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2008/01/05(土)に投稿された記事
つかさをこちょこちょ パート2
投稿日時:23:38:39|コメント:0件|トラックバック:0件|》本文を開閉
ディレクトリ:らきすた - つかさをこちょこちょ
それは、風もないのに渦を巻くようにして流れて、どこかへ吸い込まれるようにして消えていく。
その薄らいだ前方の景色の中に、ぼんやりと紅い光り。
柵のような物が見えて、そこに誰かが、もたれかかるようにして、遠くを見つめているような気がした。
はっきりと分からない、ただ、その誰かを、私は知っているような気がする。
頭の中がぼーっとしている。
どうしてなのかは分からないけれど、グルグルと頭の中で何かが渦巻いている。
ああ、そう言えば、この光景をどこかで。
……………
・
・
「つかさ、起きなさいってっ、つーかーさー!」
ぺちぺちと誰かの手が、私の頬を軽く叩く感触。
ぼんやりとした頭で、必死に重たいまぶたを持ち上げる。
滲んだ天井を見つめながら、べたつく目やを腕で拭おうとする。
しかし、目覚めたばかりだからだろうか、腕をうまく動かすことができず、半袖の袖口でゴシゴシと拭うと、再び天井を見つめる。
「……あ…れ……?」
全身に軽いだるさを感じながら、辺りを見回した。
ここは……私の部屋?
「おーい、起きてるかー?」
再びぺちぺちと頬を叩かれ、まだ醒めきっていない頭で、必死に状況を理解しようとする。
あれ?私は、なんでここにいるんだろう?
ようやく焦点の定まり始めた視界に、お姉ちゃんの顔が映る。
その表情は、私の顔を見つめながら、なかば呆れているみたい。
「……あ、お姉ちゃん…おはよ……」
「…おーい、もう5時半だぞー。しっかりしろー」
え?
私は驚きながら、腰に力を入れてグイと上半身を起こす。
壁にかけられた時計を見ると、本当に5時半を回った辺り。
「……あれ…?学校は……?」
「黒井先生には、私から風邪で休みますって言っといたわよ」
「……え?あれ…?じゃあ……夕ご飯は?」
「おいおい……寝ぼけてないで起きろー」
あれ?そう言えば、お昼ご飯も、まだ食べてないんだっけ……?
自分の口から出た言葉に戸惑いつつも、頭の中に光りが差したように、次第に取り留めもない思考がまとまり始める。
そうだ、落ち着いて整理していこう。
私の記憶では、私は風邪なんて引いていない。
じゃあ、なんで私は学校を休んで、こんな時間までベッドに横になっていたんだろう?
朝、私はいつもより早く目が覚めて……
あっ!
ガバッと身を起こそうと身を起こすが、両腕が誰かに捕まれたみたいに動かせず、そのままベッドにボフッと沈み込んでしまう。
じんわりと両腕に感じる違和感。
一体何が起きたのか分からないまま、何度も両腕を動かそうとする。
何かが、私の手首に巻き付いている……?
そう感じると、ぞっと背筋に寒気が走る。
突然の恐怖を感じ、慌てて自分の両手首に視線を飛ばす。
ベッドの端いっぱいまで持ち上げられた、私の両手首。
赤いタオルのような物が、手首に取り付けられていて、そこから白いロープが、ベッド下へ伸びている。
「……な、なにコレっ……うぅっ…」
グイグイと両腕を引っ張るが、その赤いタオルのような物はびくともしない。
何とかして取り外そうと思っても、両腕が固定されてしまっていては、そこに手を届かせる手だてもなかった。
そ、そうだ、体をひねれば……
そう思いついて、両足を持ち上げようとする。
しかし、両足を動かそうとして、ふと両足首にも違和感を感じ、驚いて視線を足下へ送る。
予感の通りだった。
赤いタオルのような物が、両手首同様に取り付けられていて、そこから白いロープが、ベッドの下へ伸びていた。
な、なんで?
どうして?
