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2008/01/26(土)に投稿された記事
球体 その3
投稿日時:02:04:30|コメント:1件|トラックバック:0件|》本文を開閉
手足に力が入らず、まぶたが鉛のように重い。
まだ早いままの鼓動が、耳の奥に強く響いていた。
霞(かすみ)がかかった様な頭の中で、渦を巻くようにして激しい刺激の余韻が続いている。
うっすらと滲む明かりを眩しく感じながら、少しずつ目を開いていく。
真っ白な壁、真っ白な照明。
全身に感じる倦怠感、ぬるぬるとした液体に濡れた制服が肌にへばり付き、微かに指先を動かすと、ぬるっとした感触。
ああ……そうだ。
私、変な壁に包まれて……
「……んっ」
小さく声を漏らし、腕で上半身を起き上がらせると、制服からポタッポタッと液体が垂れる音。
見ると、制服から幾本もの糸を引きながら、透明な粘液が白い床に滴り、ドロドロと流れていく。
「お姉ちゃん……」
見ると、右にはつかさの心配そうな顔。
目は赤くなり、頬にはまだ涙の後が残っている。
「……か、かがみ…」
左にはこなた。
その目には力はなく、眉は下がり、私の顔を上目遣いで見つめている。
「ご、ごめん……かがみ……」
……どうして、こなたは謝っているのだろう?
不思議に思いつつ、小首を傾げる。
「こ、こなた……?」
「私、ここから出たら、もっと勉強する……だ、だから、その…ご、ごめん!」
ぐっと、こなたの小さな手に力が入るのが見えた。
いつになく真剣で、いつになく弱々しい彼女の顔。
右を見ると、つかさも同様に眉を下げて、再び目を潤ませていた。
「い、いや…別に、つかさとこなたが悪いわけじゃないって……」
そう言いながら、足に力を入れて起き上がろうとする。
べちゃっと音を立てて、靴下が床にネバネバと張り付く。
湾曲した壁に手をついて、全身に絡みつく粘液の重さを感じながら、ゆっくりと転ばないように立ち上がり、私は周囲を見回してみた。
白い壁と、白く明るい照明に照らされた球体の中。
球体の天井には階段が続き、床の中央には、あの銀色の筒状の物がせり出している。
「……どうやら、ここを作った誰かさんは、私たちをタダでは出してくれないみたいね」
全身が粘液にまみれて、制服のまま風呂にでも入ったような有様の私。
まだ体に疲労感は色濃く残っているが、どこかが痛むというわけではない。
未だに申し訳なさそうな顔でうつむいている二人に、私は少しだけ微笑みながら声をかける。
「ほら!私は大丈夫だから、立ちなさいって!」
そうだ。
ここで立ち止まっているわけには行かない。
私たちには、銀色の筒……スイッチを押して、この球体の下へ進む事しか道は残されていない。
ゆっくりと立ち上がる二人。
「……まあ、このツケは、ケーキ2つでチャラにしてあげるわ」
そう言いながら、にやりと笑ってみせる。
私の言葉に、こなたとつかさの顔に、僅かに光りが戻る。
「いい?とにかく、ここを出るの。どこの酔狂なヤツが作ったかは知らないけど、こんなトコに私たちを閉じこめるなんて悪趣味にもほどがあるわ!」
そう……私は自分の言葉に、ふと、ある事に気づく。
この球体は誰かが作った物だ。
自然に、こんな球体が出来るはずがない。
しかし、私が身をもって経験した出来事には、解せない事が多すぎた。
壁から現れた無数の突起。
そして、この固い壁がまるで布のように柔らかくなって、私の体をゆっくりと包み込んでいく。
科学は日進月歩どころか、秒進分歩と聞くけれど、そんな芸当が現実的に可能なのだろうか?
しかし、その疑問は、空しく宙を切る三振打者のバットの様な物だ。
現実という直球にかすりもせず、大きく振りかぶったバットは、ボールに答えや意味を持たせる事もできない。
ミットに収まったボールは、「投手が投げた」という現実のみを帯びて、確かにそこに存在している。
私たちには投手の姿を見る事はできないが、確かに、この現実を投げつけた誰かがいる。
そして、その人物は、私たちに無意味とも思える「球からの脱出劇」を演じさせている。
「ね、ねぇ、かがみ……」
思慮を巡らせている私の制服の裾を、こなたが指先でチョイチョイと引っ張ってくる。
思いめぐらせていた思考を止め、振り返った。
「ん?」
「これ、押さないと……」
そうだ。
私たちに投げかけられた現実は、私たちに、銀色のスイッチを押し、球の下へ下へ進む事だけを強要する。
そのためには、誰かがボタンを押さなくてはいけない。
必ずしも、押した本人に何らかのアクシデントが起こるという確証はないが、意図せず、私がそれを体現して見せる結果になってしまったのだ。
そして、おそらく、仕掛けられた罠を解き、下へ移動するためには、クイズに正解しなくてはいけない。
ばかばかしい……と思うが、私たちには選択の余地は残されていなかった。
「こ、今度は、私押すからさ……」
こなたは静かに言うと、銀色の筒に手を乗せる。
私はハッとして、こなたを止めようとするが、その時には。
ガッチャン
スイッチが床へ沈み込むと同時に、壁の至る所から音もなく、透明な板のような物が現れる。
瞬く間もなく、その板は、こなたの四方を取り囲む。
「こ、こなたちゃん!?」
