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2014/02/02(日)に投稿された記事
第2章 ウェイブ編 1-2 -二人の秘密-
投稿日時:10:18:07|コメント:0件|》本文を開閉
ディレクトリ:くすぐりの塔AF -魔王の後継者達-
外的要因により、我が身の危険から脱する事のできたアニィは、その立て役者でもあるウェイブが悪人ではないと、内心で結論づけた。
だが、今後の成り行きではそれが覆ったり、事情によって敵対者となる可能性も拭いきれなかった事から、もう少し彼を知るべきだと考えた。
「ああ、それは願ったりだ。外に出るのか?」
ウェイブにしても場の雰囲気で乱入した事態の詳細を把握しなければならないだろうと思っていただけに、その提案を拒否する理由はなく、出口への水先案内人を得たのは収穫だった。
「そうね・・・でも、あいつの待ち伏せがあっても困るし、ウェイブが閉所恐怖症とかでなければ、話はこの中で、場所を変えるってのはどう?」
「それでいい。どこか適当な場所を知ってるのか?」
つい先刻、儀式の対象にされていたにも関わらず、特に混乱している様子もないアニィを見て、ウェイブは彼女がただの街娘の類じゃないだろうと予測する。場合によっては敵に成り得る可能性も考慮し、彼もまた彼女等の様子を注意深く観察し始める。
「ええ、ここは結構有名な場所だから・・・近くに談話に使える空き部屋も結構あるわよ」
そう言ってアニィは、今現在いる部屋の各所にある通路の幾つかを指さす。
「なら、場所の選出はまかせるよ・・・・っと、その前に・・・」
移動し始めようとしたウェイブだったが、すぐに踏みとどまると、右掌を部屋の中央へと向け、数発の気孔弾を周囲に放った。攻撃対象の存在しなかった気孔弾は床に着弾して小規模な爆発を起こして消え去る。
「な、何をなさってるんですか?」
いきなりの行為にシルディが驚き、身を小さくすぼませ、おそるおそる目的を問うた。
「ん、床の魔法陣だよ。さっき、剣で一部を傷つけたけど、さっきの奴が戻ってきて修復したらまずそうだから、更に破損部を増やしておいた」
彼の主張通り、気孔弾は魔法陣の中で複雑な紋様や文字が描かれた部分に集中して着弾し、床を削り取っていた。魔法陣の再構成を試みても、抉れてしまった床に複雑な文字や紋様を書くのは困難となり、事実上この部屋での儀式は不可能と考えて良いだろう。
「へぇ、意外に魔法とかに詳しいみたいね」
破壊部を遠目で見て、要所を狙っている事を確認したアニィは感心しながらも、闘いの最中、魔法を使えないと言った彼の、こうした行動に、少なからずの疑念を抱く。
「以前の仲間にちょっとした使い手がいてな、そいつから学んだんだ」
見て魔法を学ぶ相手としては、以前の仲間であるカレンは少々規格外だろうけど・・・と思いつつ、ウェイブは答える。
「その方は、今はいらっしゃらないんですか?」
過去の人物に少なからず関心を持ったシルディがその点を問う。
「ああ、別行動になって、今は気楽な男一人旅だよ」
「で、ハメを外しすぎて深酒したのね」
「だからっ・・・・」
悪戯っぽく笑って突っ込むアニィに、ウェイブは顔を苦々しく引きつらせる。
「いいから、いいから」
登場時の醜態をよっぽど気にしてるのだなと感じつつ、アニィは不満を抱くウェイブの視線を無視して先導するように一つの通路に向かって歩き出した。
「ん、罠はなさそうだな」
ややして、アニィの案内した小部屋の一つに入ったウェイブは、周囲を軽く回ってチェックし、そう結論づけた。
「当たり前でしょ、ここって探索されつくしてるんだから」
悪意なく案内した場所に疑いを持たれたアニィが不満そうな口調で唸り、この場所の現状を説明した。
「そうなのか?」
「ええ、地元じゃ有名ですから・・・・」
「・・・・・」
アニィはともかく、シルディまでもが同じ意見である事から、ウェイブはその話が事実と受けとめると同時に、あまりに有名となったこの場所に、果たして自分が探しているモノがあるのか?という一抹の不安も燻りだす。
「どうしました?」
ウェイブが考え込むのを見て、不思議そうにシルディが問うと、彼は我に返って順に、可能な限りの情報を集めようと気持ちを切り替えた。
「いや、いい・・・それじゃ、お互い、自己紹介だけは済んでるから、身の上話の方を・・・・」
話を進めようとしたウェイブに、アニィが待ったをかける。
