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2019/01/17(木)に投稿された記事
ハルヒをこちょこちょ(2)
瞑想してたら、何か色々あって頭がオモシロ動作をしてしまった時期がかつてありましたが、それ以降、脳みそのお薬を飲み続けております。
医者はもっと量減らせって言うんだけど、またオモシロ動作したら怖いでしょ!
つーか、患者の方が量増やせってどう言うことなのよ。
みんなも瞑想しすぎには気をつけてね。
エロ小説です。
ハルヒをこちょこちょーその2
導入パート2
ハルヒたちをくすぐりのるつぼに突き落とすための準備なのでご容赦を・・・ヒッヒッ
室内にあったアルミホイルとラジカセ、加えて古いパソコンだけで長門が組み上げた即席パラボラアンテナは、おそらくインターネットも不通になっているであろう状態にあって、先ほどから気象観測衛星からデータを取得し続けている。
ディスプレイを覗き込み続ける長門と朝倉、朝倉は落胆したような溜息を吐き、長門は相変わらずの無感情で切々とデータから得られる事実のみを言葉にしていた。
要約するとこうなる。
上空に留まり続ける巨大な物体は半径700kmの円盤状で、その材質は金属だが温度は38度ほどある。
こうした円盤が地球上空に少なくとも7機あり、その直下の都市からは明かりが失われている。
円盤は乗り物と思われ、その所有者はおそらく地球外の知的生命体。
その目的は依然不明。
前々から思っていた事だが、長門は一体何者なのだろうとハルヒは考えていた。
テストは常に満点、自分が求める無理難題に顔色一つ変えず対応しては結果を出し、あまつさえキッチン用品と平凡な電子機器だけでパラボラアンテナを即座に作ってしまう。
さらに、先ほどの会話、長門だけで無く朝倉にも言える事だが、二人の会話は間違いなく一般的な女子高生が交わせるものとは思えず、それを言い出すと一般的な女子高生が気象観測衛星から情報を受信出来るとも思えない。
ただ、二人がいてくれる事が頼もしく心強く、何となく「この二人なら何とか出来てしまうんじゃないか?」と思えてしまう。
「気象観測衛星からデータを受信し観測範囲に1%以上の変化があった場合に通知するプログラムを作成した。ブレイクタイム」
そう言うと指の動きを止める長門、小さく息を吐いて立ち上がった朝倉は、買い置きのミネラルウォーターをグラスに注ぎ、それをぐっと飲み干す。
時計を見ると既に深夜の1時過ぎ、眠くないわけではなかったが惰眠を貪るほどの精神力をハルヒは持っていなかった。
「涼宮さんも飲む?と言っても、かなり温いんだけどね」
と言って微笑む朝倉に、ハルヒはこの二人の精神力の強さに唸りそうになった。
部室にやって来たのは夜の8時過ぎ、あれから5時間もパソコンとにらめっこしていたにも関わらず、そこには疲労の色は見て取れない。
ポジティブシンキングに自信があった彼女にあっても、不気味な生き物とも植物とも言えない怪物に襲われそうになりながら、かろうじて逃げ込んだばかりの心持ちではカラ元気も出せるはずもなく、笑顔など浮かべられるような心理状態でもあるはずがない。
「情報は十分に集めた、後は相手の出方を見るだけ」
長門はぶっきら棒に言い放ち、窓辺の椅子に腰かけるといつもと変わらず洋書を読み始める。
普段なら制服姿の長門だが今日のいで立ちはヒラヒラフリルが付いた袖なしパジャマワンピース、淡いピンク色の猫ちゃんマークがあしらわれている。
かく言うハルヒもパジャマ姿、肩ひもを結んだだけの薄手のルームウェアに、膝ほどまでのパジャマズボン。
コップに水を注いでいる朝倉は、先ほどから気になっていたのだが、彼女はなぜか純白ブラと紐パンの水着姿。
「これが私のパジャマです」と言われれば「そういう人もいるかも知れませんね」と思ってしまうかも知れないが、ちょっと朝倉の夜のライフスタイルが気になる様相を呈している。
朝倉からコップを手渡されて、水着姿の理由を尋ねようとしたものの聞くに聞けずに喉を鳴らして飲み干したハルヒ。
一息ついた所で少しだけ気持ちの余裕が出来たような気がして、彼女は窓の外に視線を飛ばしながら、聞いていいのか悪いのか、これからの自分たちがどうなるのかを誰にともなく尋ねてみる。
