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2012/12/21(金)に投稿された記事
第2章 カレン編 1-2 -怒れるカレン-
投稿日時:13:43:20|コメント:0件|》本文を開閉
ディレクトリ:くすぐりの塔AF -魔王の後継者達-
先日、イカスミのスパゲッチーを作りました。
あれって、イカスミだけ入れるのか、イカ本体も入れるのか悩むよね。
イカ本体を入れると、それは果たしてイカスミスパゲッチーと言えるのだろうか。
どちらかと言うと、イカスパゲッチーなのではないか。
むしろ、タコとか入れといた方がいいのではないか。
そんなことばかり考えて生きています。
今度34歳になります。俺はもうだめだ・・・
ただ、迷宮内であるため、広域破壊系の魔法には使用制限が生じていたが、それが彼女の大きな枷となる事はい。
彼女の単独戦闘スタイルは、敵対者の特性を短時間で見抜き、魔法によってその急所を狙った攻撃を仕掛ける事である。
奥の手としてミファールの擬態武装、そして僅かながら得ている闘気士の技能があったが、カレンは極力それは使わずに行きたいと考えだしていた。
先日、そして先刻目の当たりにした魔王キーンの闘いを経て彼女が確信した事は、身体的な能力では決定的に及ばないという事実であった。
女であるため・・・という事もあるが、彼女は魔王の血を継承している者として、それを理由として諦めたくはないと考えていたのだ。
そこで、キーンの得意分野で及ばないのであれば、彼にない力、つまりは魔法技術で追いすがろうと考えたのである。
もともと魔法に関して秀でていた彼女ではあったが、それを更に伸ばして身体的な戦闘能力の低さを補おうと考え、この場もその鍛錬のためのフィールドに活用しようと思い至ったのである。
「単純構造ではあるみたいだけど、ややこしいわね」
カレンはしばらく通路を進み、内部の構造が若干、変化しだした事に気づき、頭の中で簡単な地図を構築してみて、そう結論づけた。
そこは特に不規則性のない構造となっており、ゼロからマップを構成する者にはありがたいと思えたが、利点ばかりでもない。縦横の通路が幾つも網の目状に並び、交差する十字路に辿り着く度に同じ場所ではないのかと思わせる構造となっていたのである。
この単純さに加え、密かに位置や向きを変える類の魔法トラップでもあれば、迷わせたり無限回廊と思わせる事もそう難しくはないのである。
「ま、なるようになるかな・・・・・」
幾人もの冒険者が挑んでいる迷宮でありながら、いまだに探索去れ尽くされていない話が事実であれば、その未探索ポイントに目的の物が眠っている可能性が高いと考えるカレン。だがそれは、同時にそこへ至る経路を阻害する何かが存在する事を意味している。
それが隠蔽か罠か守護者なのかは、まだ判らなかったが、それが自分にとっての試練になるだろうと彼女は考え、状況を少しでも把握すべく、目の前に広がる部屋を片っ端から調べにかかかる。
調べる部屋には事欠かかなかった。十字路と次の十字路に至る行程で、最低でも一部屋の扉が存在していたのである。
だが、その部屋のいずれもが探索済みだったらしく、扉には鍵はかけられておらず、また中にめぼしい物品すら無い状態が続いた。
そんな部屋に入る都度、カレンは氷・雷系の魔法を放って室内に目印となる傷を付けて先に進んでいたが、数十数個目の部屋で大きな変化に遭遇する。
「ひゃっ、いひゃっ!ひひゃっっははははははははははははははあぁっははははははやぁ~~~~っははははははははは!!」
「うわっ!?」
周囲と何の差異も変哲もない部屋の扉を開けた途端、カレンは大きな笑い声で迎えられ、驚かされた。
部屋の中では装備を失った冒険者と思わしき少女が、ゴーレムと思わしき人型物体に自由を奪われ、人造の手によって責め立てられていたのである。
ゴーレムは、やはりこれまでと同様に変種であり、上半身からは身体のバランスに比べると異様に長い手が四本存在し、下半身は存在していなかった。その変わりに大量のスライムが下部を多い、移動手段の役割を果たしていたのである。
さながら、人型の殻を持ったカタツムリというのが近いイメージであろう。
その変種ゴーレムは、下部のスライムを広範囲に広げ、その粘着性で少女を捕らえ、床に張り付いて身動きのままならなくなった獲物に長い四本の腕を伸ばし、異様にしなやかに動く指で身体中をまさぐっていたのである。
「うわははははははははは!あ~っっはははははははは!!いやっそこだめぇ、あっあぁっだめだっぁあ~っっははははははははははっっははははははは!!」
少女は脇の下と脚を半開き状態のままべったりと床に貼りつかせた状態で動きを制され、閉じることを許されないその箇所に容赦なくゴーレムの指が潜り込んでいった。