「…お、お、お姉ちゃん……」
強い不安を感じて、私はお姉ちゃんの顔を弱々しく見つめる。
その顔には、どこか困ったような、でも、私が見たこともないような不思議な笑顔が浮かんでいる……
「…お、お姉ちゃん……ど…どうして……」
不安は恐怖へ変わり、カタカタと体が震えだしてしまう。
自分の部屋なのに、まるで、自分が知らない別の国にでも来てしまったような。
凄まじい孤独感が心の奥からわき起こり、歯と歯がガチガチとぶつかり合うほど震えてしまう。
「……ほ、ほどいて……お姉ちゃんっ…ほどいて……」
「何言ってんの、つかさがやりたいって言ったんじゃないの」
「……言ってないよ!私……言ってないよっ!」
記憶の隅々まで思い返しても、私は、自分を縛って欲しいなどと言った記憶はない。
両手足を大きくばたつかせて、お姉ちゃんに瞳を見つめて叫ぶ。
ギシッギシッとベッドが大きくきしみ、それにも構わず、背中を布団にドンドンと叩きつけた。
「言ってないよ!言ってないってば!ほどいて!ほどいてよ!」
「覚えてないのかよ……まあ、任せときなさいって。初めてなんだからさ」
そう言いながら、お姉ちゃんの気配が遠のくのを感じる。
ほっとする反面、お姉ちゃんの姿が見えなくなったことへの恐怖がわき起こる。
もしかしたら、あのお姉ちゃんは、私の知らない人なのではないか。
お姉ちゃんの姿はしていても、本当のお姉ちゃんではない、全く別の得体の知れない生き物なのではないか。
非現実的な思いすらも、自分の身の上に起こっている出来事を前にすると、否定できなくなってしまう。
「……うぅ……お姉ちゃん…うぅっ…うぅぅ……」
強い不安が心を握りつぶすように押し寄せて、目から涙が流れそうになる。
怖い、どうしよう……
誰か助けて……
「おーい、かがみー…って、つかさ泣いてるじゃん!?」
突然の聞き慣れた声に、私はハッとして顔を上げる。
こ、こなちゃん!?
私の心に陽の光が差したようだった。
薄どんよりとした鉛のように重たい雲が立ちこめたように、冷たく寂しい心が、じわりじわりと溶け出していく。
「ふぇぇ……こなちゃん…こなちゃんっ!」
安堵感に心がぐらぐらと揺れ、目尻に涙が浮かぶ。
必死になって拘束されている両手足を動かして、体を起こそうとするが、しっかりと縛り付けられた手足に、空しくガクガクと上下に動くばかり。
「なんか、つかさ、覚えてないんだってさ」
お姉ちゃんの言葉に、私は再び顔を上げる。
何を!?
私は一体何を覚えていないの!?
「……まあ、寝言みたいだっしねぇ。まあ、怖いのは仕方ないって。私だって最初は怖かったし」
そう言って、こなちゃんが私の顔をのぞき込む。
いつもの、こなちゃんの笑顔だ……
ほっと胸を撫で下ろすが、私は一体、何を言ったのだろう?
ひどく気になるが、そのことを尋ねようとする私よりも先に、お姉ちゃんが、こなちゃんに声をかける。
「縛られるって、そんなに怖いもんなの?」
「そりゃ怖いよー。特に、かがみの野生の本能に目覚めた眼とかねぇ……」
お姉ちゃんの言葉に、こなちゃんが小さく笑いながら返す。
「ほぉー。私、野生なんだ?」
眉間にしわを寄せて、こなちゃんを睨むお姉ちゃん。
何気ない、いつもと変わらない会話。
私の中で沸き上がっていた不安は、幾分かは和らいだが、大きな疑問だけが残される。
どうして、私は縛られているんだろう?
一体、私は何を言ってしまったのだろう……?
「まあ、つかさは私たちに任せて。ほらほら、肩から力抜いてさ」
こなちゃんが優しくほほ笑みかけてくれる。
目尻に浮かぶ涙が、もみあげの辺りを伝い、首筋へ流れていく。
心がようやく落ち着いてきて、改めて、自分の周囲の状況を1つ1つ確認してみた。
閉じられたカーテンの隙間からは、まだ、夕焼け色にも染まっていない日差しが差し込んでいる。
クーラーが効いた室内は暑くはなかったが、やたらと全身が火照っているように思えた。
ベッドの横になった私の、右隣に、お姉ちゃんと、こなちゃん。
お姉ちゃんは、真っ赤なキャミソールに、白色のキュロット。
こなちゃんは、一度家に帰ってきたのだろうか、黄色い生地のプリントワンピ。
「……わ、私…な、何を…言ったの…?」
かく言う私は、朝のままのパジャマ姿。
すっかりボサボサになっているだろう髪の毛が気になったが、それ以上に気になる疑問を、二人のどちらともなく問いかけてみた。
「つかさくん、つかさくん、君は私たちの行為を覗いていたらしいではないか?」
ニヤニヤと意地悪そうな笑いを浮かべたこなちゃんが、私の問いに答えず、そんなことを言ってくる。
「……な、な、な、な、なんのこと……?」
しまった。
口から出た言葉が必要以上にどもってしまったことに焦りながら、私は弱々しい笑みをこなちゃんに送る。
「うんうん、見ていたんだねぇ。そして、君も参加したいと、そういうワケですかな?」
……巧妙な密室トリックを見破った名探偵のように、こなちゃんは、ウンウンとかぶりを振りながら腕を組む。
な、なんで知ってるの!?
