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2019/01/17(木)に投稿された記事
ハルヒをこちょこちょ(3)
ここで、みんなの心を当ててみせるよ!
「おい!エロ小説なんて出てこねーじゃねーか!ナメてると納豆の付属のカラシをちょっと高級な和ガラシにしちまうぞボケェ!」
いい人!みんないい人!だから、もうちょい待って!
俺はちゃんと導入書かないとエロ書けないの!
エロ小説です。
ハルヒをこちょこちょ!
あ、やべえレンタルビデオ返すの忘れてた。
中庭の草木は粘液状の液体で覆われて、校舎の中にも液体が至る所に付着している。
異臭とまではいかないが生臭さが鼻に届き、かろうじての明かりは災害時用の小さな懐中電灯のみ。
サンダルで粘液を踏むと、指の間にグチャリとぬるぬるとした感触が入り込み、何度か思わず声を上げそうになった。
曲がり角に差し掛かる度、その向こう側に怪物がいるのではないかと警戒する。
粘液は床だけでなく、壁や天井、時には天井裏につながる板の隙間からも液体が滴っていた。
眼前だけでなく上下左右、さらには背後にまで神経を集中させなくてはならない状態は、例え数分間であっても体力が根こそぎ削げ落とされる。
ハルヒは自分が放った言葉に後悔しつつも、捕まってしまっただろう人々の事を思えば何もしないわけにも行くまいと、矛盾する二つの思いに板挟みになっていた。
言わなければ良かった……しかし、誰かがやらなければならない。
だが、果たして自分たちが解決しようと乗り出した所で、本当に打開策が見つかるのかは、甚だ疑問ではあった。
「『彼ら』は床だけでなく天井も使って移動するのね」
そう言いながらハルヒの前を歩く朝倉は相変わらずの水着姿。
少なくとも人類存亡の危機であろう現状にあってパジャマ姿ならいざ知らず、水着姿の乙女が校舎内を徘徊している様は、世界広しと言えど今この場所だけの出来事だろう。
そう言えば先ほど部室で二人の会話から、ハルヒは気になる話を耳にしていた。
朝倉と長門は一緒に逃げて来たと言っていた。
アパートの窓から道路に現れた怪物の姿を見て、二人で何とか逃げて来たのだと。
現在の朝倉の住まいは知りようがないが、その口ぶりからは二人はあたかも同居しているようにすら思え、こんな状況なのにと思いつつ、ハルヒは朝倉に尋ねてしまう。
「朝倉さんって、有希と住んでるの……?」
朝倉は「んー」と少し考える素振りを見せてから、相変わらずの優しい笑顔を返した。
「まあ、ちょっとね」
否定でも肯定でもない、益々謎が深まるだけの微妙な反応だ。
しかし、良く考えれば長門はマジシャンも真っ青の「ヤカンを光に包んで加工してしまう」ような特殊能力の持ち主。
カナダへの転校の真偽も確かめたい気持ちではあったが、何となく聞くと後悔しそうな気がしたのでやめた。
これ以上の予測不能な新事実を受け止められるほど、ハルヒの心のキャパシティーにゆとりは残されていない。
ここで二人が「実は私たちは国際組織の諜報部員で」などと言い出したとしても、ハルヒは完全に信じるだろう。
そして、おそらく諜報部員以上の何かものすごいヤバイものが長門と朝倉の正体である可能性がヒシヒシと伝わって来る以上、さらなる詮索はハルヒの精神衛生上悪影響しかもたらさない事は明らかだった。
そんな事を考えていると、朝倉が立ち止まる。
一体何事かと思って前方を見ると長門も立ち止まっており、その視線の先には今まで見た事も無い謎の物体があった。
それを形容するならば、良くテーマパークのアトラクションの入口として設けられているゲートに例える事が出来る。
そのゲートを肉塊で包み込みホラー風味に様々に装飾して、その上から餡かけをぶちまけ丹精込めてこねくり回したような物体。
廊下のど真ん中に陣取るように、それは大きく逆Uの字に口を開き、獲物たる者が侵入するのを待ち受けているかのように。
それ自体は怪物そのものではないのかも知れないが、明らかに「これは罠です」とでも言いたげにピチャピチャと粘液を滴らせて鎮座している。
「行き止まり?」
「通路は一本道。この先に『彼ら』がいる可能性が高い。進む事を提案する」
進むと言っても、この先に待ち構えている物体の様相は、完全に「ここから先に進むと戻れません」と言っているに等しい。
かと言って引き返すにしても、後ろには中庭と別棟に続く通路があるだけで、確かに長門が言う通りこの先に『彼ら』がいる可能性は高かった。
生体サンプルを入手したいと言っていた長門、そのためには怪物と接触しなくてはならない。
しかし、この先に進んでも良いものか、進んで無事に戻って来る事が出来るのか。
「確かに進まないとらちが明かないわね。危険ではありそうだけど、その分だけ成果は期待できるとも言えるわけだし」
そう言いながらハルヒを見る朝倉、それに続けて長門もハルヒに視線を向ける。
こんな所で、こんな究極の選択を迫られても。
子供の頃に聞いたウ○コ味のカレーと、カレー味のウ○コのどちらを選ぶか、それに肉迫しかねない究極の問いだった。
「そ、そんなの決められないよぉ!」
正直な意見だった、先に進めばネチョグロトンネルにまっしぐら、ウ○コ味のカレーである。
しかし、ここで引き返しても、彼女たちはどちらにしても明日の朝には食料探索の旅に出なくてはならないのだ。
きびすを返しても待ち受けるのは校門、その向こう側は修羅の世界。
「悩む必要はない。多数決で前進する事は既定事項。問題は誰が行くのか、それだけ」
そう言うと長門はパジャマの旨ポケットからサイコロを2つ取り出した。
「奇数なら朝倉涼子、偶数なら私が行く。もしゾロ目だった場合は涼宮ハルヒ」
ハルヒは長門の普段は見せない優しさに心底心を打たれた。
偶数が出る確率は1/3、奇数が出る確率は1/2、一方ゾロ目が出る確率は1/6、つまり16.7%である。
ちゃっかり一番確率が低い偶数を選んでいる長門はしたたかであるが、自分を最も低確率の立ち位置に置いてくれたのは純粋な配慮なのだろう。
朝倉は「ちょっと気になるなぁ、まあいいけどね」と言ってサイコロを手に取ると、コロコロと床に転がした。
二人のどちらかが当たっても、戻って来た時にはタオルで体中を拭いてあげようとハルヒは誓っていた。
出来るだけ温かなタオルで、おそらく粘液まみれになってしまうだろう二人の内、どちらかを。