「そんなとこっ、そんなとこっ、だめ、だめだってばぁ~~~っいやはっはははははははははははははははっははははは!」
襲いかかる指は人より遙かに長いため、人ではあり得ない行動範囲で蠢き続ける。
両脇の下に位置した指は、人差し指と中指で脇の下の窪みを引っ掻く交互に上下させ、薬指と小指で胸の付け根部分を指圧するようにしてこね回し、親指で胸の下部分を刺激し続けるという器用な真似を続け、もう一対の両腕は脇腹にとりついて、背中から腹部とかなりの広範囲にわたってもみくすぐる行為を不規則に続けた。
しかもその指はスライムによる浸食を避けるための工夫なのか、滑り気のある粘液の様な油分に覆われており、その滑りをより円滑にしていたのである。
「ひはっ、ひひゃっははははははははははあはははははははははは!もうやめて、いやっははははははあぁ~~~~~~~~~~~きひゃっっははははははは!!」
四本の腕のどの指が蠢いても、少女には痛烈なくすぐったさとなって彼女の身体を駆け抜け、狂ったかのような笑いを引き起こす。
少女は無遠慮に身体にとりつく指から逃れようと、必死に身体に力を込めてはいたが、背面全体を粘着質で捕らえられた身体は微塵も動かすことが適わず、逃げるどころか要所のガードすらままならない。
それは蜘蛛の巣に捕らえられた哀れな蝶の様でもあり、その運命は巣の主に握られたといっても過言ではない。
ゴーレムは無表情無言でありながら、その様子を楽しんでいるようでもあり、頃合いを見ては指の位置を太股や首周り、果ては足の裏周辺へと移動させ、そしてまた反応の著しい脇腹と脇の下へと戻って、くすぐったさの度合いを低下させない工夫を行っていた。
「きひぃ~~~~ひゃっっはっはっっはっっはははははははははは!そ、そこ、そこのぉ~~~た、たす、たすけってぇ~~~ひゃっはははははははははは!!」
地獄に等しいくすぐったさを受け続ける最中、少女は自分を苦しめるゴーレムの背後に人影を認め、それに助けを求めた。
ゴーレムの方は、目の前の獲物を責めるのに夢中なのか、背後に迫るカレンの存在に気づかなかった。
だが、彼女が意図的に六牙の杖の先端を床に叩きつけ、音を立てると何事かとゴーレムは反応し振り向く。
その直後、ゴーレムの頭部に魔力の込められた六牙の杖の先端が突き立てられ、同時に魔力が解放され、行動を司っていた魔法石が頭部ごと粉砕された。
「あ、ありが・・・」
「動かないでっ!」
地獄の刑の執行者から解放された少女は、その恩人にすぐさま礼を述べようとしたが、それをカレンは制止させると、六牙の杖に新たな魔法を込め、いまだ活動を続けるゴーレムの下半身部にあたるスライムに突き立てた。
「ひっ・・・冷たっ!」
杖に込められていた氷系呪文が発揮され、対象であったスライムがたちまち凍り付く。
その余波は少女を捕らえていた粘着質にも及び、肌周りのそれが、いきなり凍結した刺激に思わず顔を歪める。
「ごめん、でもこの方が手っ取り早いのよ」
少女に謝りながらカレンは、杖で周囲のスライムを砕いて戒めを解くと、手を差し出し身を起こす手助けをした。
「改めて・・・大丈夫?」
外見からは怪我をしている様子のないことを確認しつつ、カレンは問うと、少女はこくりと頷いて立ち上がった。
「ありがとうございます・・・あの、貴女は?」
装備と着衣の大半をゴーレムよって奪われ、溶かされた少女は、ほとんど下着姿に近い状態となっている身を恥ずかしそうに手で隠しながら、恩人に問いかけた。
「私はカレン。ちょっとした事情で迷い込んだ冒険者よ。そういう貴女は?」
「私はジェニーといいます。この迷宮の宝の噂を信じた仲間に連れられて、挑んだんですけど、力及ばずに・・・」
ジェニーと名乗った少女は、それ以上語りたくないのか顔をカレンから背けた。
「あなた達もねぇ・・・・で、宝の噂ってなんなの?」
「それが・・・私は人手として仲間に誘われただけで、詳しくは聞かされてなかったんです。こんな相手がいることも・・・どうせ只の遺跡巡りかと思ってたのに・・・・」
(そんなに有名なのかしらね)
このジェニーといい、先刻の名も聞かなかった男といい、この迷宮内に挑む者が妙に多い事にカレンは疑問を抱いた。
これは、噂が一人歩きした結果なのか、ブラッド・ストーンの存在そのものが知れ渡っているための現象なのか、容易には判断がつかなかったが、例え知っていてもライバルに先を越されたくないため、真実を語るとは到底思えなかったのである。
そう考えれば彼女も事実を隠している可能性があると感じたカレンは、馬鹿正直な問答は無意味だと判断し、相応の対応で行こうと考え出す。
「貴女の・・・ジェニーの仲間はどんな宝かも口にしてなかったの?」
「はい、凄い物だとしか・・・・」
「曖昧ね・・・・それじゃ、どこに向かっていたのかも貴女は理解してないの?」
「いえ、それは・・・・襲撃を受ける前にみんなが話していたのを聞いています。この先には広間があって、そこである条件を満たせば、何かが起きるような事を言ってました」