「ねぇ、それって要するに情報交換でしょ」
「そうなるな」
「だったら、互いに質問し合うってのはどう?」
「ああ、それでもいいよ」
もとより互いの情報交換であればそうなると思っていたウェイブは、すんなりそれを承諾し、拒否されるとは考えてもいなかったアニィも、すぐさま話を進めていった。
「それじゃ、まずは私達から聞いていい?」
「ああ」
「ずばり、貴方は何者?」
ピシッと、ウェイブに指を突き付け、アニィが問う。
行動から通りがかりの正義の味方である事は判っている。だがそれはあくまで結果論であり、その素性はまだ謎だったため、ごく当然の問いと言える。
「種族は見ての通り人間。職業は冒険者だけど・・・・」
「闘気士・・・よね?」
ごくさしあたりのない返答をするウェイブに、確認するかのようにアニィが問いつめた。
「ああ・・・・」
隠すべき理由のなかった彼は、素直にそれを認めると、横で聞いていたシルディが驚いたような声を上げる。
「やっぱりそうなんですか?私、実戦レベルの技能者って、初めて見ました!」
「でないと、さっきの攻撃が説明できないもんね。で、その闘気士ウェイブが、ここに何の用があったの?」
「おいおい、次は俺の質問の順番だろ?」
二人の言葉から、自分が闘気士である事に見当をつけていた様子に気づいたウェイブであったが、その洞察力の方より勢いで質問を続けようとするアニィの目論見に気づき、それを制止する事に意識を向けた。
「私の質問の延長よ、闘気士かどうかは別問題よ」
「ここに来た『目的』ってのを聞いてるんなら、ここにあるはずの、あるモノを探しに来た・・・・ってのが答えだよ。取り込み中とは思わなかったけどね」
これから先、目的地近辺でこの様に事情を説明する事が少なくないだろうと思ったウェイブは、どの様に詳細を説明すれば良いかと少し悩んだ。
現地の状況によっては伏せておいた方が良い場合もあり得る。彼女達に説明して行動に支障が生じないか?今後のため、そんな考えを巡らしたいところであったが、アニィ相手の会話ではそんな隙は出来ようはずもない。
「その、あるモノって?」
「それを答える前に、俺の質問だ」
ともかく、一方的な会話のペースに持って行かれたくない。そう思ったウェイブは、牽制する意味を含めて、自己の権利を強調した。
「う・・・どうぞ」
「ここはどこだ?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」」
十分な間をあけてから、二人が反応した。
質問の内容としてはあり得るものの、あまりにも基本的な事項故に想定から除外されていたような件を真顔で問われ、二人は聞き間違いかと思って即応できなかったのである。
「ここは、なんて場所かを聞きたいんだよ」
ウェイブは更に真顔で問うた。
「し、知らないの?本気で尋ねてる?」
「知らないから尋ねてるんだ。まさか極秘じゃないだろ?さっき有名とか言ってじゃないか」
「待って待って、隠すつもりはないし、答えもあるけど、先に確認させて。何で知らないの?」
それが常識である人間には理解し難い質問であるが故に、アニィは混乱した。
「こっちの質問に答えたら、次の質問として答えてやるよ」
ウェイブの返答に、本当に答えがあるのかと疑問を抱いたままのアニィであったが、その方が理解し得ない頭で憶測するより確実だと判断し、先に問われた常識を伝えた。
「・・・・・ノウスの最端地ニーヴァの街にあるファスト遺跡よ」
ノウスとは、彼等の隔離世界で自然に定着した地方の呼称である。単純に円形の地を東西南北に四分割した地域を、ノウス・サウス・ウエスト・イーストと呼んでいる共通の地方認識であった。
「ノウスか・・・・やっぱり方向と位置は同じか・・・」
ここでウェイブは確信を得た。転移の為の魔境を選ぶ際、彼は玉座の後ろのそれを選んでいた。これは玉座の後方が真北に位置していた事を認識しての選択であり、結果、自分の転移場所が予想通りの地域であった事で仲間二人の位置も想像ができ、次に向かう際に済んだ土地を訪問してしまう可能性が低くなるのである。
「それで・・・」
「ああ判ってる、俺がここを知らない理由だろ。俺は全く別の場所からテレポーターで転移して、この・・・ファスト遺跡だったか?そのただ中に移動したんだ。把握してなくて当然だろ?」
現地人から見れば、奇異な質問をしたと自覚しているウェイブであったが、自身の事情を説明することで、その正当性をさりげに主張する。
