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2009/02/13(金)に投稿された記事
どうにゅう その1
投稿日時:02:44:53|コメント:0件|》本文を開閉
ディレクトリ:(未完成)東方 - *クライシス8901
ひどく蒸し暑い夏の夜、山中の森は奥深くにある神社にあっても涼しげな風は一輪として吹いていない。
空には濛々と立ちこめるような雨雲が垂れて、遠く峰を連ねる山々は霞みに遮られて見渡す事すらできなかった。
一雨でも降ってくれれば涼しくもなるものと期待はしていたが、湿気ばかりがかさんでいくばかりで雨の気配は感じられない。
菜種油を染ませた灯芯に薄暗い明かりが灯されて、ぼんやりと浮かび上がる部屋の中。
隣の部屋ではすでに敷き布団の上に両手足を放り出した萃香が、ぐーすかと寝息を立てているのを横目に見ながら、そっと開いた障子戸の奥に広がる神社の境内。
月明かりもない漆黒の闇の中、それは霊夢に特別な能力が備わっているから見えたわけではなかったのだろう。
それは障子戸の紙を透かした明かりにぼんやりと輪郭を滲ませて、しかし、はっきりとそこにあった。
雑草が生えた地面、そこに転がるようにして緑色の不気味な光りを放った……それを例えるとしたら、彼女が一度だけアリスに作ってもらった「ゼリー」に似ている。
そのゼリーを大きくしてドロドロにして、得体の知れない魔法の呪文を丹精込めて擦り込んだような、ベチャベチャの液体が地面に広がっていたのだ。
幻想郷に生まれて十数年、普通の人々よりも多くを見聞して来た博麗の巫女である彼女も、この緑色のベチャグロゼリーは初めて見る代物だった。
(……魔理沙の失敗品?)
そうは思ったものの、この得体の知れない謎の液体をもし魔理沙が手にしたとしたら……
間違いなく真っ先に博麗神社へとやって来て見せびらかせるに違いない。
(そうして、いらない事をして異変が起こるのよね……)
ふうと小さくため息を1つついて、暗闇に怪しく光りを放つ液体をじっと見据えてみる。
可能性としては3つ考えられた。
1つは、誰かが放棄して行った廃棄物の可能性。
こんな物を手にしてしまった人は、さぞかし一刻も早く手放したかったに違いない。
それを博麗神社の境内に放棄していく行為が果たして人道的な行為であったかどうかは別にして、その人物の心中は推し量れんばかりである。
1つは、博麗大結界の外の世界から幻想郷へ入って来た物体の可能性。
ここまで謎が極まれば、外の世界で存在できない、と言うよりも万人が見て見ぬ振りをしても不思議ではない。
最後の1つは、未知の病原菌の塊である可能性。
一番ありえない様な話しではあるが、ここは兎にも角にも『ありえない物』が辿り着く幻想郷である以上、意外な有力候補だ。
この不気味な緑色の発光がチェレンコフ光だったりしたら……考えるのも恐ろしい。
果たして、この緑色に発光する正体がまるで掴めない不気味な物体が一体何なのか。
その疑問への挑戦は、人類の進化の謎を秘めたミッシングリンクを紐解く以上の困難さを垣間見せているだけに、出来る事なら関わりたくない。
「……さて、何も見なかった…っと」
とりあえず、何も見なかった事にしておもむろに障子戸を閉めようとする霊夢。
万が一、この謎の怪物体が原因となって異変が起きたとしたら……このベチャグロエキスが空中を所狭しを狂い舞う様相は地獄絵図の如き有様だろうが、そんな時こそ魔理沙に任せてしまえばいい。
大挙して津波となって押し寄せるベチャグロエキス、このディープインパクトも真っ青のクレイジーな展開は勘弁被りたいが、いざという時はスキマ妖怪の荒技が炸裂するだろう。
障子戸に手をかけた彼女、しかし。