「何かって何?儀式でもするつもりだったの?」
「いえ、そこまでは・・・ただ、仲間が向かっていた場所は近かったようですけど」
「・・・・地図とかある?」
カレンはジェニーが口にした情報の真偽をまず疑った。誘われ、ついてきただけの者の話が正確かが判らない上に、正確であったとしても記憶そのものが正しいとは思えなかったのである。
それを確認するための質問であり、実際には地図の存在すら望み薄ではあったが、ジェニーは周囲の散乱物の中から半分以上が失われた地図を拾い上げ、カレンに差し出した。
「これ・・・仲間が持ってた物の複写です・・・」
「地図あるの?」
驚きながら受け取って、それを確認するカレン。全体図は失われていたものの、残った地図にはこの周辺と思わしき構造が記載されていた。
彼女は残っていた図を指でなぞって追い、自分の出現ポイントと思わしき箇所と現在地を確認する。そしてまだ未確認の場所に、確かに広間が存在し、そこに印が付けられているのを確認した。
「ここ・・・この印の場所が目的地?」
「そうだと思います」
唯一の情報源の答えを確認し、カレンはしばし考え込む。ジェニー等の一行が目指した場所と、彼女のそれが同じであるという保証が全くなかった為である。
だが、現場をまるで把握していない彼女は信じられる情報提供者が居ない限り、順に怪しい場所を巡るしかなかったため、その結論は必然的にある方向へと帰結する。
「それじゃ、行ってみるわ。これ、貰っていい?」
「あ・・・はい」
手にした地図の一部の所有権を求めて承諾を得たカレンは、部屋を出ようとしてふと彼女に向き直る。
「あなたは、どうする?」
先の男と違い、仲間と装備を失ったジェニーを放置して置くわけにはいかないと感じたカレンは、その判断を当人に求めた。
「え?あの・・・」
「私はまだ先に用があるから、外に送ってあげることは出来ないの。でも、その後で良いならここで待つか、ついてきても良いけど、どちらも保証はないわよ」
それは自分の命も絶対でないことを意識した発言でもあった。見知らぬ迷宮でかつての仲間もいない状況で、強敵と遭遇して生き残れると断言できるほど彼女も自信家ではないのである。
「そ、それじゃ、ついていきます・・・・」
ジェニーが答えた。あんな事があった直後では、単独で待って、また同じ目に遭遇するのではという恐怖が生じたのであろう。
彼女は周囲に散乱する自分の装備から、使える物をかき集めて申し訳程度に身体を隠す物を仕立てる。
「それじゃ、戦闘時は邪魔だけはしないでね」
同行を認めたカレンであったが、その目は冷ややかであり、邪魔となるなら命の保証はしないと物語っていた。ジェニーはそれを敏感に察して身震いし、小さく頷いた。
ジェニーを救い、定まった目的地向かいだしたカレンは、途端にモンスターとの遭遇率を上げていた。
曲がり角にさしかかる度、足音が廊下に響く度、モンスターが飛び出して襲いかかってきたのである。
「いったい!」
床を不気味に張って迫る巨大サソリを数本の氷の矢で串刺しにして仕留め、
「何よっ!」
床を埋め尽くすほどの群で押し寄せる巨大ネズミの大群を炎の波で一掃し、
「このっ!」
身をくねらせ、鎌首をもたげる大蛇を風の刃の連射で輪切りにし、
「現象はぁっ!」
糸を吐いて獲物を狙って天井を這う巨大グモを雷の連射で消し炭にして撃退したカレンは、肩で息をして周囲を見回した。
十字路の中央にいた彼女は四方に散らばるモンスターの死骸で埋め尽くされている廊下の奥に視線を向けて次の襲撃に備えたが、一段落したのか、怯えてうずくまるジェニー意外に動く存在は無かった。
「私、何か襲撃される条件でも満たしたの?」
自問するものの、カレンが自覚している行動としては目の前のジェニーを助けた事意外にない。
「・・・・・」
カレンは疑問のこもった目でジェニーを見やった。
「な・・・何ですか?」
「あなた・・・この迷宮の主のお后だったりする?」
「はい?」
あまりに突拍子もない質問に、ジェニーが呆けた。
「で、ないなら、ここで何か変なアイテムとか拾ってない?」
「え?」
「いくら何でも気づいてるでしょ?この異様なモンスターとの接触率の高さ。何かが呼び寄せてるとしか思えないのよね」
「私は何も・・・」
「ホントに?」
「え、ええ・・・」
「仲間の形見とか何とかも持ち出してない?」
この際は、少しでも怪しい物品があれば調べるべきと考えたカレンは、にじり寄って問いただす。
「は、はい・・本当です」
「でも少し声のトーンがおかしいわよ。一応、身体を調べるわよ」
「え?きゃっ!」
言うが早いか、カレンが身を翻してジェニーに足払いをかけて、床に俯せに転がらせると、素早くその尻辺りに馬乗りにのって逃亡・寝返りが出来ないように制すると、ポンチョと大差ない状態で身に纏っていた布の中に両手を潜り込ませ、その両脇腹をムニムニと揉みくすぐった。