「これから……どうなるの……?」
「分からないわ。だけど、この部室棟なら安全よ。でも、どちらにしても目下の課題は食事と飲み物ね」
そうだった、この部室にはペットボトルの水と少量のスナック菓子はあっても、3人が籠城できるほどの食物も飲み物もない。
朝になれば夜ほどの危険は無いかも知れないが、闇に紛れての行動は出来ないだろう。
「『彼ら』の強襲から間もない現在は出歩く事は危険。様子を見るべき」
“強襲”と聞いてハルヒは学校へ走り出す前に目撃した、見た事も無い怪物……表現は月並みかも知れないが、まさしく怪物としか言い表せない存在について思い出していた。
人の背丈の3倍はあるだろう長身、その体は人の姿ではなく肉塊と言っても差し支えない形状。
彼女の腕ほどある無数のツルのようなものを振り回し、逃げ惑う人々を捉えては引き寄せていた。
色彩は闇に隠されていたが、おそらく赤茶色、その動きは姿からは想像出来ないほどに機敏かつ俊足で、車にすら容易に追い付いていた。
「でも……明日の朝には、その『彼ら』?いなくなったら……その」
自分でも驚くほどか細い声、震えてこそいないが足は未だにすくみ上っていて、心音は相変わらず耳の奥で聞こえ続けるほどに強く早い。
上手に考えもまとめる事が出来ず、しどろもどろに言い淀んでから、怪物の影が自身の記憶に映し出されて言葉を止めた。
自分たちにどうにか出来るのか、自問しても答えなど見えるはずもない。
それどころか、部室にある武器になりそうな物などバットかヤカンがせいぜいで、それを手にして立ち向かうなど自殺行為に他ならない。
「確かに涼宮さんの言う通りかもね。捕らえられた人たちもいるし、引き揚げられてしまったら好機を逸する事になるわ。生体のサンプルも必要だし」
しかし、予想外にハルヒの言葉に食いついた朝倉は、憂いたような瞳で窓の外側を見た。
学校に逃げ込んだ時、自分たち以外にも数人の生徒の姿があり、それを追った『彼ら』もまた校門をくぐった事は間違いない。
玄関を走り抜けドアをいくつか破壊して中庭から部室棟へ駆け込んだ時には、既に一生徒はハルヒと長門、朝倉だけになっていた。
部室棟の空間二次元情報を書き換えカモフラージュを施したものの、相手は朝倉の親玉である情報統合思念体を出し抜くほどの技術力を持った相手。
やがては部室棟も発見されるに違いない、その前に相手の正体を掴んでおきたい気持ちがある。
「理解した。生体サンプルを採取するだけ。戦闘は避けたい」
立ち上がった長門は洋書を椅子に置き、ヤカンを手にして、じっとハルヒを見つめる。
「これから起こる事は決して他言してはいけない。エマージェンシーモード」
そして、口を高速で動かし何かをつぶやいた長門、するとヤカンがフワリと浮き上がり、それは瞬く間に光に包まれる。
以前に田舎へ行った時、ハルヒはホタルを見た事があった。
その明かりに似ていて、しかし、それよりもずっと強い光は空中で四散するように飛び散り、渦を巻き、それは斧にも槍にも見える形に収束する。
「物質変換、長門さんの得意技よ。どうして出来るのかとか、そう言うのは聞かないでね」
朝倉は少しだけ可笑しそうに苦笑いした。
今までハルヒの動向を観察し、文字通りハルヒ中心で動いて来た情報統合思念体のフロントエンドである自分たちが、ターゲットの目の前で人智を超えた技を見せる。
以前であれば巨大な情報爆発を引き起こすきっかけとなり得たはずで、それを平然とやってのけた長門は、既にハルヒよりも一連の「円盤の襲来」が優先順位が高いと判断しているのだろう。
ハルヒはもはや開いた口がふさがらないと言った表情で、事のあらましを傍観しているしか無かった。
普通の高校生、普通の文芸部員、その彼女たちはおそらく人ならざる技を用いて、ヤカンを武器のような形状に変化させた、それだけはハルヒにも理解出来た。
けれども、それがなぜ出来たのか?長門は一体何者なのか?
いくつもの「?」が頭の中で飛び交い、これまでの非日常的な出来事と合体し、ハルヒの理解はいよいよ現実に追い付かなくなり始めている。
「武器を作った。出発」