あまりにも高速に、あまりにも非現実的に、透明な板が彼女を閉じこめてしまう光景を目の当たりにして、私は愕然とするしかなかった。
壁には、透明な板が飛び出すための、ほんの数ミリの隙間もない。
その板自体に意志でもあるかのように、それは彼女の体を取り囲むと、カチャッと音を立てて止まった。
同時に、こなたの足下から銀色の椅子のような物が突き上がり、彼女を強引に座らせてしまう。
「……え!?」
こなたが驚愕の表情を浮かべる一瞬の間に、その椅子の両肘掛けから白い糸状の物が吹き上がり、彼女の両腕に絡みつく。
「ちょ……ええっ!?」
糸の様な物は、あっという間に彼女の両腕を肘掛けに縛り付けてしまう。
「え……えっ?な、何これ!?」
何が起きたのか、端から見ている私たちにすら分からない。
当人である、こなたには自分の身に一体何が起きたのか把握する事すら出来なかったのだろう。
いつも眠たそうな瞳は大きく開かれて、縛り付けられた両腕を動かすが、白い糸状の物を引きちぎる事は出来そうになかった。
ガチャッ
そんな鉄と鉄とが重なり合ったような音と共に、こなたの足下から十数本の銀色に輝くホースの様な物が伸びてくる。
ジャラジャラと、鉄が擦れ合う音と共に、そのホースのような物は、ニョロニョロとヘビの様な動きで近づくと、その先端からパサッとピンク色の突起の様な物を吹き出した。
「な、何!?何これ!?」
激しく動揺し、自分の体の周辺に漂うように動く銀色のホース……
形容するとしたら、銀色の触手を見回しながら、彼女は声を上げる。
銀色の触手は、先端に吹き出した無数の突起のような物を震わせながら、少しずつ、こなたの体へ近づいていく。
まるで、こなたの体を焦らすみたいに。
少しずつ、少しずつ、ゆっくりと……
「ちょっ…!ち、近づいてくるよ!?」
「こ、こなた!」
透明の板に両手を当てる。
板はひんやりとしていて、明らかにガラスとは異なる質感。
「こ、こなちゃんっ!!」
私の横で、つかさが、その透明な板に拳をゴンッと叩きつけるが、板はびくともしない。
さらに、ガラスや木材なら、震えたり、鈍い音を立てるはずだが、板に叩きつけられたつかさの拳は、コンッと小さな音を立てるだけ。
「か、かがみ!つかさ!こ、声が聞こえないよ……!?」
板の中で、椅子の肘掛けに両腕を縛り付けられた彼女が、私たちの顔を見つめながら大声で叫ぶ。
「こなた!き、聞こえないの……?ちょっと、こなた!」
私の張り上げた声にも、こなたは反応を示さず、フルフルと全身を震わせながら、私の瞳をじっと見つめている。
そうしている間にも、こなたの周囲を漂う触手が、彼女の体へ迫っている。
ワシワシと先端の無数の突起を蠢かせて、少しずつ……少しずつ。
「二人とも何か言ってよっ!?何か言ッ……ふえぇッ!?」
こなたの叫び声が、嬌声に遮られる。
彼女の体に近づいた触手の内、2本だけが、彼女の腕の付け根に入り込んだのだ。
「はァっ!?か、かがみぃッ…ひぎぃっ!つ、つかさぁぁッ!」
腕を肘掛けに縛り付けられているため、腕を完全に閉じる事はできない。
手の平の厚さほどの隙間に入り込んだ2本の触手が、制服の上で突起をグニグニと動かしているのが見える。
「ちょっ…!はうぅッ!?くへぇッ!な、何これッ……くはっ!?」
柔らかな腕の付け根の中で、その敏感な腋の下の皮膚を、いくつもの突起がゴニョゴニョとかき混ぜている。
触手の先の突起が動く度に、こなたの体がビクッ、ビクッと大きく震える。
「ひへッ!……ぷひぃッ!ひっ……くぅッ…!」
下唇を噛んで、こなたは腋の下へ送り込まれる刺激に必死に耐えている。
しかし、彼女の頬は紅潮し、その顔は、腋の下から送り込まれるくすぐったさに、大きく歪んでいた。
「はぁッ!か、かがみぃッ!……ふぅッ!?つかさぁッ!うひひひっ!」
こなたの小さな体が、ビクッビクッと震え、くすぐったさに必死に耐えている。
腋の下へ入り込んだ触手が、突起でグニグニと皮膚の上を揉み回し、柔らかな皮膚がグニュグニュと動いているのが見える。
閉じようにも閉じられない腕の付け根の中で、堪らない刺激を作り出す突起の動きに、こなたは全身をくねらせて、くすぐったさから逃れようとしている。
「……ふひぃっ!…あはっ!な、なんでッ……!はひひっ!?」
グニュグニュグニュと、腋の下の肉と肉とを絡めるようにして、モニョモニョと動く突起が、彼女の体の動きをより激しくしていく。
くすぐったさに耐える事と、全身を震わせる事で、こなたの体力は確実に奪い去られているのだろう。
額には汗がにじみ始めていた。
「くくくっ!?うはっ!わ、腋ばっかり!?……うひひひひっ!…ひはっ!な、なんで腋ばっかりぃぃ!?」
制服の上からでも、突起のグニグニとした動きは、敏感な腋の下には強烈な刺激となって届くのだろう。
ガクッガクガクッと腰を震わせ、自由な両足をばたつかせて、こなたは椅子の上で暴れ回っている。
両腕を何とか肘掛けから外そうと力を入れようにも、腋の下をグニュグニュとくすぐられていては、力も入れる事ができない。
こなたの腋の下へ、くすぐったい刺激を送り込む2本の触手。
彼女の周囲には、未だに、ざっと数えただけでも10本ほどの触手がクニュクニュと蠢いていた。
投稿日:2008/01/27(日) 20:11:41
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