「ふひゃっ!!?ひひゃっははははははははははは!やっははははははは、やめっやめっやぁっははははははははははは~~~」
予期しなかった不意打ちに、ジェニーは身を反らせて笑いだす。
「やめっ、やははははははははは!やめっ、やっははははははははははは!!お、おぉ、お、ぉねがいですっやめ、っへひゃっははははははっはははははは!」
仰け反って重しとなっているカレンを跳ね退けようとしても、体力差でかなわず、藻掻くジェニーの腹部を、潜り込んだ指が蠢いて容赦なく刺激を送り込み、抑えようのない笑い声を吐き出させ続ける。
「ほんと~に、何も持っていない?後で嘘だと判ったらこれより酷い目に遭うわよ」
身体を調べると言うより、身体に聞いているカレンが嬉しそうに尋問を行うと、ジェニーは腹部に激しいくすぐったさを送り込んでいる指を払おうと試みたり、床を叩いたりしながら激しく首を横に振った。
「ほんとっ!ほっ、ホントにっ、本当に持ってきゃあぁっはははははっははははは!あぁ~~~っはははっはははははははは!もって・・もって・・・もってなぁぁぁぃですふひゃっははははははははは!!」
「う~ん、本当かしら、自覚がないかもしれないからじっくりと・・・」
「ふひゃっはははははははは!そ、そんな、そんっいやっっははははははは!!」
「だぁ~め、確認しておかないと今後が・・・・」
まだまだじっくり楽しみたいという本心を表情に現していたカレンであったが、それは言葉の途中で一変し、その視線も眼下で笑い悶える彼女ではなく、廊下の奥へと向けられていた。
「また来た・・・・」
うんざりとした表情でカレンは呟くと、残念そうにジェニーの上から立ち退き、唸り声をあげながらゆっくりと間合いを詰めてくる双頭の狼に向かって構えをとった。
その瞳には、お楽しみを邪魔されたという恨みの炎が宿っていたが、この様な状況下で邪魔が入らない事の方が奇異なため、彼女の感情は八つ当たりと言った方が正しいであろう。
だが、カレンの感情など組み入れる義理もなかった双頭の狼は、ゆっくりと近づいて獲物に襲いかかろうとしたが、本能が我が身の危険を察した瞬間、光と闇の矢の雨を全身に受けてズタズタに引き裂かれて絶命した。
モンスター側には気の毒であったが、これによってカレンは気が静まり、布一枚と言って過言でない装備しか持たないジェニーに、モンスターを誘引させるアイテムなど持ちようがないと納得し、それを口実にした身体検査も、この場・この状況では危険極まると判断し、理由も想像できないモンスター誘因の原因を考察するよりは先に進むことを選択した。
しかし彼女の選択は容易であっても実行は困難だった。
それ以後もモンスターとの遭遇率の高さは変化せず、まるでモンスター達が彼女に賞金でも設け、それを目当てに集まっているかの様に倒した先からモンスターが現れ続ける。
現れては一撃必殺の魔法で駆逐していく行程を延々と繰り返していく中、カレンはようやくにして、状況にある特徴があることに気づいた。
「・・・・さっきから獣や虫ばかりね」
我が身が傷つく事を意に介さず迫って来たミノタウロスを、六牙の杖の一閃に乗せた風の魔法で両断したカレンは、この事態に大きな疑問を抱いた。
これまで、とりわけジェニーとの出会いまでは、彼女の相手は多少の目新しさはあるものの、ゴーレムやアンデッド系の方が多かったのだが、今現在はこうした生物系モンスターが群がっているのである。
「ひょっとして・・・・」
カレンは状況と、その転機とを思い起こし、一つの可能性を見いだしたが、それを口にしなかった。
「あの・・何か・・・?」
敵を倒した途端、無防備に考え込み、自分に視線を向けられジェニーが当惑した。
「いえ・・・目的地はもうすぐよね?」
「あ・・・はい。そこに見える突き当たりの部屋です」
ジェニーは確信を持って、進行方向先の扉を指さす。
「・・・・・・・・・」
ぽつりとカレンが呟いたが、その内容をジェニーは理解できなかった。
「え?何か言いました?」
「いいえ、あれこれ考えるより、虎児を得ようと思ってね・・・・」
「コジ?」
意味不明な言葉に首を傾げるジェニー。
「例えよ。目の前に入り口があるなら、一気に行くわよ!」
「え、えぇっ!?」
返事を聞くより先に、カレンが動き、それに彼女が慌てて続いた。
床を駆け、目的地に向けての全力疾走。これによって敵との遭遇を前面に集約させる意図があったのだ。
案の状、部屋前のT字路の影から巨大ムカデが顔を覗かせたが、カレンは走ったまま電撃の呪文を放って相手を感電死させると、減速もせず扉に体当たりして押し開けると、そのまま一気に部屋の奥へと飛び込んだ。
勢い余ったカレンはつんのめって転んだが、更に床を蹴って転がって奥へと進み、鎧のパーツを利用して弾けるように身体を浮かつつ体勢を立て直した。