「テレポーターって・・・・ここにそんな物があったの?」
思いもよらない存在を聞かされ、アニィが驚いた様子でシルディを見やり、互いにその存在を知らなかった事を確認し合った。
「ああ、魔鏡タイプのやつがな」
「だから、通りすがりなんて出来たんだ」
納得するようにアニィが頷いた。
「ん?」
「さっきのあいつ・・・クライマーって言うんだけど、あいつ儀式を邪魔されないようにって遺跡の入口を閉鎖してたのよ。だから、あの場に居合わせたって主張が、実はすっごく不自然だったのよね。あいつがここの準備を済ませる以前からここに居座ってたか住んでいたかしてなければ、あり得るわね」
「成る程、俺は文字通り想定外だったわけか・・・・」
「ちょっとそれを見てみたいです!案内していただけますか」
魔法のアイテムに興味があるのか、シルディが子供のようにおねだりする。
「そりゃいいが、先に一通りの話を済ませてからにしないか?」
「そうね、どうやらウェイブはクライマーとは全くの無関係みたいだし、それに関しては安心して良さそうだもんね」
その言葉にウェイブは、気さくに話しかけてはいても、やはり部分的に警戒されていたんだなと察した。だがそれを彼は特に心外とは思わない。助けてもらったからといって、無条件で相手を信じてしまってはあまりに無防備と言わざるをえず、むしろそうした警戒心は当然なのである。
「じゃ、俺の質問だが、話題に上ったついでで、そのクライマーって奴の目的は何なんだ?なぜ、君達二人はあいつに囚われていた?」
実のところの本命にあたる質問を投げかけるウェイブ。一見、無関係な事件であっても、この遺跡内で起きている以上、行き着く先や接点が自分の目的場所と同じである可能性も否定できず、事と次第によってはクライマーとの再戦も覚悟しなければならないのである。
「うわっ、欲張り!さりげに二つの質問出してる」
アニィがおどけて見せたが、それに乗るウェイブではなかった。
「茶化すな、同じ内容だろ」
「う~ん、それが複雑な事情がありまして・・・」
「そりゃそうだろ、無作為な襲撃者があんな手の込んだ魔法陣を用意するかよ」
「う~なんて説明したらいいのかな・・・・ウェイブは闇魔導士シドレ・レイスの話は知ってる?」
本当に説明に悩んだ挙げ句、アニィは一人の人物を持ち上げ、逆に問いかけるように語り出す。
「・・・・二十年近く前に、この世界の統一を目論んで、ノウス地方の大規模な戦乱を起こした、北の魔法使いレイスの事か?」
「ええ」
シドレ・レイス。
今となってはそれが当人の本名だったかも定かではなかったが、一地方を混乱に陥れた事で悪名を轟かせた人物である。
キーンに比べ遙かに身近な過去の人物であったため、その存在が認知されており、類い希なる魔法の才力を発揮し、自らを魔王の再来と称して世界(隔離世界)の統一を目論んで戦乱を起こした人物であった。
しかしシドレは、同格と思い込んだ魔王には到底及ばず、時の勇者達によって討伐されている。
ウェイブは自分の聞き知った、そうした伝承をアニィに伝えると、彼女はそれが概ね間違いないと頷いた。
「実力と運は魔王に及ばなかったシドレ・レイスだったけど、魔法に関する実力と知識だけは凄かったのよ。古来からの魔法は勿論のこと、更に古い魔法を古文書から解読したり、一説では召還した悪魔から学んだとも言われていて、更に自分で新たな魔法も生み出したとされているわ」
「ああ、その話は有名だな。生物だけを焼き殺す見えない炎、体内に毒素を生み出してジワジワと苦しめる腐食魔法、重力を操る魔法・・・なんてやつだな。そのシドレと今回の一件にどんな接点がある?二人を生贄に、そいつを復活でもさせるとかしてたか?」
「近い!」
女性を使っての儀式で連想される最もありきたりな例えをしたウェイブに、ピシリとアニィの指が突き出された。
「?」
「じつを言いますと、私達、シドレ・レイスの、娘なんです」
意味が解らずにいたウェイブに対し、補足するようにシルディが述べたが、それは彼の思考を更に混乱させるだけでしかなかった。
「・・・・はい?何だって?」
「あ・・・でも、でも、産まれた時には既にシドレ・レイスはお亡くなりで、私達は会った事すらないんです」
状況を把握できていないウェイブの表情が、自分達に対する悪い評価だと勘違いしたシルディは、慌てて更に補足し、身の潔白を主張する。
「あ~~~ならどうして?それなら実質的に何の価値も・・・」
