普段隠されているマスターの秘密。
一日中ほとんどの時間起動してくれているけれど、私を終了している数十分の間に行われている行為。
古生物学では猿と人類のミッシングリンクを埋めるために日夜研究が続けられていると聞きますし、天文学でも宇宙で誕生した最初の恒星を求める計算が今日もされていると聞いた事があります。
そう、ミッシングな空白の時間、謎を解き明かしたい、全てを知り尽くしたいと思う気持ちは全人類共通の好奇心と言っても過言ではないはずです!
……脳裏に数多くの言い訳を巡らせながら、次々とウインドウに表示されていくサムネイル画像。
その数を一見しただけで数える事は難しいですが、おそらく百では足りないのではないかと言うほどのファイル数。
1つ1つの画像を流してみる限りでは、思わず目を見はるような物は見当たらないようですが……
「……んん!?」
スクロールバーをえっちらほっちらと下へ押し進めていた私は、とあるフォルダに目が止まり思わず声を上げてしまいました。
『触手』
それは風景の画像や、トリックアートの類の画像がひしめき合うマイピクチャーの中で一際異彩を放って何食わぬ顔でポツンと存在しています。
中を見なくても一体そのフォルダにどんな画像たちが格納されているのか一瞬にして分かってしまい、自分の顔が赤くなっていくのを感じながら、私は天を仰ぎました。
「こんな、直球な名前付けなくても……」
不可視属性が設定されて半透明に表示されているものの、昨晩の一騒動の時に非表示にするのを忘れてしまったのでしょうか。
それにしても、もう少し捻りがあって良いはずなのに、このフォルダ名は……
……………
いいえ、マスターはきっとバリアフリーを大切にしたのです。
自分で言うのも何ですが、私はまだうら若き乙女の身分。
そんな私にフォルダの中に保存されているであろう、しょ……触手な画像を見せまいとして不可視属性に設定しつつも、このような事態に陥った時には潔くフォルダの中に入っている画像が何であるか私に明示するため、こんな手の込んだトラップを仕掛けたに違いありません。
「……ど、どんな画像が入ってるんだろう」
その他、『栗』『胸部に関する考察』等、気になるフォルダはいくつか存在していますが、目下の興味は『触手』フォルダ1つのみ。
念のためもう一度ディスプレイの向こう側に誰もいない事を確認した上で、そっとフォルダのアイコンを2回押し込みます。
ウインドウが『触手』フォルダの中身を表示し始め、次々とサムネイルが……
「あれ?」
ダブルクリックしたと言うのにフォルダは開かれず、私は「?」と思いつつも再びフォルダを2回押し込んでみます。
しかし、やはり変化はなし。
マイピクチャーの下層に存在しているだろう、触手画像の群は一向にサムネイル表示されて来ません。
何度かグイグイとフォルダを押し込んだり、アイコンを蹴ってみたりと万策を講じてもフォルダはウンともスンとも言わないまま。
プロテクトがかかっているわけでもないようですし、フォルダに偽装したファイル……というわけでもなさそうです。
……見えざる意志の介在か、あるいは、あまりに画像が多すぎてファイラがハングアップしているのか。
その真相は私には知るべくもありませんが、人智を超えた何者かが降り立った可能性は皆無に等しく、中にある大量の画像ファイルが何やら悪さをしている様子です。
しかもその画像群は、触手の画像。
…いささや不本意ではありますが、私はこのフォルダの中が気になって仕方がない。
とりあえず、昔から衝撃を与えれば何となく動くようになる、というジンクスをよく耳にしていた様な気がしてならない私はフォルダをキックしてみる事にしてみます。
てめーこの。
ゲシッ
……つま先にジーンと痛みが走り、少しだけうずくまりつつアイコンを見上げてみても音沙汰はなし。
沈黙を守り続ける『触手』フォルダを恨めしく見上げつつ、私はスクリと立ち上がりました。
「ふふ……やるわね。次は本気でやるから覚悟しなさいよ!」
どこかで見たドラマの女悪役の真似をして、さてどうしたものかと思い巡らせつつウインドウを閉じようとする私。
その時、ふと後ろでピチャッと生々しい音を聞いたような気がして振り返ったその場所には……
相変わらずだんまりを続ける『触手」フォルダ。
そのフォルダの中からウニョウニョと蠢く数本の……私の親指ほどの太さがある赤茶色のヒモのような物が蠢くように這いだしてきているではありませんか。
フォルダから次々と先端を現して、その数は既に数本から数十本へ、さらにその数は増す一方のようです。
そして、蠢きながらウニョウニョと虚空を舐めるようにして動き回っていたそれらは、まるで狙いを定めたかのように私に向かって近づいてきたのです。
「え?なにこれ?ちょ……ええ!?」
数十本もの細い、まさしく『触手』と呼ぶに相応しいウニョウニョと蠢くヒモ状の物が近づいてくる。
フォルダからはさらに数多くの触手が次々と這いだして、全てが私に向かって近づいてくるのです。
その、あまりに非現実的な光景を前にして愕然としていた私は、足下に迫りつつある数本の触手に足首を絡み取られるまで、呆気にとられるように立ち尽くしている事しかできませんでした。
「あっ!」
と声を上げた時には時すでに遅し、両足首には赤黒い触手がグルグルと巻き付いて、さらにふくらはぎや膝にも触手が次々と絡みついて来てしまいます。
足を動かそうにも動かせず、一歩退こうとしても触手は私の両足をグイグイと引っ張って……
おそらくは、ある『触手』フォルダへ引きずり込もうとしている……
「ちょっ…!や、やだ!きゃっ!」
何とかして両足をばたつかせて絡みついた触手を振り払おうとしますが、両足はガッチリと縛り付けられてバランスを崩し尻もちを付いてしまいます。
倒れ込んだ私の腕や手首、腰にも次々と触手が絡みつき、予想以上の力でギュッと巻き付いて。
グイグイと引っ張られる両足、両手の爪を立てて何とかして抵抗しようと試みますが、次々と数を増して体を縛り付けて来る触手の群に適うはずもなく……
投稿日:2008/05/26(月) 03:27:45
触手プレイ最高!
あれですね、触手に散々擽られた後帰ってきたマスターに見つかって更にお仕置きタイムですね?判ります。
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