と言うか、私はそこまで思ってはいない……はずなのに……
「そ、そんなこと……」
「言ってたのよ、つかさ。ホントに覚えてないの?」
お姉ちゃんがベッドのシーツの上に手を置いて、私に顔を近づけながら言う。
その顔は、お姉ちゃんだけど……
お姉ちゃんなのに、いつものお姉ちゃんじゃないみたいだった。
その目の奥にある光り……?
それは、目つきでもなく、決して、お姉ちゃんの目の色が変わってしまったわけでもない。
そこから注がれる、ねっとりとした、不思議な雰囲気。
その不思議な雰囲気は、縛り付けられ、自由の利かない私の体を舐め回すようで、熱いものが秘められているようにすら感じられた。
……二人の視線が注がれている。
そのことを意識しだすと、たまらなく恥ずかしくなってくる。
「…うう……ううう……」
もじもじと、その体を丸めて、二人の視線から逃げ出したい。
そう思っても、拘束された体では、それすらも適わない。
「まあ、かがみんや。とりあえず、始めちゃえば大丈夫なんじゃないかねぇ?」
こなちゃんの言葉。
その言葉に、ひどく艶めかしい響きを感じて、こなちゃんの顔を見てしまう。
……普段通りのこなちゃんの顔。
でも……なんだろう?
それは、言葉で言い表すことのできない、独特な雰囲気……
もっと正確に言うとすれば、独特の空気、とでも言えばいいのかもしれない。
そんな、絡みつくような、とても粘っこい空気が、こなちゃんの周りを漂っているみたいに感じた。
「そうね、じゃあ、始めましょうか?」
「な、何を……?」
私には見えない気持ちの疎通があるように、二人は1つだけうなずき合う。
そして、私の方に視線を落としてきた。
な、なに?
「ね、ねぇ?あ、あの……な、何を……?」
私の問いかけに、二人は答えてくれない。
ニヤニヤと、なんだか、とても嫌らしい笑顔を浮かべて、じりじりと近づいてくる。
「ね、ねぇ!?目が怖いよ二人とも!?ねぇ!……ねぇってば!」
ものすごく、ねっとりとした視線。
二人の気配が少しずつ近づいてくる。
まさか……
私の脳裏に浮かぶのは、昨日、私が覗き見た、二人の行為。
朝方、私を狂わせ、身もだえさせた……
「…ひっ…!や、やだ!やだぁぁぁ!!」
ギシッギシッ!
全身全霊を持って両腕を動かすが、両腕に巻き付いている拘束は決して外れそうにない。
「やだぁぁぁ!!……そ、そうだ!お、お父さんとお母さんがいるよ!?お姉ちゃんたちだっているよ!」
そうだ、私が騒げば、きっとみんなが駆けつけてくるに違いない。
普通とは決して言えない行為、それを止めないはずがない。
一点の光明を見たような気がして、私は二人に、あらん限りの身振り手振りで訴えかける。
でも……
「ふっふっふっ、今日はお父さんとお母さんは映画観に行ってるし、『おねぇちゃんたち』は、コンパやバイトなのよねぇ……」
「……そ、そんな…っ!」
こんな時に限って……
絶望的な、お姉ちゃんの言葉に、私の両腕から力が抜ける。
その隙を狙ったかのように、二人の両手が、私の縛り付けられている体へ触れてきた。
「……ひぃっ!」
どくっ、どくっ
嫌がっている言葉とは裏腹に、私の胸が大きく弾んでいる。
胸の奥で、確実に早くなっていく心臓の脈動。
それが、耳の中ではっきりと聞き取れた。
「さあ、覚悟しなさいよ、つかさ……」
お姉ちゃんの言葉を聞きながら、私は強く目をつむり、全身に力を入れて「刺激」が訪れるのを待つことしかできなかった。