「やっぱりいたわね!」
証拠を抑え、してやったりという表情のカレンの向こうで、数人の男達が対照的に、呆気にとられた表情で立っていた。
手にしていた縄などから、部屋に入った直後のカレンを取り抑えようとした目論見があったのは明白だった。
「てめぇ、何でわかった!」
度を超した突入行為で計画が一気に霧散してしまった集団の中にいた男が怒鳴ると、カレンはそれに見覚えがあったのを思い起こした。
「あら、あなた・・・・仲間と無事合流できたんだ。良かったわね」
何も言わずに姿を消した、名も知らぬ盗賊男との再開に、彼女は形式ばかりの声かけをした。
「何が良かった、だ!この魔女がっ!」
怒りをあらわにして男は再び怒鳴った。
「随分ね・・・いったい何よ」
「しらばっくれるな!お前のせいで、俺は危うく死にかけたんだ」
「その目の事を言ってるなら、見当違いじゃない?私は忠告したはずよ」
男の片目が失われているのを見て、それが警告無視の代償である事を察したカレンが冷淡に言った。
「何が忠告だ!どのみち俺を殺すつもりだったくせにっ!もう、正体も判ってるんだ!」
「はい?」
一方的にヒートアップする男に、カレンは首を傾げる。
「お前、悪魔と契約した魔女だろうがっ!引きこもった部屋を悪魔の巣にして儀式をしているのを見てるんだよ」
男はカレンの元から逃げ出したあと、自分の目で見た情報を独自に解釈してそう判断していたのだ。
「あ、ミファールの事ね・・・・まぁ、概ね違いはないけど」
どのみち相手側に自分の装備の詳細を伝える気もなかった彼女は、情報の訂正を行わなかった。
「確かに奇怪な鎧さえ除外すりゃ、良さそうな女だな」
恨みのつのる盗賊男以外の男達が、カレンの姿をじっくり眺めて値踏みする。
「あら、誉め言葉のつもり?」
「ああ、こいつから色々話は聞いたよ。結構、腕の立つ魔法使いらしいな」
余裕の態度を崩さず、メンバーの中で一際体格の良い、リーダー風の男が言った。
「ええ、その通りよ。私を雇いたいのかしら?」
そんなカレンの言葉に、男達が下品に笑った。
「嬢ちゃん、俺達は実力主義者なんだ。アイテムの力に頼っての実力者は遠慮しているんでな・・・モノに頼ってばかりの生き方では、この迷宮・・・・いや、この世界は切り抜けられないぜ」
盗賊男は幸運にも合流できた仲間達に、憶測だけの情報をもたらし、カレンを評価していた。そして何より彼女を、宝を横取りしに来た者と、既に位置づけており、当人の自覚もないまま敵対関係がなりたっていたのである。
「ご忠告は受け取っておくわ。それで、戦力じゃなくお楽しみの相手に捕まえようとしたのかしら?」
相手の口調に友好的要素がまるでないのがはっきりし、カレンも挑発的態度で応じた。
「いいや、腕の立つ魔法使いも、愉しむ女も間に合ってるさ」
リーダー風の男が下品な笑みを浮かべると、その影に潜んでいた人物が姿を現した。
「・・・・やっぱり、そういう事・・・」
すまなさそうにカレンを見るジェニーの姿に、彼女は状況を概ね理解する。
「やっぱり、貴女が一枚噛んでたのね。そのボロ布か身体に誘引剤でも付着させてたのかしら?」
状況を考えればね彼女が原因であることは容易に想像できる。かなり手抜きではあったが、身体検査でそれらしき物が見つからなかった以上、薬品か何かによる誘引という推理は当然の結果でもあった。
「身体の方さ。察しの通り、モンスターを惹きつける薬草を数種混ぜた魔法薬をたっぷり塗ってやったかのさ。おかげでここまで退屈しない道のりだっただろ」
「退屈はしなかったけど、つまらなかったわよ」
誘引剤である以上、その影響を受けやすいのは嗅覚を持つ動物や虫、とりわけ本能優先の下等生物に偏るのは至極当然であった。
「強がるな。いくら強力な魔力のブースターを装備していても、あれだけの数を相手にしてたら魔力も疲弊しているだろ」
相手の疲労を誘うための道具として利用したジェニーの説明が終わると、男は邪魔だと言わんばかりに彼女の部屋の脇へと突き飛ばした。
「で、疲れているところを・・・あるいは、偽の目的地に入って一息って瞬間に捉えようと企んだのね。でも残念ながら、モンスターの誘引度があまりに露骨すぎて、私でも解っちゃったわよ」
これがウェイブなら、いつ頃に気づいただろう。と、そんな事を考えながらカレンは言った。
「確かに、手っ取り早く捕まえるのには失敗したが、ちゃんと次の手もあるさ。それがプロの世界ってもんだ」
リーダー風の男は、先手を取られて最初の罠は失敗に終わった事を認めつつも、まだ奥の手があるのを臭わせ、余裕の態度を更に持続させた。
「プロを口にするのなら、自慢より先に迅速に行動すべきじゃないかしら?」
「なに、道具に頼って一流気分の若手に、辛い現実を教えてやろうって事さ。もちろん、その授業料の代金は、身体でお支払いって事でな」
お約束のような言葉に、対峙する男達が一斉に笑い出す。
ピシュ!
