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2008/09/23(火)に投稿された記事
霊夢×萃香 ミッシング・ナイト 第2夜
投稿日時:02:59:48|コメント:1件|トラックバック:0件|》本文を開閉
壺の上に乗せられた蓋代わりの陶器の器を外してみると、そこには油紙が貼られている。
相当な年代物なのだろうか、油紙は所々が薄く赤茶けてはいるものの、その奥には淡い紅色に染まった液体がゆらりゆらりと揺れている。
ゴシゴシと両手を揉んで、舌で唇を舐めた彼女はそっと油紙を剥がしてみる。
ペリペリと剥がれる音と共に濃厚な酒の香り。
「くぅぅ……ああ、すっごくいい!うわぁ、すっごい濃厚……」
目をキラキラと輝かせながら、取るもの取りあえずといった様子に、蓋として被せられていた陶器をそっと桜色の白濁の中に差し入れてみる。
器の中にサラリと桜色の白酒が流れ込み、持ち上げると米粒が混ざった独特の重み。
ポタリポタリと滴る酒も惜しいが、そのまま顔を近づけてクイッと一口。
仄かに薫る浅い苦みと、喉に厳しくない程度の甘み。
舌の上に米の粒の感触を感じつつ、そのまま一気に喉へと流し込む。
コクン
喉を通る時の白酒独特の香りが鼻に抜け、胃袋へまっしぐらに下っていく熱い感覚を楽しみながら。
感想を述べる前に思わず手が動き、そのまま器を傾ける。
ゴクッゴクッと喉を鳴らして白酒を一気に飲み干すと、口の周りについた酒を舌で舐め取って、大きく息を吹く。
口の中に残った酒の喉が痺れるような香りを愉しみながら、再び壺の中の液体に陶器を沈める。
再びすくい上げた米粒をたっぷりと含んだ白酒を再び口へ運ぶ。
甘味と酒独特の辛味が相成って、甘い物にも目がない萃香にとってはまさに至極の一品。
彼女が持ち歩く際限なく酒が湧き出すヒョウタンの酒も決して不味いわけではなかったが、この博麗に伝わる御神酒を前にしては色あせてしまう。
本当に美味いものを口にした時は言葉ではなく食で語ると、誰が言ったわけでもないが、萃香はその飲み口の柔らかい酒を次々と陶器にすくい上げては口へ流し込んでいく。
酒飲みとして冷酒を飲む時は、酒に呑まれ易い事は知りながら。
しかし、その酒はあまりにも美味で手を止めようとしても止める事ができない。
もう一杯、もう一杯だけ。
そんな思いと共に、酒を口に注ぎ込むと再び陶器の器に白酒をすくい上げてしまう。
酒の難しいところは良く分からない萃香だったが、酒の味には人一倍のウンチクをする自信はあった。
その味にうるさい口を黙らせて、しゃべる事も許さないほどに魅了する博麗の白酒。
その淡い紅色の酒を口いっぱいに含ませた萃香の顔も、少しずつ紅色に染まり始め……
「……ん」
腫れぼったい感じのする瞼を持ち上げると、まだ体には酒の酔いが残っている。
口の中には微かに酒の味と、白酒の米粒の感触。
まだ頭はぼんやりとして、体中がひどくだるい。
「……あぇ…わたひ……」
口の呂律が回らず、ゆっくりと重たい瞼をこじ開けて辺りに視線を飛ばした。
赤土に覆われた掘り下げ、周囲には相変わらず多数の酒壺が配されて、静寂の中に鎮座している。
辺りはまだ暗く、視線を上に飛ばすと眼前には月明かりに照らされているのか青白く浮かぶ土蔵の天井の組み木の影。
どうやら彼女は酒を飲みつつ、いつの間にやら眠ってしまっていたらしい。
仰向けに寝そべったまま、大の字に放り出された肩や腕、太ももには微かに冷たい地面の感触。
「……ねひゃったんだ……ふあぁぁ…」
見事に大口を開けて一あくびをした萃香は、まだ酒の抜けきっていない体を起き上がらせようと手足に力を入れてみる。
さすがに、こんな所で一晩明かしたら風邪をひいてしまうかもしれない。
「……あ、あれ…?」
いざ起き上がろうとして、萃香は奇妙な事に気づいた。
ひどく酔っているとは言え、体の感覚はそれでもはっきりとしている。
それなのに、起き上がろうと肘をつこうとした腕は僅かには動かせるものの、肘を曲げる動作には至らなかったのだ。