少々戸惑いながらも、彼女達が近年の伝説的魔法使いの血族ではあるが、落とし子らしく、接点は血縁しかない・・・
と、把握したウェイブは、そこで生じた疑問を口にした。
この時、もう少し普通の者なら、その内容の真偽をこそ疑うたであろうが、彼は更にその上を行った伝説の人物の血縁者であるため、一世代前の話ならば信憑性があると感じ、疑う余地を挟まなかったのである。
まずは血縁の話を信じてもらえるかがポイントだったアニィ達は、相手が真偽を疑おうともせず、事実という前提で話を進めた事で、少し拍子抜けしながらも説明を再開した。
「クライマーの方は価値があると考えたのよ。私達の中にあるシドレの血統。それが類い希な魔法の知識を得る鍵になるって・・・私達の中に眠る魔法の才能を極限にまで引き出して得よう・・・・と、そう考えたのよ」
「その為の魔法陣って事か・・・・」
血の繋がりを利用して・・・というのは、魔法関連の呪術の基本と言っても良かった。そうした事情を考慮すれば、クライマーの行為と話の合点はいった。ただ、当事者たる二人には迷惑でしかないだろうと、彼は心の中で同情する。
「そういう事。じゃ、こっちの質問、ウェイブの探してるモノって何?この遺跡って、ほとんど探索されてて宝の類とかないわよ」
早々に話を切り上げ、次の話題へと移るアニィ。そこには、あまりその件に触れられたくない心情が含まれており、本来ならそれに気づくだろうウェイブだったが、後に続いた内容が、彼の注意を思いっきり引きつけてしまった。
「なに・・・?無い?・・・・本当に?」
「本当よ。街には専門家達の調査資料館もあるし、遺跡の第一任者って人もいるくらいに調べ尽くされてるわよ」
「なら、魔法陣の描かれていた部屋とか、祭壇とか、ゴーレムやガーディアンに護られた部屋とかも?」
「全て探索済みのはずですよ。でも、細部に関してなら、私達より街の専門家にお尋ねになって聞いた方が確実ですよ」
目的のモノの特性上、現場からの持ち出しは不可能だと考えていたウェイブは、そうした話を頭から信じることが出来なかった。実際には発見されていないか、その真価に気づいていないか、そうした可能性があると感じた彼は、シルディの助言に従うことに決めた。
「それじゃ、その専門家様を紹介してくれるか?」
「ええ、条件付きで」
そう来るだろうと考えていたのか、アニィが反射的に応じた。
「条件?」
「私達を無事に街まで届けてよ。まさか置いていくつもりだった?」
「あ、これは失礼。言われなくてもそのつもりだったからな」
「なんだ、それじゃ別の条件つけるべきだったかしら・・・」
「アニィさん・・・・」
しまった!とばかりに残念そうな表情をするアニィを、苦笑した表情のシルディがたしなめた。
「・・・・・・・・」
そんな様子を楽しそうに眺めたウェイブだったが、ふとした疑問がわきあがる。
「どうしたの?」
それが表情に出たのだろう、アニィが問いかける。
「いや、ちょっと違和感があってな。二人って見た目、歳は同じ位に見えるから、レイスの子供ってんなら、そうなると『双子』だと思うんだが、ずいぶん雰囲気が違うなと思ってな」
そう言って二人を改めて見比べるウェイブ。
アニィは赤毛のセミロングヘアで、活発さが表面に現れており、シルディは緑のロングヘアで頭の後ろに大きなリボンも付属した、内気なお嬢さん風な性格となっている。
性格も見た目の様相にも共通点は皆無で、共通点と言えば青みのかかった瞳と、髪の毛の一部にくせ毛が見られるくらいであったのだ。
「少し想像力が欠けてるわよ、ウェイブ」
そうした評価は慣れていたのだろう。アニィは笑みを浮かべてその判断を否定した。
「ん?」
「片親が違う可能性も忘れてる」
「あっ!」
言われてウェイブもその可能性に思い至った。
「そういう事もあるか・・・なら、二人が『似てない双子』でも納得だ」
「理解してもらったところで、話を戻しましょうか」
ここで再びアニィが強引な話題転化を行った。これもやはり素性に関する話を避けたいが為の反応であった。
「?」
「ウェイブの目的の詳細。まだ答えてないわよ」
考えるより先に出た指摘で、ウェイブは逸れた話題を思い出すと同時に、その返答方法に悩んだ。
「あ、そうだった・・・・けど、聞いて信じてもらえるかな?」
「何?そんなに嘘っぽいの?」
「・・・・この遺跡のどこかに、世界を結界から解放する為の鍵が眠ってるはずなんだが・・・」