そこへ聞き慣れない風切り音に似た物音が走り、男達の笑いを止めた。
「なんだぁ?」
何の音かと、リーダー風の男が視線を左右に振ってその元凶を求める横で、手下その1の男が声も立てずに床に倒れ込んだ。
「お、おい、どうした?」
リーダ風の男が慌てて揺すり、身体を振り向かせると、倒れた男の喉元に小さな穴が生じ、血が流れていたのが確認された。
急所への一撃であり、その男は既に息絶えていた。原因と思われるのはただ一つであり、リーダー風の男は犯人と考えて間違いない相手に視線を向けた。
嫌疑を受けた人物カレンは、右人差し指を面倒くさそうに突きだしたままの状態で、自分が犯人である事を誇示した。
彼女とリーダー風の怒気の籠もった視線が絡むと、カレンは人差し指を上方に向け、ゆっくりと左右に振った。
「言ったでしょ。プロなら迅速に・・・・捕らえてもいない敵を前に無防備なんて、正気の沙汰じゃないわよ」
言葉で自分の行いと認めた彼女が、六牙の杖を構える。
「命とは、高い授業料だったわね」
挑発的なカレンの笑みと台詞が、男達を激高させた。
「てめぇ!!」
「あいつ、まだ魔法が使えたのかよ!?」
「なら、こいつでどうだ!」
たちまち戦闘態勢となった男達の中で、魔法使い風の男が両手で印を結んで呪文を素早く唱えると、たちまち周囲の空気が少し重くなった感覚をカレンは感じた。
「封魔の結界だ!これで魔法はかなりの制限を受けて、まともに使えないはずだ」
あらかじめ予備対策として準備していたのだろう。魔法使いの男は、自分も戦力外となるのを承知で、部屋に対魔法の結界を生じさせ、得意げに言った。
「どうだ嬢ちゃん。これがプロの対処法ってやつだ。力に頼った強敵には知恵で立ち向かえば、いくらでも勝機はあるんだよ」
リーダー風の男の言葉に応じるかのように、仲間の一人がカレンに襲いかかる。一番手として彼女を押さえ込み、そのどさくさの役得も得ようとの魂胆であったが、その低レベルな願いは適うことがなかった。
男が組み付こうとした寸前、突き出されたカレンの右手から激しい電撃がほとばしり、男の身体を直撃した。
「!!!!!」
彼は激しい痙攣を一瞬見せたかと思うと、身体の各所から煙を上げて倒れ、二度と起きあがろうとはしなかった。
「!?」
「馬鹿なっ!何で魔法が使える」
結界を用いた魔法使いの男が動揺をあらわにした。
「何でって・・・・あなた、自分で言ったじゃない。制限を受けてまともに使えないって・・・確かに長距離攻撃としては使えないけど、近距離なら放出は可能よ・・・私の場合は・・だけどね。わざわざ間合いに来てくれてありがと」
わざとらしく挑発的に言い放ち、眼下の死体を侮蔑すると、男達の殺気はいっそう膨れあがってカレンを射抜いた。
「てめぇっ!あんな女の魔力一つ封じ込められないのかよ!」
封魔の結界の力は、基本的に術者当人の実力に左右される。熟年と言える風体の魔法使いが、小娘ともいえるカレンに力及ばないという状況は、ストレートに実力差のバロメーターにも見て取れる。
「そ、そんな・・・・きっと、杖と鎧の助力だ・・・結界は機能しているんだ。あれさえ奪うか体力を消耗させれば・・・・・」
そうした状況は、魔法使い本人も信じられなかったようで、彼はその原因を所有アイテムによるものと推測し、弁解した。
「体力の消耗・・・なら、アレを使おうか」
不適な笑みを浮かべてリーダーが言うと、それを理解した魔法使いが難色の表情を見せた。
「アレを・・・・」
「仕方ないだろ、ジェニーでモンスターを呼び込むわけにも行かない以上、別の方法しかで消耗させるしかないだろ」
「手があるのなら、使うべきね」
相手の逆上を更に煽る意図も込めて、カレンが挑発を行うと、リーダーの男は忌々しげに彼女を見つめつつも、勝利を確信したかのような表情となって応じた。
「ああ・・・ああ、そうさせて貰う。そうせざるをえないさ。だがな、その分、後悔はしてもらうぜ」
そう言ってリーダー風の男は、魔法使いが渋々背負い袋から出した密封式の坪を説明もなしに、横から叩き落とした。
(何が入ってる?)
