インラインRSSがどうも動作しなくなったみたいなので、RSSへのリンク追加しました
このサイトに掲載されている作品を、無断で掲載・転載する事を禁止します。
Copyright 2007- C Powered By FC2 BLOG
生きてるけど、今は家族のことを最優先中!
「くすぐりの塔」はキャンサーさんから作品が届き次第、ちゃんと更新していきます!
(今は公開させていただいた作品が手元に届いているすべてです)
ご連絡:キャンサーさん、何度かメール送っているから、ご返信くださ~い
2009/02/13(金)に投稿された記事
?×萃香 萃香がとってもクライシス その2
投稿日時:02:48:46|コメント:0件|》本文を開閉
ディレクトリ:(未完成)東方 - *クライシス8901
その口から漏れ出す吐息と言葉の中に混ざる、不思議な色合いに霊夢は小さく首を傾げる。
「あ、あんた……具合悪い…のよね?」
自分の腕にしがみついて全身を震わせる萃香の姿を見下ろして、霊夢が尋ねる。
「ひゃッ…!ち、ちがうってッ……!あっ……そ、そこはッ!やっ……!く、くすぐったいんだよぉぉッ!」
その全身で受け止めがたい感覚を、懸命に声と体の震えで受け流しながら萃香が叫ぶように告げた言葉に、霊夢は再び驚いてしまった。
鬼である萃香の事、風邪などひくはずもなければ、酒の飲み過ぎて腹痛なども考えづらい。
一体どんな症状なのかと尋ねてみたら、痛くもなければ痒いわけでもなく……
「く、くすぐったい……?」
半ば呆れたような調子の霊夢。
その霊夢の腕に必死の形相でしがみつく萃香は、その霊夢の表情を察したのか、慌てた様子で肩へとしがみついてくる。
「ほ、ほんとなの!……くふふふっ!ほんとなんだってばぁぁッ!ひっ…くひひひひ!ぅきぃッ!あぅッ…だ、だめだってぇッ!」
一瞬、霊夢の脳裏によぎる思い。
もしかしたら、萃香はふざけているだけなのではないか?
しかし、その考えを彼女はすぐに否定した。
萃香は鬼の血族、鬼は決して嘘をつかない種族である事を霊夢は知っている。
愚直なまでの実直さ、何事にも真正面に向かっていく事しかできず、何事も真正面からしか受け取る事ができない。
不器用……という言葉が果たして正しい言葉であるのかは分からないが、萃香がふざけて人を心配させるような行為をするとは思えなかった。
それ以前に萃香の現在の姿を見れば、霊夢は彼女の体に異変が起こっている事は明らかである。
全身に浮かぶ汗、全身を包み込む異様なまでの熱気。
顔を紅潮させ、今も自分の肩にしがみついて必死に何かに耐えるように体を震わせている。
自分よりも遙かに長い年月を生きているとは言え、その姿は年端もいかない少女そのものだ。
その小さな体が自分の腕の中で震えている姿を見ていると、母性が刺激されてならない。
「萃香、分かったから!その……ど、どこがくすぐったいのよ?」
我ながら随分と間の抜けたセリフだと思った。
しかし、その冗談としか聞こえないような言葉に萃香は、微かな期待と……
何かを堪えるようにして下唇を強く噛んだ口元を、しゃべる事すらもどかしいと言った調子に動かして。
「……ぅっ…はぁッ!わ、腋がぁッ!ひひっ!ああッ……腋がぁぁッ!!」
そう言いながら、霊夢の肩から手を離した萃香。
彼女は引いた右手をそっと自分の左肩へ当て、何かを悩むような表情を浮かべた後。
「くふふふっ……!れ、霊夢ぅッ!はぁっ……!わ、腋の……くひひッ!わ、腋のヤツを……ひゃひひッ!腋のくすぐったいの取ってぇぇッッ!!」
『くすぐったい』『腋』……
先ほどから萃香が口にするセリフのどこにも真剣さや切迫感は感じられないが、確かにいよいよ笑いが混ざり始めた萃香の言葉には、懸命な懇願の色が伺える。
くすぐりという行為を、霊夢も体験した事がないというワケではない。
遊び程度、ほんの戯れ程度の行為。
神社に遊びに来た魔理沙がふざけて脇腹を突っついてきたり、その程度のものだ。
その『くすぐったい』という感覚自体に如何ほどの危険が潜んでいるのかは分からないが、萃香の表情と一時の休息もなくくねらせ続けている体を見る限り、それが彼女が想像している以上の苦痛である事だけは分かった。
「わ、分かったから……ちょっと見せなさい」
そう言って、萃香の手首を握る霊夢。
しかし、萃香は自分が放った言葉とは裏腹にギュッと腕と胴体を締め付けて、腕を上げる仕草すら見せなかった。