自分達の出生も似たような物なのだから、多少突飛でも信用するつもりでいたアニィ・シルディも、さすがに今の一言は容易には受け入れられなかった。
「・・・・・え?え、なに?今の例え話とかじゃなくてホントの答え?」
「な、信じられないだろ?」
やっぱり、素で話しても反応はこうなる。それを実感したウェイブ。
「さすがにそれはちょっと、すぐには・・・・ここが未知の遺跡なら少しは・・・」
どうやら嘘を言ってるわけではないと彼の様子で悟ったアニィは、苦し紛れのフォローを入れるが、やはり本音としては受け入れがたかった。
「だからこそ、詳細を聞いてみたいんだよ。学者先生達が発掘してしまった中にソレがあるのか、まだ隠されたままなのか、それを確認したい」
「一刻も早くって顔してるわね」
「ああ」
「じゃ、この遺跡の出口には案内してあげるから、先にシルディが頼んでたでしょ。ウェイブが転移された部屋へ案内してよ」
「わかった」
ウェイブは頷くと、場は自然にトークタイムは終わりといわんばかりの雰囲気となり、一行は出発の支度を始めた。
「それでさっきの捜し物の話、本当のなの?」
通路を進む最中、アニィが道中の暇つぶしとばかりに問いかけた。
「ああ、一つは存在してるのを確認済みだ」
「一つはって、複数あるの?」
「当然だろ、あの大規模な結界が一つのアイテムや魔法陣でどうにかなるとでも思ったか?」
あの断片的な説明ではそう思われても当然と思いながらも、相手の思い違いに対してウェイブは僅かに笑んでみせる。
「じゃあ、どんな物なの?教えてもらってないんだから判るはずないじゃない」
「ま、実は言うと、俺も各所の鍵がどんな物か見たことないんではっきりした説明は出来ないんだけど、要はこの世界の中心部を起点にした最大級の魔法陣さ。ここと他の最端地四箇所に同じ物があって、それを繋いだ魔法陣で結界に対抗するって仕組みさ」
その説明を聞いたアニィとシルディは顔を見合わせて頷いた。
「この話も信じがたいか?」
どのみち、結界破壊の話自体が途方もない話であるため、仕方ないと思うものの、そうした予測とは反対に、二人は首を左右に振った。
「いいえ、その、なんて言うか・・・」
「同じ様な事を昔、遺跡調査の先生が言ってたんですよ」
「何?」
思いもよらない返答にウェイブが反応した。
「あ、でも、以前少し聞いた話で、詳しくは知らないのよ、詳細はやっぱり当人に聞いてよね」
ウェイブの期待の眼差しに応えられる情報を持っていなかったアニィは慌ててそれをかわした。
「紹介してくれる人と同一人物なのか?」
「ええ」
アニィの肯定に、ウェイブはこの先に展望が望めると感じた。この場は思った以上に人の手が入った場所であったが、それを熟知する人物との接触が持てるのであれば自力捜索より遙かに手間が省ける。
あとはここに目的の物が存在するか否かだけが問題だったが、それは実際に話をしてからにしようと考える彼だった。
「こっちだ」
そうこうしているうちに分岐点に来たウェイブは、瓦礫が積もった小さな通路を指さした。そこは当初壁になっていた場所だったのだが、一本道を進んで到達した彼が、そこが行き止まりであるはずがないと即断し、蹴ってみた結果、壁はあっけなく崩れて本道に繋がったのである。
そしてそこを歩いているうちに、クライマーの高笑いが聞こえ、そこへ向かった結果、彼女等の災難に出くわしたのである。
「隠し通路!まだ残ってたんだ」
自分の記憶にない通路の存在を目の前にして、アニィは驚きの声をあげた。
「街の学者さん達に教えてあげれば大喜びですね」
「なら、学者達への面会の口実はこれで出来たな。この遺跡、まだまだ謎はありそうだな」
地元民の関心を得て、ウェイブは満足した。この分なら、まだ目的の場所が発見されていない可能性も高いと感じたからである。
「中、大丈夫なの?」
「ああ、罠の類は無かった。この通路の突き当たりに部屋があって、そこが俺のスタート地点だ」
通路の前で中を覗き込むアニィに、ウェイブが応えると、手にしていた簡易松明を彼女に差し出す。
それを受け取ったアニィは、シルディと連れだって奥に入っていった。
「先に言っておくが、期待するような物は何もないぞ」
「わかった~」
「わかりましたぁ~」
返答の内容とは裏腹に、遠ざかる声はどこか期待のこもったものだったのを聞き逃さなかったウェイブは、彼女等が何を期待しているか疑問に思いつつ、その後を追った。
(ひょっとして彼女達、魔鏡の修復ができるのか?)