緊張するカレン。あの手の坪は状況からすれば連中のとっておきに違いなかったが、中身が容易には想像がつかなかった。マジックアイテムの類であれば、高位精霊などが封じられ、解放者の命に従うというケースもあったが、今、目にしたそれは、そう言った封印の坪の類ではなかった。
彼女が推測も出せないまま、坪は床に叩きつけられ崩壊し、内封していた物体を周囲にばらまいた。
「!?」
「ひっ!そ、それはっ!」
それは赤黒い液体であり、それを見た瞬間、傍観者だったジェニーが悲鳴を上げて部屋の隅へと逃げていく。
その液体は、瞬く間に広がりを見せたかと思うと、意思があるかのようにカレン、そして傍観者ジェニーへと伸びてゆき、その足下に赤い水溜まりを構築した。
「・・・・この臭い!」
カレンは足下の赤い液体から生じる鉄分の臭いでそれが何かを察した。
「そうさ、察しの通り、そいつは『血』だ。だが、ただの血じゃないぜ。呪術をかけた女をくすぐり苦しませながら、ゆっくりと抜いた血で作った呪血だ。その呪血の中には犠牲になった女の魂が残っていて、今尚苦しみが続いていてな、同じ女を察知すると、取り憑いて容赦なくくすぐるんだ。同じ苦しみを味わせてやろう、仲間を増やせば自分の苦しみは和らぐ・・・・って、考えてな」
「呪いの血・・・・!?」
呪血の話はカレンも耳にした事がある。比較的容易な技術でありながら、邪悪な呪術に類し、血に覚え込ませた苦しみに準じた苦痛を対象に与えるもので、本来は拷問などに用いられるものとされている。
カレンが眼下の血溜まりに目を向けと、周囲一面に広がった血の池からは、地獄の底に沈んでいた死体が這い上がろうとしているかのように、血が幾つもの人型の膨らみとなって彼女の足を掴み、更に上へと手を伸ばそうとし始めていた。
無論、部屋の隅に逃げたジェニーも、呪血に囲まれ、早々に血の手に群がられて悶え始めていた。
「どうだ?こいつ等には剣も魔法もまるで効果がない。本来は女の調教に使ってたんだが、お前の躾にも丁度良いだろうよ」
今度こそ追いつめたと言わんばかりにリーダーが言った。
カレンは六牙の杖を下方に振って、血の手の進行を遅らせつつ術者の立場にある男達を見やった。
「この呪法って、操るための『呪いの元凶』ってのがあるわよね?それは何?あるいは誰かしら?」
「ほう、さすがに同じ穴のムジナか・・・察しがいいな。その血に封じられた女達の魂はこの宝玉に縛られてるのさ。これを破壊しない限り、女の魂は永遠のくすぐり地獄の中で苦しみ、新たな仲間を求め続けるってわけさ」
魔法使いの男が懐から装飾の輪で固定された宝玉の首飾りを見せびらかせると、カレンの瞳がそれを捉えた。
「有り難う。確認できたわ」
「出来たところで何が出来る?お得意の魔法はここまで届かず、身動きも取れまい?そんなざまでどうする」
もう間もなくすれば、抗う体力も失って呪血の手の餌食になる。男達はそれ以外の未来を想像できなかった。
「どうもこうも、この程度の距離。直接もらいにいくだけよ」
「どこまでも強がりを・・・・」
「貴方達は自称でもプロ失格よ。相手に手の内を見せすぎ・・・」
もはや処置なしと溜息をつくと、カレンはもう決着を着けてしまおうと決心する。
「あん?」
「ミファ、フェームチェンジ」
カレンが小声で鎧に命じると、魔鎧ミファールは主の意思に従って、その形状を変化させ、上半身と腰回りを覆っていた装甲は、各所に分配されて全身をサポートする密着型装甲へと変化した。
「ふん、鎧の形状を変化させたところで、呪血はどんな隙間からも潜り・・・なっ!」
鎧の形態変化に多少なりとも驚いたものの、相手がどの様な手段を用いようと、呪血の拘束からは逃れられないと確信していた。だが、次に起きた有り得ない現象を間近で垣間見、男達は驚愕の声を上げた。
カレンは、ただの水溜まりを駆けるがごとく呪血の上を走り、男達へと肉迫してきたのである。
「馬鹿なっ!呪血だぞ、それに囲まれて何故ぇ!?」
最も近くにいた男が勝負有りと判断して鞘に収めた剣に手をかけ、慌てて抜こうとするが、それより早くカレンは間合いに入り込んでいた。
「はぁぁっ!」