まるで凄まじい力で抑えつけられているような感覚。
四肢には圧迫感はまるでなく、誰かが抑えつけている様子もない。
「おはよう、萃香ちゃん?」
耳元で聞き慣れた声を聞き、萃香はビクリと肩を震わせる。
「ゆっくり眠れたかしら?うふふふ、うふふふふふふ……」
恐る恐る視線を動かしてみると、そこには。
腕を大きく組み、まさに仁王立ちをして引きつった笑顔を浮かべる、小さな霊夢の姿があった。
萃香の脳裏に掠めるのは、1つの覚悟と1つの疑問。
「あ、あはははは……」
とりあえず、どうやって言葉を返したら良いものか分からず乾いた笑いを浮かべる萃香。
それに反比例するように、霊夢の顔に浮かんでいた笑顔がさらに引きつっていく。
(やばいよ!すっごい怒ってる……)
萃香の喉から漏れ出すような乾いた笑いは足を忍ばせ、口元を苦笑いが歪めていく。
霊夢の口からは、これっぽっちも可笑しそうに聞こえない、まるで干からびた笹を擦り合わせるような笑い声が漏れ出し続けている。
そして……
「ふふふ、うふふふふふふ……さぁて、お仕置きしなくちゃ。お仕置きをしなくちゃね……」
そう言いながら、霊夢が一歩足を進める。
普段なら神社から逃げ出して、ほとぼりが冷めるまで森の木々にかくまってもらう所だが、今日の萃香は体の自由が効かない。
再び霊夢が一歩、萃香に近づく。
ビクッと萃香が肩を震わせて、ニコニコ笑顔を崩さない霊夢の一挙手一投足を恐怖の眼差しで見つめ続ける。
「ふふふふふ、萃香。萃香ちゃん?大きな大きな萃香ちゃん?ふふふふふふ……」
そう言いながら、霊夢はゆっくりと、ゆっくりと萃香へ向かって足を進めてくる。
萃香は恐怖の中、霊夢が先ほどから随分と近づいているというのに、その姿が一向に大きくならない事に、その疑問が自分の目の錯覚ではなかった事に気づき始めていた。
自分の眼前にいながら、まるで人形程度の大きさにしか見えない霊夢。
そう言えば、赤土の掘り下げも先ほどまでは広く感じていたが、随分と狭くなっているように思われた。
そして、霊夢の先ほどの言葉。
『大きな大きな萃香ちゃん?』
「……霊夢!ちょっと待って!私、ミッシングパワーなんて使ってないのに…なんで大きくなってんの!?」
少しでも霊夢の足を遅らせようという魂胆も含まれていたが、純粋な疑問を口にする萃香。
霊夢はニコニコ笑顔を崩さず、ゆっくりとした足取りのまま、萃香の視界から消えていく。
「ふふふ……あのお酒、いっぱい御札が貼ってあったでしょ?」
そう言えば、と萃香は思う。
異常なまでに、まるで壺を覆い尽くすかのようにビッシリと貼られた御札。
その中に納められた博麗の白酒。
「ふふふ……その答えは、あなたがお仕置きに耐えられたら教えてあげるわ」
語尾に残酷な色を含ませて霊夢がポツリと言う。
まるで萃香には、これから霊夢によって行われる『お仕置き』が耐えきれない事を暗示するかのように。
「れ、霊夢……そ、その…ご、ごめん!だ、だから、その……ごめん!」
妖気と見まごうばかりの怪しげな雰囲気を漂わせながら、萃香の横へ移動した霊夢。
体が動かせなくても、その恐ろしいまでの存在感はピリピリと気配だけで感じる事ができる。
何とか許してもらおうと謝罪の言葉を口にした萃香だったが、霊夢は静かに。
「だーめ。うふふふふふ……」
と、怪しく笑いながら、ゆっくりとその足音を響かせて。
動かせない体、かろうじて関節を微かには曲げる事はできるものの、立ち上がる事は出来ず。
頭部だけは何とか動かす事はできるが、首を曲げて見渡せる範囲などたかが知れている。
霊夢はゆっくりと萃香の胴をなぞるように移動すると、彼女の胴体と腕の付け根の辺りで足を止めた。
「ふふ、今宵はまだ夜も浅いけれど……さて、始めましょう?」
投稿日:2008/10/12(日) 14:20:39
日本酒の描写がうめえです。
飲みたくなりました。
すいかはおおきくなる能力があるのですね☆
体長差のコチョコチョ好き~♪
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