彼もそんな淡い期待を抱きだし、その歩みを進め、彼女達に続いてスタートとなった部屋に入ると、それを迎えたのは二人のしかめっ面だった。
「?」
「臭い!」
追いついたウェイブの顔を見るや否や、アニィが言った。
言葉の不意打ちだったが、その理由はすぐに理解できた。彼がこの場に転送された直後に生じた不快感でぶちまけてしまった嘔吐物の異臭が密室であるそこに立ちこめていたのである。
アニィはすぐさま、その現況の原因を把握し、その張本人に非難の目を向けたのである。
「だから期待する物はないって言ったじゃないか」
まさかここに戻るとは思っていなかったウェイブは、ばつの悪そうに言うと、少しでも臭気が紛れるよう、ドアを開けっぱなしの状態で固定した。
「気の悪くなる物まであるなんて言ってないじゃない」
そんな不満をもらしつつもアニィは魔鏡に目をやり、隅々を観察しだす。
人工の光源を頼りに魔鏡を調べる二人の眼差しは真剣であり、ウェイブが軽々しく声を挟める雰囲気ではなかった。
結局彼は、彼女等の気が済むまで待つことにし、クライマーの追っ手ないし土着モンスターの襲撃に備え、入口の前で待機した。
それから何事もなく数分が過ぎ、観察の結論に至った二人がウェイブの元へと戻ってきた。
「お待たせしました」
そんなシルディの表情はどこか暗く、期待した収穫がなかったことを暗に物語っていた。
「やっぱり期待はずれだったろ?」
「え?あ・・・はい・・・その・・」
いきなり本心を見透かされたシルディがしどろもどろとなる中、ウェイブは質問を続けた。
「何を調べてたんだ?」
「・・・・あのテレポーターが本当に使えないかどうかを・・・ね」
自分の目でそれが確かめたかった事を、すまなそうにアニィが答えた。
「それで、専門家のご意見は?」
その表情から結論は推測できつつも、あえてウェイブは問うと、彼女は首を残念そうに横に振った。
「やっぱりダメ、テレポーターとして機能させる為の枠の紋様が劣化でかなり欠けてるから、使用は不可能よ。実際、貴方がこっちに無事に来れただけでも奇跡よ」
「いや、無事じゃなかったさ・・・」
あの時の痛烈な酔いを思い起こし、ウェイブは冷や汗を流す。
「十分無事よ。あの魔鏡の状態なら、五体満足でなかったとしても納得ものよ」
「そうなのか?」
「はい、テレポーターは同じ紋様や魔法陣に同調する事で繋がりを持ってます。片方に欠損が生じればそれは空間の出口に歪みを生じさせてしまって・・・・」
それ以上は言わずとも・・・という目でシルディはウェイブを見やると、彼はその意味を察し、自分がとんでもない道を抜けてきたのだと改めて知って青ざめた。
「それじゃ、修復とかは?」
ウェイブは一応の期待を込めて、自身の抱いた願望の結論を確認したが、返答は予想通りのものだった。
「無理よ。枠の欠損部を修復すれば再使用は可能かもしれないけど、その紋様パターンが判らないもの。ウェイブは出発点の魔鏡の紋様の形状なんて覚えてないでしょ?」
「ああ」
素直にウェイブは頷いた。そんなもの、言われなければ記憶しているはずもなく、彼はテレポーター復活の望みを早々に断念する。
「・・・・仕方ない。それじゃ、外に向かおうか?」
「ええ」
「はい」
ウェイブの提案に二人は同意すると、三人は揃って歩き出す。
「でも多分、出入り口にはクライマーか、その配下の何かがいるわよ。大丈夫?」
「さっきの人形程度のゴーレムなら複数でも大丈夫さ。だけど、枷にしたくないから戦闘になったら後方に下がってくれよ」
アニィの危惧にウェイブも危惧で応じた。彼女の指摘通り、クライマーがあのまま逃走して終わるとは思えず、確実に遭遇できる出入口辺りで待ち伏せしている可能性は十分あり得た。
そしてそうなった場合、アニィとシルディは足手まといに成りかねず、彼はそれも注意して行かなくてはならない。
「私達、何かお手伝いできませんか?」
「剣で闘えるなら、俺の剣を貸すけど・・・・無理だろ?」
「はい・・」
ウェイブは下から上へと、どう見ても戦士肌でないシルディの身体を確認して尋ねると、彼女は済まなさそうに頷くしかなかった。
「私達だって、魔法発動体があれば後方援護できるのよ・・・」
現状でその認識に間違いはなかった。だが、戦闘に関しては役立たずという評価が成された事を察したアニィは、それを覆したい思いに駆られ少しムキになって言った。
そこにウェイブが敏感に反応した。
「魔法・・・使えたのか?」
彼女の主張は事実上それを肯定としていた。
「あれ?言わなかった?」
「ああ、凄い魔法使いの血縁だって事だけだ」
彼女達自身、その話に深く関わるのを避けていたため、そこまでの話題とはならなかった事を思い出す。
「あ~そうだったわね。でも、レイスみたいに凄いのは当然無理なんだけど、そこそこは行けるわよ。私は攻撃系の・・・」