カレンが両腕を突き出すと、腕部を覆った装甲から三日月状の刃が幾つも現れ、彼女はそれを振るって迂闊な男の腕を切り落とすと、続けて顔に左掌を押しつけ、電撃の魔法を放ってとどめを刺した。
「ひぁああああああ!!!!」
呪血をものともしないカレンの姿に、魔法使いが恐怖の悲鳴を上げた。
だがそれは注意を引く行為でしかなく、彼女は六牙の杖に魔力を込め、悲鳴を上げるだけの男に投擲した。
「!!!」
六牙の杖は込められた魔力によって強化されたまま飛来し、魔法使いの胸元を貫通してそのまま壁に貼り付け状態に追いやった。
「馬鹿な・・・・・・なんで・・・」
リーダー風の男が動揺しつつ戦斧に手を伸ばして、物理攻撃でカレンを仕留めようと試みるが、もはや気負いした彼では、彼女を抑えることは出来なかった。
カレンは戦斧の軌道を見切って身をかわし、膝を相手の腹に叩き込んだ。その際、ミファールが膝部分の装甲を刃状に伸ばした事で、その一撃は致命傷となって相手に襲いかかる。
「がはっ!」
腹部の主要器官に刃が貫通し、血を吐くリーダー。
「なんで?本気で聞いてるの?」
冷めた口調でカレンが問い返した。
「貴方達が言った言葉でしょ?私は悪魔と契約した魔女だって・・・・」
息も絶え絶えのリーダー、そして周囲の男達をゆっくりと見やってカレンは言葉を続けた。
「ちょっと違うんだけど、この鎧がその手の物なのは間違いないのよね。解る?この鎧も呪血を作り出した『魔』に属するのよ。その鎧に包まれた私を、呪血の魂が忌み嫌うのは当然でしょ」
「なんだ・・・と?」
言われてリーダーは首を傾け、カレンの足下に視線を向けた。そこには、彼女に触れる事すら嫌がって距離を取ろうとする呪血の姿があった。
「理解できた?」
「おまっ・・・本当に悪魔の・・・・」
自分で口にして、実のところそれを信じていなかった彼等は、知恵で対抗しようとしてその手法を誤ったのである。
「今更、私の素性なんかを考えてないで、人生でも振り返えるか、天国への密入国の方法でも考えなさい」
カレンが膝を軽く振って引き抜くと、リーダーは傷口を抉られた形となって、残りの寿命を一気に短縮させられ、呪血の中へと倒れ込む。
「~~~~~!!!!」
その容赦ない姿は残った者達の恐怖を煽り、交戦の意思を一気に削ぎ落とす。
戦意を喪失した男達は一斉に逃げ出そうとするが、この時点でそうした行動に移っても、もはや手遅れでしかない。
カレンは残った者達を容赦なく仕留めると、壁に串刺しになっている魔法使いの元へと赴き、自慢げに見せつけていた宝玉の首飾りを奪い取り、それを力一杯床に叩きつけて砕いた。
ここにある呪血の呪縛が解き放たれた瞬間だった。
囚われていた魂達は縛鎖を断ち切られ、長きに渡る苦しみから解放された。
赤黒く蠢くスライムとも思えた呪血は、その動きを止めて単なる血へと還った。間もなくすれば凝結が始まり、流血の場としての跡をこの部屋に残す事になるだろう。
カレンは呪血の魂が天に還ったであろう事を想像しながら、利用された魂に対して軽く黙祷した。
あとがき
今回の話では、即興、つまりはその場用に一瞬で考えついた物が目を引きます。
一つは変種ゴーレム。
非人型デザインのゴーレムは前例があるものの、キメラのように他生物と合成して活動しているなんて存在は、無茶してると思う反面、本命であるくすぐり行為の敵役としてはかなり有望なのでは?なんて考えたりしています。
まぁ、この世界、創造力がモノを言う世界なので、いきなり思いついたネタはメモして、残し、後々補正していく事を常としている私です。
でもって、もう一つは呪血。
これも当初、かなりアバウトな存在で、今回の話で登場した、かませ犬役冒険者が、優位を自覚し慢心するアイテムでありながら、カレンには効果が無い・・・って条件で思い至った物で、案のベースは大昔に見た映画『遊星からの物体X』で、血が意志をもって動くシーン。あれから来ています。
こちらは、背後設定がけっこうダークになったために、自然とカレンの忌み嫌うアイテムとなり、ほとんど自然の流れ的にキーアイテムの様な存在へとクラスチェンジしてしまいました。
時々、そんなイメージの中の勢いで、物語の方向性が決まってしまうことのある『塔』です。