「私は回復系の魔法が得意なんです」
アニィに続いてシルディが己の得意を口にした。それは血筋の事を考えれば不思議な事ではなかったが、想定に入れていなかっただけに、思わぬ戦力候補としてウェイブに迎え入れられた。
「それで、自分達の発動体はどうしたんだ?」
これはもっとな質問である。魔法を駆使できる者が、それに必要な発動体を所持していないなんて事はあり得なかったが、今回に関してはその理由は予測が容易かった。
「もちろんクライマーに取られたわよ。数で押されて体力も魔力も疲弊したところを捕まっちゃったのよ」
「やっぱりそうか・・・それじゃ、これで何とかならないか?」
予想通りの返答を確認したウェイブは、荷物入れの底の方から小さな袋を取り出してシルディに投げ渡した。
「何ですか?」
受け取ったその中身を二人が覗き込み、掌の上に落としてみると、そこに幾つかの物体がこぼれ落ちた。それは二つの指輪と、研磨のされていない数個の宝石のような青い石だった。
「え、これって・・・」
そこにある物を見て、アニィが少し驚いた声をあげる。
「ああ、指輪タイプの発動体と魔晶石だ」
魔晶石とは、精神力・魔力を結晶化した物体で、いわば精神力方面の回復剤の様なものであり、魔法使いが重宝するアイテムである。
「なんでウェイブがこんなの持ってるの?」
魔法には無縁の彼がこうしたアイテムを所持していた事に、アニィは意外さを感じた。
「言ったろ?俺は基本的に冒険者だから、行く先々でそういう物を手に入れる機会もあるさ。それで、交渉の場とか交換で役立つと思って取っておいたんだよ。使えるだろ?」
「うん・・・ちょっと傷があって、発動効率が悪そうだけど、使えるわ」
指輪の一つを手にして、色々な角度から眺めるアニィが、その実用度を認めると、シルディもそれに同意した。
「有り難うございます」
二人は早速それを装備してみようと、定番である左手のひとさし指に通そうと試みるが、それは指の真ん中辺りで抵抗を受けて止まる。
「ん・・・でも、少しサイズが小さいみたい」
「そうなのか?拾い物だからサイズは合わせられなかったからな・・・合う指にはめてみたらどうだ?」
言われるまでもなく、二人は指輪のサイズに丁度良い指を確認するため、順に指を通してみて、ぴったりの指を見つけだす。
だがそれが薬指であった事が女性二人に余計な想像をかき立てさせ、思わず頬を染めさせる事態となった。
「あ、あのあのっ、アニィさん、これって・・・・」
シルディがぴったりとはまってしまった左手の薬指の指輪を、真っ赤な顔でアニィ見せながら大いに取り乱した。
「お、落ち着きなさいって、そういう意味の指輪じゃないし、み、右、そう!右にすれば良いんじゃない」
アニィも偶然の現象でありながらも、その位置の意味と、それによるシルディの動揺に理解を示しながらも、自身も胸の激しい鼓動を抑えきれず、頬を染めながら指輪をはめ直した。
「どうした、無理だったのか?」
「「もうちょっと待って(下さい)!」」
「あ・・あぁ」
身支度の様子を見ていなかったウェイブが、二人の様子のおかしさに気づいて問いかけたが、息のあった声に圧倒される。
結局、意味深な左から右の薬指に魔法発動体の指輪を装備した二人は、軽い動作でその効果を確認して、納得のいく手応えを得るとウェイブの方に視線を向けた。
「お待たせ。行けるわ」
「そりゃ良かった。それじゃ行くか」
「あ、待って下さいウェイブさん」
相方の準備が整い、再び歩き出そうとしたウェイブをシルディが呼び止めた。
「どうした?」
「指輪と、助けて頂いたお礼です」
そういうと彼女は小さく呪文を唱え、指輪のはめた右手をウェイブへと向ける。その掌から淡く白い光が灯り、それに共鳴するかの様に彼の身体が光り出した。
「な、なに?」
輝く自分の身体を見て戸惑うウェイブ。光はそれほど長時間持続せず、ほんの数秒の後、何事もなかった様にもとへと戻る。
「体調、どうですか?」
「・・・ん、あれ?」
言われて彼は、抱いていた飲み過ぎの後のような身体の不快感が消え去っているのを実感した。
「テレポーターの一件で体調が悪いって言ってましたから、回復呪文を施したんですが、治ってませんか?」
「いや、完璧だ。全快してる・・・たいしたもんだ」
軽く身体を動かし、先程まではタブーとしていた不快感誘発行動である身体の回転も試し、全く問題がないことを確認して、ウェイブは素直に感心した。
「そんな、初歩の魔法ですよ」
思った以上に感謝されたシルディは、思わず照れた様相を見せる傍らで、まるで経験がなかったかのような様子に、アニィが疑問を抱いた。
「ねぇ、ウェイブって以前にも魔法使いとチーム組んでたって言ってたでしょ?回復呪文を受けた経験なかったの?」
「ああ、そいつは回復系は不得意で、いつも薬物でまかなってたんだ」
「うわっ・・・健康に悪そう・・・」
事態を想像し、顔を歪めるアニィ。
「そう言うなって、常に万全のメンバーでいられる方が珍しかったんだ。それに薬物に頼るのはよっぽどの時だったから、それほど薬漬けじゃないさ。でも考えてみれば、今のこのメンバーはバランス取れている方だよな」
近接戦闘のウェイブに、後方支援のアニィ、そして回復をメインにしたシルディという構成は長期の冒険活動にはある意味、以前のメンバーより遙かに理想的な編成といえた。
「ひょっとして、私の援護も期待してる?」
ウェイブの言葉に隠された意志を察したアニィが嬉しそうに確認した。
「もちろん。過分な期待か?」
「いいえ、期待以上の活躍をしてみせるわ。ウェイブも体調が戻ったんなら、さっき以上の結果を見せてよ」
実力の程はまだ判らない。だが後方支援の有無一つで戦闘の状況は大きく変わるものであり、想像していたような劣性は避けられそうな状況にウェイブは安堵する。
援護そのものに期待が得られなくとも、彼女達がある程度身を守れるだけの力があるのでならば、彼も戦闘に専念できると考えたのだ。
「ああ、驚かせてやるよ。そのくらいでなけりゃ、さっきのあいつも諦めないだろうからな」
彼は早々に幾つかの作戦を想定し、基本的に短期で行こうと考えだす。
一行が避けられないと予感していた決戦は、想像通り、必ず通らなければならない遺跡の出入口で繰り広げられる事となった。
それは双方が予期していたことであり、遭遇の事態が現実のものとなっても、特に動揺は生じなかった。
戦場となる遺跡出入口は、以前より調査作業が行われていた事から、周囲が広く切り開かれ、ちょっとした広間になっているだけでなく補強処置も行われていたため、見方を変えれば闘技場とも言えなくもない様相をなしていた。
そうした場の中央で、多対三の対峙が生じていた。
「待っていたぞ」
無数のゴーレムを背後に従えたクライマーが、歩み寄る三人に向かって言い放った。
「やっぱりいやがったな」
自分の背後に守るべき二人を携え、ウェイブが応じてその足を止めた。
「無駄な話はなしだ。今すぐ二人を差し出せ」
背後に居並ぶ多くの兵隊を誇示して、クライマーが要点のみを告げると、ウェイブは躊躇いなくそれを拒否した。
「断る。そちらこそ道を開けろ」
「説明がなければ判らないか?差し出せば、貴様の命は保証されるのだぞ」
「それはこっちの台詞だ。そもそも自己の一方的な欲望のために彼女達を犠牲にするような真似を見過ごせるものか」
ウェイブの主張を聞いたクライマーは、心外といいたげな表情で相手を見やる。
「犠牲だと?私は二人の命を奪うつもりなど毛頭ない。むしろ望みをかなえてやろうとしているのだ。貴様のその正義感こそ、真実を知らぬ者の一方的な思い込みでしかない事を知るべきだな」
「私達はあんな事、望んでいない!」
「そうです!私達はこのままで在りたいんです」
その主張に敏感に反応したのは当事者たる二人であった。その過剰とも思える感情のこもった一声に、ウェイブも内心驚いたが、それを表情に出すことなく、それを用いて話を引き継いでいった。
「そら見ろ、当人達もそう主張している。従ってあんたが良かれと思っていても、それは当事者には迷惑でしかないのさ」
「愚かな・・・魂の声に逆らうか・・・己の真の価値も理解できないでは、無理に教えるしかなるまい」
「それが余計なお世話だっていうんだ」
「理解していない者の主張など、その価値に比べれば聞き入れる必要などない」
それはあくまで自分の考えの方が正しいと信じ込んでいる者の発想であった。他者の言葉を聞き入れる寛容ささえあれば、和解や歩み寄りは可能であったのだが、この手の人物にそれを期待するのは無理な話であった。
「あんたが二人の意志を無視して話を進めるなら、それは、俺に対する敵対行動だ」
もはや話し合いは不可能と結論づけたウェイブが両腰の剣を抜いて構えた。
「あくまで無知なる魂の側に立つと言うのなら、こちらもそれを排除するだけだ」
クライマーも邪魔だてする者は排除するという意志をあからさまに見せて、背後のゴーレム達に合図を送って構えさす。
「やってみな」
ウェイブ買い言葉にクライマーが応じ、ゴーレム達が一斉に突進を開始すると、ウェイブもそれに向かって駆けだして行った。
あとがき
アニィ貧乳キャラ確定の章(笑)です。
ぶっちゃけ言えば、アニィ&シルディの存在を引き立てるために誕生してもらった小悪党です。
脳内設定で言えば、カレンと魔法対決をした場合、互角に渡り合える実力者ですが、彼その物が転生することはまず無いです。
が、この存在に、しばらくは3人は振り回されることとなります。